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直前の人の発言は覚えていない 「次の番効果」

順に発言を求められると、自分の直前の人の話は耳に入ってこない

初めて集まるグループが、初回に自己紹介を時計回りに行うことがあります。このとき、わたしたちは、自分の番の直前の人の自己紹介をよく覚えていません。自分が話すことについて考えてせいですが、これには「次の番効果」という名前がついています。

次の番効果

次の番効果(Next-in-line effect)とは、

自分が次の番の時、前の人の話の内容が記憶に残らない現象

です。集団の中で決められた順序で、順番に発言する場合、直前に発言した人の言葉を思い出す力が弱くなる傾向があります。この効果は1973年にマルコム・ブレナー(Malcolm Brenner)によって、初めて研究されました。ブレナーの実験では、被験者はそれぞれ順番にインデックスカードから単語を読み上げ、25語後に読み上げられたすべての単語をできるだけ多く思い出すように求められた。実験の結果、被験者自身の順番の前の約9秒以内に音読された単語は、他の単語よりも思い出しにくくなることがわかりました。

気をつけると逆によく覚えている

事前に被験者に自分の出番の前の出来事に注意を払うように求めると、この次の番効果はなくなり、記憶欠損がなくなり、さらには過剰補償となって、自分の出番の前の出来事を他の人よりもよく覚えているようになりました(※2)。

不安とは関係ない

次の番効果は、面接など評価される場面での不安の強さとは、関係がないようです。不安のレベルが低い人も高い人も、記憶欠損の度合いは同じでした(※3)。


対策・応用

ぼんやり覚えておく

「次の番効果」が生み出す弊害をさほど思いつかないので、今の所は、次の番効果ってあるよなーってことを覚えておくと必要な場面で役立つかも、くらいしか提言できません。


認知バイアス

認知バイアスとは進化の過程で得た武器のバグの部分。紹介した認知バイアスは、スズキアキラの「認知バイアス大全」にまとめていきます。


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参照

※1:Next-in-line effect

※2: Bond, Charles F. (1985). "The next-in-line effect: Encoding or retrieval deficit?".

※3:Walker, B. S.; Orr, F. E. (1976-12-01). "Anxiety and the next-in-line effect"

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