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異なるBlockchain同士の相互融通について

 ちょいとマニアックネタですが、Blockchain(BC)に絡んで若干面白き動きがあったので共有です。9月末に発表されていたのですが、Hyperledger(HL…IBM推進/Consortium)とEthereum(ETH…Public)の相互互換性が強化されるとのこと。これにより、使い勝手が悪かったBCの商用展開が進展するかもです。
具体的には、
 ・インフラ層でHLを用いて[NW強靭性][合意形成]といった信頼性担保
 ・サービス面では自由に価値流通/交換が可能なPublicを用いることが可能
で、実用/商用での不安を払しょくすることが可能とみられます。
概要等々は下記にまとめてみました。

<概要>
・IBMが展開するBC規格:Hyperledger(HL)と、オープンソース型BC規格;Ethereum(ETH)の相互互換が可能となる仕組みが正式にローンチ
 https://www.hyperledger.org/blog/2019/08/29/announcing-hyperledger-besu
・具体的にはHL公式プロジェクトとして、ETHベンダーのConsenSysが開発する相互互換機能[Besu]を採用

<何がすごいのか??>
・通常、BCの基盤は互換性がなく一度採用した基盤を使い続けなければならず、他企業との連携や機能の柔軟な開発の妨げに。
 ┗Besuでは企業ユースの多いHLと、消費者向けサービスの多いETHでの相互互換が可能に。
・例として、C+とRubyの相互互換が可能となるようなもので、双方の強みを活用したサービス展開/開発が今後促進されることが想定される。
・具体的にはセキュアで信頼できる基盤を従前よりもリーズナブルに構築し、より効率的/低コストなサービスを展開可能に。

<Besuの概要>
・元々はConsenSys社が開発する[Pantheon]と呼ばれるETHのSDK。
 ┗Privacy/Permission機能を備えており企業ユースがメイン。
 ┗HLでの取扱に伴い、名称がHL-Besuに変更。
(開発環境)
・Ethereum Virtual Machine (EVM)を採用、ETHと同じ開発環境で企業向けBCサービス開発が可能
(構成)
・各要素はモジュール式に設計、合意アルゴリズムと他機能を分離し、コンポーネントのアップグレードまたは実装を容易にする仕組みを導入
・NW/ストレージ/EVM等の要素間のインターフェースをクリーンにすることで、企業ニーズに合わせたETH構成を可能に。
 ┗開発期間の短縮が見込める
 (+他のHLプロジェクトがBesuの要素を統合/使用することも可能)
(合意アルゴリズム)
・PoA(IBFT 2.0/Cliqu)とPoWのいずれかのコンセンサスを選択可能
(Status)
・HLがETHプロダクト(もっと言うとPublicチェーンへのリンクを行うプロダクト)の取扱いは初めて。
・HLのステコミで承認が出ており、Incubation(開発途上)ステータスの扱い
 ┗まだ実験段階プロダクトで、既存のActiveに対して未成熟ということ

<今後の可能性>
・Public/Consortiumの相互交換は企業におけるBC活用の幅を広げると期待
 ┗高秘匿性のトランザクション/通常運用はConsortiunで、公共性/公平性/偏在性などが求められる価値流通はPublicで行うといった調整が可能に。
 (NW/承認といった基幹は信頼できる事業者連合で実施、その上でのサービス展開はPublicで基本自由に)

<備考;Hyperledger(HL)とEEAの概要と関係性>
・HLはLinuxベースのオープンソースのBCコンソーシアムでIBM/Intel/SAPのサポートの下で企業ユースのニーズに対応する規格
 ┗Projectとして[Fabric][Sawtooth][Iroha]など幾つかの大所があり、業種的には流通/小売/貿易といった分野で強みを持つ。
・EEAはPublic-BC基盤であるEthereumの企業向け利用を進める団体で、共通標準/基準を制定してプロダクトの開発を推進。
 ┗メイン基板はQuoramと呼ばれるNW基盤。
・HLとEEAは本年年初より共通標準の制定や、メンバーシップの相互紹介などで協調してきた

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