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自粛ムードをおっぱいちんこモードでふっ飛ばしたaikoの底力

新型コロナウイルスの影響で、政府から当面のスポーツ・文化イベントを中止・延期するよう要請があったのは、2月26日のことでした。

その日、京セラドーム大阪と東京ドームでそれぞれコンサートを予定していたEXILEとPerfumeが、午後になって急遽コンサートの中止を決断。
ニュースで大きく取り上げられました。

「あ、本当に、ただごとじゃないんだ」と、この頃に危機感を持ち始めた人は多いんじゃないかな。

ニコニコ超会議、春の選抜高校野球、フィギュアスケート世界選手権までも……今、大小様々なイベントの中止が世界中で相次いでいます。

僕も、生まれ故郷の愛知県春日井市の主催で、母校の学生たちといっしょに1年がかりで作り上げた展示の真っ最中だったのだけど、市の判断で、会期を残しながらの中断を余儀なくされて、とても落ち込みました。

たまたま会期と自分の誕生日が重なっていたから、上京して以来10年ぶりに実家で家族とバースデーを過ごそうとも思っていたのに、新幹線の移動が心配で、あえなく断念。
おいっ子も、めいっ子も、僕に会えるのを楽しみにしてくれていたんだけどな。

やりたいことができない。
行きたいところへ行けない。
会いたい人に会えない。
こんな塞ぎ込んだ気持ちがいつまで続くんだろう。

世間がそんな陰鬱なムードに包まれているけれど、aikoは違った。

開催が予定されていたZepp Tokyoでの公演が延期になった代わりに、無観客のZepp Tokyoでの演奏が無料で生配信されると突如発表されました。

aikoといえば、20年間もトップを走るシンガーソングライターでありながら、ライブハウスでの演奏にこだわっていて、公演は毎回プレミアチケットになることで有名。

そんな彼女のライブを生配信で見られるなんて!とネットは騒然。
中学生のときに『花火』のシングルCDを買った僕も楽しみにしていました。

3月8日(日)にYouTube Liveで配信された『Love Like Rock vol.9~別枠ちゃん~』は、約1時間で11曲が演奏されました。

代表曲の『カブトムシ』、20年前のファーストアルバムから『オレンジな満月』、新曲の『青空』まで、ポップかつコアなセットリストは、まさにライブ感満載。
配信中に僕が確認した限りでは、リアルタイムで視聴していたのはなんと12万人。
Zepp Tokyoのキャパが2,700人なので、その45倍もの人が見ていたわけです。すごい。

いろんな人が見てるから、普段言ってるようなしょうもない下ネタとかは言ったらあかんなと思って……(普段の)ライブのときは、おっぱいとかちんことか言ってるんですけど(笑)
こっからはもっと、おっぱいちんこモードでいきましょうよ!

これは、生配信に少し緊張気味な彼女がMCで語った、照れ隠しの一言。

初めてしっかりaikoのライブを見てみて気づいたのは、ステージを縦横無尽に走り回っても、パフォーマンスが1時間ずっとブレない、っていうか、20年間まったく変わらない歌声とエネルギー。
aikoのライブがプレミアチケットになる理由がよくわかる。
それでいて、おんとし44歳であの可愛らしさは、正直ちょっと意味がわからない。(褒めてる)

幻想的な照明でフロアを埋め尽くした、無観客ライブならでは演出にも胸が熱くなりました。

終盤のMCで、とても印象に残った言葉があります。

「笑っていこうね。みんなで。しょうもないこといっぱい言って、笑いましょう」

ああ、彼女はこれを僕たちに伝えるために歌ってくれたんだ、と思った。

無観客ライブだって、タダじゃない。
むしろ、会場費、バックバンドの出演料、機材代、スタッフの人件費、その他諸々、膨大な費用がかかっているはず。
それでもaikoは、みんなの塞ぎ込んだ気持ちを音楽で吹き飛ばしてくれようとしたのだと思います。


自粛モードは、きっとまだしばらく続く。
こんなときこそ、音楽を聞こう。映画を見よう。本を読もう。
こんなときだからこそ、おっぱいとかちんことか言って、笑おう。
aikoの愛が日本中に響き渡った素晴らしい生配信でした。

※アーカイブ配信は2020年3月15日(日)までです。 

最後に、カメラに向かって手を振ってステージを去ったこのaiko、めちゃくそ可愛いな。

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