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短歌 新作8首 『悪い人』

先日、朝日新聞の連載「あるきだす言葉たち」に、8首の短歌を寄稿しました。

第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。

悪い人

下の名を間違えそうになるたびに半拍ずれてゆく二重奏

コーヒーの水面に映る俺が目を逸らしてあづま通りは小雨

もう少し早く出逢っていたのなら君を不幸せにできたのに

もんじゃ焼き突いただけじゃテレ東のBLドラマにならないはずだ

別れぎわ寂しい顔をするんだね。ともだちだって言ってたくせに

帰りたくない、と困らせられるほど雨は激しく降ってなかった

悪い人になりきれなくて唇は「またね」と告げるために使った

訝しい事情においてひとつだけ言えるのは、君の笑顔が好きだ。

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