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短歌 新作5首 『無に帰する』

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角川「短歌」2019年10月号掲載作品『無に帰する』。
先日公開した 『凍てついた泉の中で』と同時期に執筆した、呼応するような作品です。

どちらも第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。

『無に帰する』 鈴掛真

赤いバラを経費で買った領収書の縁ですっぱり切れた指先

肝臓は貧血によく効くらしい君の身体に触って探す

コッペパンみたいな色に日焼けした腕に抱かれて呼吸が荒い

どんなふうに君は悲鳴を上げるだろう大臀筋を噛みちぎったら

飲み込んでしまえばすべて無に帰するボーンチャイナを汚す肉汁

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