見出し画像

学び直しのために育休中に社会福祉士を取得したキセキ。

末子の育休中に「社会福祉士」を取得した。育休中のブランクに焦り、学びなおしのために通信制大学に入学した。齢アラフォーにして。
子育て中の時間的な制約そして体力的な限界のなか無理しすぎて緊急搬送されたけれど、結果、合格率約30%というそこそこ難関の国家資格を取得した話。

2020年春、新たな学び始動

同じ保育園のママの話。
年齢推定45オーバーのママが、一念発起して社会人入学した看護学校をこの春に卒業した。

看護師試験も見事突破し、春から看護師としてスタートするとのこと!この話を聞いて、わたしはただただこの一言しかなかった。

天晴。

この晴れ晴れしい結果だけみれば、もう心からの尊敬、絶賛、賛美。

ママ友いわく、看護学校時代は苦しい3年間だった、と。何度も諦めようと思ったし、何度も自分の決断を後悔した、と。

でも、この春の卒業式で号泣した涙は、その思いを全部浄化して自分自信の糧になる第一歩になった、と。

この話を聞いたわたしは勇気をもらった。

この春、私も通信制大学に入学した。
目指すは、前々から希望していた社会福祉士という国家資格の取得。

社会福祉士って?

社会福祉士とは福祉分野のソーシャルワークの専門職であり、名称独占の国家資格。
合格率約30%というまあ難関な部類。
社会福祉の3大国家資格といえば、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士であり総称して3福祉士なんてよばれる。

いずれも国家資格であるが、2021年度の合格率は
社会福祉士29.3%
精神保健福祉士64.2%
介護福祉士71.0%
となっており、福祉系国家資格の中では社会福祉士は最も難易度が高い。

試験では以下の18科目の分野から出題され、6割以上の正答率かつ19科目全てで得点する必要がある。

「人体の構造と機能及び疾病」「心理学理論と心理的支援」「社会理論と社会システム」「現代社会と福祉」「地域福祉の理論と方法」「福祉行財政と福祉計画」「社会保障」「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」「低所得者に対する支援と生活保護制度」「保健医療サービス」「権利擁護と成年後見制度」「社会調査の基礎」「相談援助の基盤と専門職」「相談援助の理論と方法」「福祉サービスの組織と経営」「高齢者に対する支援と介護保険制度」「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」「就労支援サービス」「更生保護制度」

このように広範囲な内容をまんべんなく学ぶ必要があることがその難易度を高くしている。

社会福祉士を受験するためには、上記の科目を履修する必要があり、実習もある。私は実務経験があるため実習は免除され、1年間の履修で指定科目の単位が修得できれば受験資格が得られる。

悩んだ期間は長かったけれども、40過ぎたって、学びたい。母だからってこどもがいるからって諦めることはない。自分の学びに真剣に取り組みたいと思った。

2020年春、新しい元号である令和が発表され、なんだか時代も前進していく機運が高まった。そうして私はアラフォー大学生となった。

アラフォー大学生としてスクーリングと子育てと

通信なので、基本は家からリモートで講義を受け、認定試験に合格すれば単位を取得することができる。

授業時間が決まっているわけではなく、自分の好きな時間帯にリモートで受講できるので、自分のスタイルにあわせて柔軟に時間設定ができるのは魅力的だった。

といっても子育て中は自分の時間なんて思うようにとれないので、時間の捻出にはとてもとても苦労した。

また、リモートでの講義のほかにスクーリングという実際に大学で対面で受ける授業があり、土日に朝から夕方までびっしりのカリキュラムを受けに計8回くらい大学に行く必要もあった。

スクーリングでの学びは常に新鮮で刺激的な時間だった。

学ぶってやっぱり純粋にたのしいと心底感じた。演習、グループワーク中心のスクーリングだったが、問題意識があるメンバーとのディスカッションはいつもあっという間に終わった。

そんなスクーリングに参加した同じ通信過程で学ぶ大学のクラスメイトたちと知り合いになった。クラスメイトの大学生っていってもみんなおじさん、おばさんたちですが。

そして驚くことに、クラスメイトには、遠くは北海道から、関西からと遠方から来ているメンバーもちらほらいて正直、驚いた。

学費ももちろんかかっているうえに、旅費もかかるし、宿泊費もかかるのに、そんなにコストをかけてまで学びにきている方たちの意識の高さといったら。

私は、育休中でキャリアアップのために国家資格取るなんて、無謀なこと考えたなと自分で思っていたけど、いやいや、私の状況なんて屁の河童じゃんなんて思えるほどにいろんなハードル乗り越えて、学びに来ているクラスメイトに新たにやる気をもらった。

といっても、話してみるとみんな悩みは共通で、仕事との両立をどうするかや効率的な勉強の仕方、周囲の理解と協力など共通した悩みが多くて、意気投合。同じ志をもつものの連帯感は特別であった。

身を削ってお金を捻出し、仕事で忙しい身体に鞭打って貴重な週末に授業に参加して、勉強時間を捻出している。
バックグランドはさまざま。
問題意識やモチベーションもさまざま。

共通しているのは、「仕事をもちながら、資格取得を目指して大学で学んでいる」ということ。

そしてみんな良い感じにキャリアを積んだ30代、40代、50代のおじさん、おばさんとういこと。

フレッシュな20才そこそこの学生なんて皆無。でも、ある意味、教室にはフレッシュなエネルギーが充満していた。

新鮮でした。
パワーもらいました。
やっぱり、学びってワクワクすると感じたスクーリングでの時間はいわば財産ともいえる。

実際に、社会福祉士の試験に向けて、情報交換もたくさんしたし、勉強のポイントを教え合ったり、有効な情報源を教えあったり、もちろん愚痴や不満も言い合って仲間だなーと感じた。

勉強時間と勉強空間の捻出が一苦労

育休中、暇があれば勉強時間にあてていたけれど、実際は「暇」はなかなかやってこない。

何がしんどいって、やっぱり子育てしながらの勉強時間の確保。

こどもの昼寝中や夜、こどもが寝入ったあとに勉強時間を確保した。
とはいってもこどもの昼寝時間はいつもまちまち。そして寝ぐずりもある。夜は夜で睡眠を削るには厳しい40代に突入して肉体的につらい。

昼間がっつり勉強時間を確保するために保育園の一時保育を利用することもあった。
ただ、一時保育は1ヶ月で利用できる回数が制限されていて(園によって違うが1ヶ月数回程度)、一時保育の利用も必ず利用できるものではない。
抽選や先着順で決まるという激戦枠であり、好きな時に利用できるわけではなかった。

一時保育の予約ができ、こどもを保育園に預けることができた日には、外のファミレスやカフェで勉強した。カフェやファミレスだとごはん時は混んだり、あまり長時間いるのも居心地が良くない。

でもやっぱり家だと家事やもろもろが気になってしまう質なので、地域の大学の図書館もよく利用した。

大学の図書館は、通っている学生以外にも地域の人に開放されている場合がある。登録すれば一般利用もできるので穴場。登録料にお金がかかる場合もあるが、国立大学の図書館の場合、登録料も無料なのでさらにお得。

そんなこんなで日々勉強に取り組むのだが、単位の取得も正直、しんどいし、レポート作成も正直、根気がいる。
そして最大の山場であって最大の難関である資格試験のための勉強も、抗えぬ老化という学習能力と戦いながらそれでも、決めたからには、ただやるだけ。

で、私はどこを目指そうとしているのだろう、ともふと思う。
でも、きっとひとついえること、私が育休を取らなかったらこの挑戦はしなかっただろうなということ。
ただ、前をみて歩みつづけることも大事。

そんなある日、人生初の緊急搬送

それは突然のめまいから始まった。

深夜。
就寝中に突然の吐き気で目覚め、トイレに起き上がろうと思ったら立つことも困難なほどひどいめまいにおそわれる。
はいながらトイレまで行く。

嘔吐数回。

気持ち悪さが尋常ではなく、また今まで感じたことのないめまいに身体の異常を感じる。

夫も尋常ではない妻の姿をみて、焦る。

その場から立ち上がれず、めまいはずっとつづき嘔吐もつづく。
めまいも立ちくらみといった軽いものではなく、頭を横から上から下から振り回されるような今までに感じたことのないひどいものだった(その後、回転性目眩発作との診断)。

夫が、「救急車をよぼうか」と言い出したが、私はこれまで救急車で運ばれたことはなく、本当にこの目眩で救急車を呼んでいいものか悩むもあまりにも強いめまいに恐怖を感じた。

夫が、急いで救急車の相談窓口に電話をして相談した結果、救急車をよぶ手配をすることに。

夜中、救急車で救急搬送された。

その間、嘔吐数回。
救急車のなかでもおさまらないめまいと嘔吐。
無事、病院につき、診察。

めまい止めと吐き気止めの点滴を受ける。診断の結果、三半規管の異常からくるものでメニエール病の疑いありとのこと。

まだまだ続くめまいと吐き気で意識朦朧としつつ、帰宅してよいという判断で帰路につく。
その日は何も考えず倒れ込む、熟睡。

メニエール病という聞き慣れない病名を言われ、まさか自分がそんな病名の疑いありなんて信じられない。

調べてみると、30代後半から40代前半が発症のピークらしく、女性に多いというデータがあるようで、その原因がストレスと疲労。
これには自分が自分でびっくりでした。

自分自身、まったく自覚はなかったのですが、日々の家事、育児に加え、試験勉強などストレスなど知らず知らずに心労を溜め込んでいたのかもしれない。

受験後のバーンアウトとアパシー

2月某日、無事、社会福祉士の試験がおわった。

午前、午後と長時間にわたる缶詰状態の試験。脳から発せられるエネルギーを使い果たし、試験終了後は、やりきったという心地よい脳疲労を感じながら帰路につく。

試験日が近づくにつれて、思うようにすすまない勉強や勉強時間が確保できない現実に抗いながら、心も荒み苛々してしまうという受験生の気持ちを味わった。

最近の試験は当日に解答速報が流れるご時世。

アラフォー世代のセンター試験では、次の日の朝刊にのる解答をみながら自己採点して一喜一憂していたのははるか昔。

最近ではSNSにより、遠く離れた受験生の感想も垣間見られ、合格基準点も大手塾が割り出してくれ、だいたいの結果は予測できる時代になった。

自己採点のときのドキドキと緊張と不安が入り混じった気持ち悪さはもう味わいたくないほど。

自己採点では合格基準点をぎりぎりクリアしているものの万が一マークミスがあったらどうしようとか転記ミスがあったらどうしようとつきない不安のせいで、発表日までは緊張の日々。

でも、やりきった。

そう、やりきった。

といえる試験でした。

そして、やりきったと同時に感じる燃え尽き気味。今までわずかな隙間時間でも過去問をといていた生活が一変、なにをしようという状態になってしまい、バーンアウト気味に。

そしてこれまで熱中して取り組んでいたものが急に目の前からなくなったことでアパシー気味に。アパシーとは普通なら感情が動かされる刺激対象に対して関心がわかない状態のことを言い、興味や意欲の障害であると考えられている。

これも受験生の心持ちなのかと思いながら結果まで待つこと約1ヶ月。

サクラサク

そしてついに試験の合格発表がありました。

満開の桜が咲いた合格。
じんわりよろこびに浸る。

自己採点では合格基準点を上回っていたので期待する一方、万が一マークシートの記入ミスがあったらという不安も拭えず、合格発表が待ち遠しかった。

南海キャンディーズ山ちゃん母の有名な名言。

努力して結果が出ると 自信になる
努力せず結果がでると 驕りになる
努力せず結果も出ないと 後悔が残る
努力して結果が出ないとしても 経験が残る
努力をしてその日を迎えたんだったら何も残らないことはないから行っといで

南海キャンディーズ山ちゃんの母

なんて心に響く名言。
努力したとはっきり言えるこの1年。
努力が自信につながった瞬間。

育休中、育児が大前提にあるなかで、通信大学のスクーリングに通い、レポートを書き、単位(1年で46単位)を取得し特に試験前の勉強は、思うように捻出できない勉強時間や環境への苛立ちもあった。

が、とにかくこどもの昼寝中や就寝後、一時保育で保育園にあずけられた日には全集中。

素直にうれしい。

純粋にうれしい。

心底うれしい。

ありがとう~ありがとう~ありがとう~

夫の協力に感謝しつつむくわれた努力とがんばった自分を褒めてあげたい。


この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?