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果物季節は、よい季節。

七月。夏の声が聴こえたら、果物が食べたい。
暑さをやり過ごすのに果汁で喉を潤すなんて、
贅沢な気持ち。真夏の食卓で、蝉の鳴き声をBGMに冷えた西瓜にかぶりついた日を、思い出して。

近ごろ、果物がやたらと食べたい。
さくらんぼ、桃、オレンジ、
西瓜にグレープフルーツに。
スーパーマーケットに行くたびに
何かしらの果物を買って帰る。
中でも旬の果物が放つ香りと
ぱんっ!と弾けそうなハリはたまらない。
さくらんぼのツヤっとした笑顔。
桃の甘いうぶ毛。
葡萄の白いブルームは
美味しさの証明。
皿に溜まった西瓜の汁を飲み干すと、
お行儀が悪くても
それが作法だとすら思える。

日本人は果物を食べない。
先進国の中で
日本人の果物の消費量は、
最低ランクなのだそうだ。
アメリカやヨーロッパ諸国と比べて
二倍から三倍の違いがあるという。

それを聞いて、
ああなるほど、わからなくもないなと思う。
海外の人は果物を
野菜感覚で食べることもあると聞くが、
日本では
果物はデザート。
食後に楽しむ、ちょっと贅沢なもの。
そんなイメージがある。
そして皮を剥いたり、種を取ったり、
手をべたべたにして行う作業が
どうしても億劫になる。
だからお手軽バナナだけは、
健闘しているらしい。

私は朝食の時に
果物を食べることが殆どだ。
(冬の『コタツでみかん』は
時間を選ばないけれど)
サラダや味噌汁の野菜を切ると思えば、
果物の皮を剥くのも同じことだ。
半分に切るだけでOKなグレープフルーツは、
忙しい朝でも重宝する。
苺や、皮ごと食べられる葡萄も、
ラクして美味しい朝になる。
『朝の果物は金』
せっかくの自然のスイーツ、
ビタミンもたっぷりなので
ぜひ採り入れてみては。

内緒だけれど、
私はグレープフルーツを食べるのが
もうメチャクチャに速いのだ。
先のギザギザしたスプーンで、
みんながようやく半量を食べた頃、
私はすでに食べ終わっている。
スプーンで一房の中の実をくり抜く時、
ワンツーで掘り起こすワザを
身につけているのだから。

白状すると、
私には果物アレルギーがある。
ここまで、
果物を食べる話を散々書いておきながら
何を言っているのだと
思われる方もいるだろう。
好きなものは好きなのだから
仕方がない。
今の時点で食べられない果物は三種類のみ。
アナフィラキシーショックを起こして
救急車のお世話になったことすらある。
私の果物アレルギーは、
花粉症が引き金となった。
昨日まで普通に食べていた果物が、
ある日突然食べられなくなった。
いつかまた他の果物で
アレルギーを起こさないとも限らない。
重い花粉症の方は、注意してほしい。
花粉症の原因となっている植物で、
何系の果物アレルギーになりやすいかという
目安があるようなので、
気になる方は調べてみてほしい。

地球最後の日。
この美しい星が
木っ端微塵に吹き飛ぶと
決まっているのだとしたら。
死が確定した中で
もう食べられなくなっていた果物を
心ゆくまで味わって
美味しくいただこうと思う。
そうすれば
思い残すことなんて
ないのだろうと思う。

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