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3曲目『瞳を閉じて』(昭和49年 1974)荒井由実

 1974年発売のユーミンの2枚目のアルバム「MISSLIM」に収録されている曲です。
 長崎県の県立高等学校の分校に在籍している女子生徒が、分校に合った校歌を作ってほしいと、ニッポン放送の「オールナイトニッポン」に投書したのをきっかけにして荒井由実が曲を提供したという有名な謂れがある曲です。
 分校ですから、当時は、きっと、本校の校歌を分校の生徒が歌っていたのだろうと思います。しかし、そこは、離島にある分校ということで、故郷の島の学校として誇れる独自の校歌を生徒は欲したのだろうと推測します。
 結果、この分校は後に本校化することになり、その際に検討がなされた結果、校歌ではなく、愛唱歌として認められたのだそうです。

 当時、毎週月曜日の19:30~20:00にNHK総合で放送されていた「新日本紀行」でこのエピソードが取り上げられ、ユーミンも出演しています。父親が100%チャンネル権を握っていた我が家も毎週、この番組を観ていましたが、この回の番組は覚えていません。

 さて、この当時のユーミン作ですから、それは、もう、間違いなくいい曲に仕上がっているわけですが、何度聴いても、鼻の奥がつーんとして目頭が熱くなります。
 下記のURLで動画をご覧になるとわかりますが、ユーミンにアポを取ってインタビューしながら、しらじらしくも、作曲の経緯を覚えているかどうかをユーミンに尋ねます(笑)
 ユーミンは、誠実に質問に答えますが、その回答の中で、「集団就職でほとんどの若者が島を離れる…」という発言があります。年代的には、間違っていないと思いますが、果たして当時のその分校の生徒が同じ会社に集団で就職したかどうかは、甚だ疑問のところがあります。
 それはさておき、さすがドキュメントを撮らせたら日本一だと思われるNHKです。「新日本紀行」で流された映像は、この曲にとても合っていて、いいです。

 普通、校歌なら、学校の周辺にある山や川、名跡なんかの固有名詞を歌詞に織り込みますが、ユーミンはそんなことはしません。
 島を取り巻く海(しかも、固有名詞なし)一点に絞って、作詞します。しかも、それは、「島を離れてからも島を思い出せるように」というコンセプトからの作詞です。それは、もう、見事としか言えません。

♪『瞳を閉じて』(1974) 荒井由実(NHK総合テレビ「新日本紀行」より)
 作詞・作曲:荒井由実
https://www.youtube.com/watch?v=ycj99A-zQLE