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「マイ・ラグジュアリー・ナイト」(昭和52年 1977)しばたはつみ

 この曲をカラオケで唄うと、同席している方は皆、最初は静かに聞いているのですが、サビのところになると、当時のCMのことを知っている方が「あ~あ~この曲なんだ~」と仰います。

 作詞が来生えつこ、作曲が来生たかお。1977年のマツダのコスモという車のCMに使われたしばたはつみの曲であります。
 当時のコスモのキャッチフレーズが、「ラグジュアリーサルーン」でした。サルーンの元々の意味は、ホテルや客船などの大広間、応接室というフランス語の「Salon」を起源にもつ英語らしいですが、自動車用語では、高級でステータスのあるセダンを指すそうです。さらに、それに「ラグジュアリー(贅沢、豪華)」を付けているわけですから、当時とすれば、すんばらしく豪華なセダンをどうぞ!とマツダが世に送り出したわけです。
 今、当時の車の写真を見ても、2灯のヘッドライトに、存在感のあるフロントグリルがそんな感じを醸し出しています。

 YouTubeにアップされていた来生たかおへのインタビュー&スタジオ収録の動画で、当時のこのCMのBGMは競作であって、他には名だたるミュージシャンや作曲家の方がいたことをインタビューで話しておられました。

 この来生姉弟は、当時、歌謡界、ポップス界を席巻していました。以前にも取り上げた大橋純子の「シルエット・ロマンス」、薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」、中森明菜の「スローモーション」「セカンド・ラブ」は彼らのソングライティングです。

 で、この曲を改めて聴くと、私は、ラグジュアリーサルーンのマツダコスモの(CMの)イメージに合うように作ったのが主であって、詩でなにかを訴えているわけではなく、この曲がもつ印象にどっぷり浸かってください!と言われているみたいな感じがするんです。こんなこと言ったら、怒られちゃうかもだけど。
 CMでも使われたこのサビの部分は、当時も、そして、現在でも頭に残るフレーズと歌詞だと思いますが、私の一番のツボは、やはり、最後の最後の歌詞のところです。わかりすぎるくらいに、わかっちゃいるけど、いつも、ここで涙腺がやばいことになります。
 そして、その盛り上がりを引き立てているのが、実は、リフされる有名なサビではなく、冒頭から中盤にかけての、女性が男性に向けて一人語りをするように歌っている小節、というところが来生たかおの妙だと思います。
 この男性に向かって話し掛けているような感じは、私には、越路吹雪の「愛の賛歌」をモデルにしたのではないかと思えてなりません。もちろん、来生たかお本人の口からは聞いたことがありませんが。

♪「マイ・ラグジュアリー・ナイト」(昭和52年 1977)しばたはつみ
 作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお
https://www.youtube.com/watch?v=SkxBEqKhEVE(静止画 フルコーラス)
https://www.youtube.com/watch?v=K6R1OHRylqI(動画 夜ヒット)
https://www.youtube.com/watch?v=Ohbawkln0Rs(来生たかおバージョン)