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流行りの1on1ミーティング「仕組みを導入したのに機能しない!」担当者からのご相談がありました。

ある大手企業の人事企画担当からこんな相談がありました。「せっかく1on1ミーティングを導入したのに、機能していないんですよ。」
人事担当者は、上司の育成能力をあげる魔法の手法とばかりに週1回30分の部下面談の仕組みを社内に導入しました。
ですが、実際に導入してみると「部下と何を話せばいいのかわからない。」とか「質問することがなくなった」「結局自分がほとんど話して業務確認の時間になる」などの上司側からの相談や部下からも「ダメ出しばかりで、テンションが下がるのでエスケープしてしまっています」と不満の声が上がる状態でした。

研修業界でも1on1ミーティング技法がブームになっている気がします。
この担当者も「他の大手さん、結構導入しているんですけどね」と自信なくつぶやきました。

組織カルチャーの変革ポイント

組織カルチャーの変革に取り組む際に気を付けるポイントがここにあります。
他社の模範事例を参考にすることは大切です。ですが、他社と自社の状況が異なるにもかかわらず、「なんのために」を十分に吟味せずに安易に取り入れてしまっても消化不良を起こすだけです。導入に失敗すると人事への信頼も下がります。場合によっては、組織への不信にもなります。現場からは、「俺たちこんなに毎日忙しく働いているのにまた無駄な施策で手を取られた」とせっかくの施策も成果を出せない理由や、被害者意識を高める要因にもなりかねません。

言葉に誤りがありましたね。この相談にこられた方ももちろん「何のために」は、ありました。「人が育つ風土をつくるため」という第一目的は、ありました。ですが、施策を軌道にのせるための次の一手まで考えが及んでいませんでした。

良き事例に学び、それを自社にカスタマイズさせ行動や成果に結び付けるプロセスこそ計画的に、そして根気よく対応していくことが大切です。

何かを導入したから知識を与えたからといって、人は行動できるとは限りません。施策を導入して成果を出すには、「借り物」の施策ではなく自分たちの施策にまで落とし込む必要があります。

そもそも1on1は、字のごとく1対1の面談です。

面談も目的によって様々ありますよね。
・目標の合意形成をする面談
・進捗や成果を確認する面談
・報告や相談の面談
・状況確認の面談
・情報共有、伝達の面談
・問題を抽出、解決する面談
・成長を支援する面談

今回ご相談にこられた担当者の意図する1on1ミーティングは、成長支援です。部下に話しをさせ本人が経験から学び、未来に活かすヒントに気づいて行動できるようになることがゴールです。
今回のご相談者の次の一手は、1on1ミーティングを実施する目的共有。仕切り直して上司側としっかり「部下の成長支援」が目的であるということを合意形成していくこと。そして組織全体で一人ひとりの成長意識と支援しあうカルチャーを目指すことです。

1on1ミーティングで必要なコミュニケーション技法

部下の成長支援する際によく使うコミュニケーション技法をご紹介します。

傾聴(アクティブリスニング)
面談課題で「相手の話を聞けない」ことが一番にあがります。部下の話を聞かないと結果、双方向の関係が築きにくいです。そして考えることをやめて指示を待つスタンスが定着してしまいます。自分の解釈や話したいことがあるなら、それを目的とした面談を設定しましょう。
部下を支援する際のポイントは、部下の話を遮らない。自分の興味関心で質問しない。話を最後まで聞きましょう。

「オウム返し」と「言い換え」
話を聞く際には、相槌を打つ、うなずく、部下の言葉をオウム返しします。相手の言葉を繰り返すのは、ペーシングスキルの一つです。
注意点としては、うなずき、相槌、オウム返しともに適度にすることが大切です。適度に行えている場合は「良く話を聞いてくれているな」と感じさせ過剰になった場合は、逆の反応が起こります。

相手の考えをさらに深めたり、展開したいとき、あえて同じ意味あいの別の表現で質問する場合もあります。この別の表現は、聞き手の語彙力レベルにも依存します。そして、相手に話を聞いてもらえていない感覚を与える可能性もあるので、上級者スキルですね。

アクノレッジメント
部下の存在を認めることも大切です。「存在に気づいていること。」「認めていること」を伝えてください。
事実を事実として認めることで「いつも見てもらっている」「変化に気づいてもらっている」と感じることであなたとの関係もより良くなります。
相手を認めてくださいと話すと「部下の不満を聞いたときはどのような反応をしたらよいですか」と聞かれることがあります。1on1は、相手の成長を支援するものです。相手の発言に同調するのではなく、まずは「あなたは、今〇〇について不満に感じているんだね」と相手の感情に寄り添うことが大切です。

1on1ミーティングでのかかわりと働きかけ

部下の状況や傾向に合わせて関わり方を変えていくことも上司側には、必要です。とくにコーチングなのかティーチングが必要なのか?行動が起きない要因は何なのか?ケースバイケースの対応が求められます。

コーチング
コーチングは、団体や発信者によって定義が様々です。私の認識では、ゴールに向かって経験から学び、次へいかすための行動を質問によって導くコミュニケーション技法。未来にむかって相手が自力で答えをみつけるためのサポートです。スポーツのコーチをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。

ティーチング
相手が未経験のことに取り組む際には、指導することも必要です。前述したコーチングとの使い分けが大切ですが。教えたほうが経験学習が促進されること。本人主体を損なわずに知識として知っておいた方が良いことはきちんと指導しましょう。

フィードバック
私たちは自分の限られた感覚や視点を越えて、自分自身について知ることは困難です。相手の視点を活用し、意見してもらえることで自分についての具体的な情報を得ることができます。そして目標に近づくための軌道修正が可能となります。
ですが、相手があなたの意見を欲していないときは、反発や関係がこじれる可能性もあります。積極的に自分のかかわりが役立っているか、部下がどう成長したいのか?どうかかわると良いかなどの要望を聞きに行きましょう。

カウンセリング
なかなか行動が起きないときや、理由もなく反発が起きている時、相手の中に過去のトラウマが眠っているかもしれません。家族関係、友人関係、以前の職場で傷ついたことなどが要因で防御反応が起こる場合もあります。その場合は、本人が過去体験の再解釈する必要があります。その際は、寄り添って話を聞いていくことが大切。ただ、本格的な心身症の場合は、専門家にゆだねましょう。

メンタリング
こちらも定義は、さまざまですが一般的には対話や助言によって支援していくスキルです。個人的には勇気づけていく技法だと認識しています。

さいごに

ここに紹介した技法意外にも「質問力」や「コンフリクトマネジメント」「感情コントロール」などもできれば理解していくと対応幅が広がります。

コミュニケーション技法は、日々練習し放題です.

3人集まるのであれば、1on1ミーティングのロールプレイ練習もおすすめです。実際に面談される側やオブザーバーとして客観視していると気づくことがたくさんあります。

今回ご相談のあった担当者の企業では、コミュニケーション技法とロールプレイのトレーニングを取り入れつつ、日々の1on1ミーティングのレベルアップを図りました。
上司側のレベルアップを図りたい場合は外部の力を借りることもおすすめ。
やる気のある人たちで勉強会をしても良いですよね。

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