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X2Oバドカマー・トロフェー2020-2021 第7戦「リール(クラヴァーテンクロス)」

シクロクロス3大シリーズ戦の1つ「X2Oバドカマー・トロフェー」の第7戦「クラヴァーテンクロス」が、2/7(日)にベルギー・アントウェルペン州の街リールを舞台に開催された。

まさかの雪! 降車しなければならない区間や激しいアップダウンがあるわけではないものの、つるつる滑る路面でトップ選手たちも苦しめられることに。

とくに女子レースでは白熱の総合争いが巻き起こる、重要なレースとなった。


女子レース

全部で5周

他2つの3大シリーズ戦と異なり、ロードレースと同様にタイム差で総合が争いわれるX2Oバドカマー・トロフェー。

前節までの戦いの結果、総合首位とルシンダ・ブラントバロワーズ・トレック・ライオンズ)とデニーセ・ベツェマパウェルズ・サウゼンビンゴール)との総合タイム差はわずか38秒。

そして昨日のスーパープレスティージュ最終戦「ミッデルケルケ」では優勝したベツェマがブラントに1分08秒差をつけてフィニッシュ。

同じような状況になれば総合逆転がありうるだけに、注目の1戦となった。

【X2Oトロフェー女子 第6戦までの総合リザルト】

X2Oトロフェー女子 第6戦までの総合リザルト


そしてそのベツェマが出だしから好調だった。

さらに、かつて最強の名を欲しいままにしていた「女王」ながら、昨今はその力が着実に衰え、今期も国内選手権以外では勝ち星のないサンネ・カントIKOクレラン)が、ここで非常に好調。

ベツェマに食らいつく走りで、2周目終了時点ではベツェマと同タイムでフィニッシュラインを通過した。

そしてセイリン・アルバラードアルペシン・フェニックス)が3秒遅れでの3位。肝心のルシンダ・ブラントは・・・アンマリー・ウォルスト777)と共に、先頭ベツェマから12秒遅れの4位・5位に!

1周目の中間ポイントに設置されたボーナスタイムポイントでは、ベツェマが1位通過して15秒のボーナスタイム、ブラントが3位通過で5秒ボーナスタイムを獲得しており、この時点でブラントは10秒奪われている格好に。

このまま、一気に逆転されてしまうのか?


だが、ここ最近のブラントはひたすらに「スロースターター」といったところである。

序盤は異様なまでに遅れるのだが、その後着実に挽回していく。昨日の「ミッデルケルケ」もそうだったし、世界選手権本番では最終的に結局優勝してしまっている。

この日も、4周目に先頭のベツェマが小さなミスを連発している間に、ブラントが徐々にペースをあげていく。

そして、先頭に出ていたサンニ・カントが、シケインのところで派手に落車。

この煽りを受けてベツェマも、追いついていたアルバラードもペースダウンし、一気にブラントたちが追いついてきた。

さらに、ベツェマが直後にバイク交換した隙に、ブラントは彼女の前に。

この頃にはブラントも本来の力を取り戻しており、ベツェマはなかなかこれを追い抜くことができない状態になっていく。


ウォルスト1人が遅れ、ブラント、アルバラード、カント、ベツェマの4名がほぼ団子の状態になって突入した最終周。

先頭のカントを颯爽と抜き去ったブラントが一気にペースを上げていく。

カントとしても、今期国内戦以外での初勝利のために、今回のチャンスを失うわけにはいかない。

ラインが一本でなかなか抜きづらい泥の区間で、なんとかこれを追い抜こうとラインを無理やり変えるが、これが裏目に出て一気にペースダウン。

3番手アルバラードにも抜かれ、さらにはベツェマにも抜かれて4番手に降格する。

ベツェマはあとはアルバラードたちに追い付くだけ・・・だったのだが、林の中の急勾配登りでミス。

ここで一気に、10秒以上の差がついてしまった。


最後はブラントとアルバラードのスプリント一騎打ち。ホームストレートで横並びで本気スプリントという、シクロクロスではなかなか見られない光景。

以前のスプリントではブラントがアルバラードを圧倒していたが、今回はブラントのスプリントに対してアルバラードも粘り、2段階目のスプリントを放つだけの体力を残していた。

そして最後の最後で、なんとブラントを差し切って、アルバラードが勝利。

元世界女王の執念の勝利となった。

【X2Oバドカマー・トロフェー第7戦「リール」女子リザルト】

X2Oトロフェー第7戦「リール」女子リザルト

そして結果としてベツェマはブラントから13秒遅れ、ボーナスタイム分の10秒をすべて失ったうえでさらにビハインドを抱えることに。

【X2Oトロフェー女子 第7戦までの総合リザルト】

X2Oトロフェー女子 第7戦までの総合リザルト

最終戦でもまだ逆転できるタイム差を残しているという意味ではブラントも決して成功ではないものの、ベツェマにとっては大きなチャンスを失う、悔しい結果となった。


男子レース

全部で7周

女子レースと比べると、男子レースに関しては首位エリ・イゼルビット(パウェルズ・サウゼンビンゴール)と総合2位トーン・アールツ(バロワーズ・トレック・ライオンズ)とのタイム差が非常に大きく、その点では逆転を望める状況ではなかった。

【X2Oトロフェー男子 第6戦までの総合リザルト】

X2Oトロフェー男子 第6戦までの総合リザルト


スタートダッシュはイゼルビットが優先。中間ボーナスタイムはイゼルビットが先着し、アールツが2位。まずはここで5秒のタイム差をイゼルビットは上乗せすることになる。

2周目からは昨日のスーパープレスティージュ最終戦「ミッデルケルケ」でも優勝したローレンス・スウィーク(パウェルズ・サウゼンビンゴール)が今日も絶好調で独走を開始。

2着で2周目フィニッシュを越えたのはアールツ。しかしまだイゼルビットを含む3位集団とは4秒差しかついておらず、逆転には遥か遠い。

さらには3周目でアールツが大きなミスを犯し、一気に後退。一方でこの日、今シーズン最も調子の良い走りを見せることができたのが、コルネ・ファンケッセルトルマンス・シクロクロスチーム)であった。

先頭スウィークは変わらず。これを単独で追走するファンケッセル。イゼルビットと彼のチームメートであるマイケル・ファントーレンハウト(パウェルズ・サウゼンビンゴール)がファンケッセルを追いかけるが、当初彼らよりも前にいたラース・ファンデルハール(バロワーズ・トレック・ライオンズ)は昨日同様、アールツを助けるために足を止めた。

出入りの激しい2位以下集団に関しては、最終的にピドコックがタイヤを滑らせて転倒仕掛けたことで失速。

最終周回でファントーレンハウトがファンケッセルを抜き去ったものの、ファンケッセルは今期初の表彰台を獲得することになる。

そして、ローレンス・スウィーク、2日連続の優勝。今期4勝目、一時は重要なところで失速する場面の目立つ、前半だけ強い選手というイメージすらあったが、その実力の高さをしっかりと見せつける結果となった。

【X2Oバドカマー・トロフェー第7戦「リール」男子リザルト】

X2Oトロフェー第7戦「リール」男子リザルト

そしてアールツはイゼルビットからタイムを奪うどころか逆に失う結果となってしまい、最終戦での逆転は夢のまた夢となってしまった。

それどころか、下手したら総合2位の座をマイケル・ファントーレンハウトに奪われかねない状況に。

【X2Oトロフェー男子 第7戦までの総合リザルト】

X2Oトロフェー男子 第7戦までの総合リザルト


男女ともその行方が気になるX2Oバドカマー・トロフェー最終戦「ブリュッセル」は、来週2/14(日)に開催となる。

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