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ジロ・デ・イタリア2021 第4ステージ

イタリアを舞台に開催される今年最初のグランツール。サイモン・イェーツ、アレクサンドル・ウラソフ、エガン・ベルナル、レムコ・エヴェネプールなどが覇を競い合う、なかなか予想のつかない3週間。

第4ステージはピアチェンツァからセストラまでの187㎞丘陵ステージ。ステージ前半はポー平原の残り香ともいうべき平坦区間が続くが、後半から一気に山岳地帯に。

3級山岳を2つ超え、ゴール前2.5㎞地点には登坂距離4.3km・平均勾配9.9%・最大勾配16%の激坂が待ち受ける本格的な山岳ステージ。

今大会最初の総合争いが巻き起こる可能性も?


コースプレビューはこちらから


この日は前日に続き雨。

そして後半には激しい山岳が待ち構えているということもあり、25名もの大規模な逃げ集団が形成された。

アンドレア・ヴェンドラーメ(AG2Rシトロエン・チーム)
ルイス・フェルファーケ(アルペシン・フェニックス)
フィリッポ・タリアーニ(アンドローニジョカトリ・シデルメク)
ニコラ・ヴェンキアルッティ(アンドローニジョカトリ・シデルメク)
ヤン・トラトニク(バーレーン・ヴィクトリアス)
フィリッポ・フィオレッリ(バルディアーニCSF・ファイザネ)
フィリッポ・ザナ(バルディアーニCSF・ファイザネ)
サミュエーレ・ゾッカラート(バルディアーニCSF・ファイザネ)
ニコラ・エデ(コフィディス・ソルシオンクレディ)
ピーター・セリー(ドゥクーニンク・クイックステップ)
マールトン・ダイナ(EOLOコメタ)
フランチェスコ・ガヴァッツィ(EOLOコメタ)
アッティラ・ヴァルテル(グルパマFDJ)
クエンティン・ヘルマンス(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
アレッサンドロ・デマルキ(イスラエル・スタートアップネーション)
ネルソン・オリヴェイラ(モビスター・チーム)
クリストファー・ユールイェンセン(チーム・バイクエクスチェンジ)
ニコ・デンツ(チームDSM)
ヴィクトール・カンペナールツ(キュベカ・アソス)
クーン・デコルト(トレック・セガフレード)
アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(トレック・セガフレード)
ジャコポ・モスカ(トレック・セガフレード)
ヴァレリオ・コンティ(UAEチーム・エミレーツ)
ジョセフロイド・ドンブロウスキ―(UAEチーム・エミレーツ)

タイム差は最大で7分ほど。メイン集団は主にイネオス・グレナディアーズが牽引。マリア・ローザを切るフィリッポ・ガンナが献身的に牽引していく。

残り75.2㎞地点にある最初の3級山岳カステッロ・ディ・カルピネッティの登りの途中で逃げ集団からタリアーニとゾッカラートが脱落。

その山頂はガヴァッツィが先頭通過するが、その先の下りでアンテルマルシェのヘルマンスとタラマエ、そしてバイクエクスチェンジのユールイェンセンの計3名が抜け出す。


しばらく先頭の3名、少しずつ数を減らしていく追走集団、そしてメイン集団の3つのグループでレースが動き続ける。

残り50㎞を切って先頭とメイン集団とのタイム差は8分を超え、逃げ切りが確定。

あとは前の3人と追走集団の中から、誰が勝つか、となった。


先頭3名はひたすらユールイェンセンが先頭交代を拒否してビタ付き。

やがてヘルマンスが脱落し、先頭はタラマエとユールイェンセンの2人だけになる。

2つ目の3級山岳モンテモリーノ(残り43.6㎞)をタラマエが先頭通過する頃には、先頭2名と13名程度にまで絞り込まれた追走集団とのタイム差が1分近くにまで迫ってくる。

最後の厳しい登りではこの2名と13名はミックスされる可能性は十分にあり、まだまだ誰が勝つのか予想のつかない状況であった。


残り6.8㎞から最後の2級山岳コッレ・パッセリーノに登り始める。

登坂距離4.3km・平均勾配9.9%・最大勾配16%の難関山岳。

ここで、追走集団からアレッサンドロ・デマルキがアタックを仕掛け、今日1日ずっと彼をマークし続けていたというジョセフロイド・ドンブロウスキだけがこれに食らいついていく。

そしてメイン集団でもこの登りで動きが。初日のTTで素晴らしい走りをして見せた2019年ツール・ド・ラヴニール覇者トビアス・フォスが脱落し、続いて昨年総合4位・今大会も総合争いの中心人物になると予想されていたジョアン・アルメイダが、あまりにも早すぎる脱落を喫する。

先頭ではデマルキとドンブロウスキーが先頭2名を捕まえ、そして逃げ続けていたタラマエ、ユールイェンセンはやがて引きちぎられていく。

そしてドンブロウスキーがデマルキを突き放し、コッレ・パッセリーノ山頂を先頭通過。

これまでツアー・オブ・ユタでの3勝しかプロ勝利経験のない今年30歳のアメリカ人が、初のヨーロッパでの勝利に向けた独走を開始する。

メイン集団では山頂直前でミケル・ランダがアタック。初日のTTで他の総合勢に対して10秒~20秒を失っていた彼にとって、ここは挽回のチャンスである。

このランダのアタックに反応したのがアレクサンドル・ウラソフ、エガン・ベルナル、ヒュー・カーシー、そしてジュリオ・チッコーネ。サイモン・イェーツもレムコ・エヴェネプールもエマヌエル・ブッフマンもここにはついていくことができなかった。


先頭ではそのままドンブロウスキーが単独でフィニッシュ。

2年ぶり、4回目のプロ勝利、そしてグランツールではもちろん初の勝利となった。

第4ステージ


もともと総合タイムではドンブロウスキーよりも30秒以上上回っていたデマルキが13秒遅れで2位フィニッシュしたことで、マリア・ローザはデマルキの手に。

イタリア人の彼にとっても、この日は1つの「勝利」を手に入れた。そして総合争いにおいては、フォス、アルメイダが大きく遅れ、エヴェネプールに対してもタイム差を少し稼ぐことのできたウラソフが「総合勢」の中では大きくリードを得ることに成功。

一方、アルメイダ以外にタイムを失ってしまった総合勢としては、ジョージ・ベネット、ブッフマン、ヒンドレー、ソレル、ニバリ、ビルバオなど。

まだまだ序盤、大きくタイムが失われてはいないものの、現状においてはこのウラソフ、エヴェネプール、カーシー、ベルナル、あるいはランダやサイモン・イェーツなどが中心となって総合争いを繰り広げることになるかもしれない。

そして今回、ランダやベルナルに食らいついていったチッコーネは意外な伏兵として総合争いに絡んでくる可能性も。


第5ステージは第2ステージに続くピュアスプリンターステージ。ユアンのリベンジはなるか。

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