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ティレーノ~アドリアティコ2021 第6ステージ

イタリアの西海岸(ティレニア海)と東海岸(アドリア海)とを結ぶ、「2つの海を結ぶレース」。

第6ステージはカステルライモンドからリド・ディ・フェルモまでの169㎞平坦ステージ。

第1ステージに続く今大会2回目にして最後のピュアスプリントステージ。当然、トップスプリンターたちによる集団スプリントが期待されていたが・・・

全ステージのコースや注目選手プレビューはこちら


逃げは6名。

シモーネ・ヴェラスコ(ガスプロム・ルスヴェロ)
ヤン・バークランツ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
マッズ・ウルツシュミット(イスラエル・スタートアップネーション)
ブレント・ファンムール(ロット・スーダル)
ネルソン・オリヴェイラ(モビスター・チーム)
エミルス・リエピンス(トレック・セガフレード)

残り90㎞時点で6分半のタイム差。そこから距離を消化するごとに少しずつタイム差は縮んでいった。


だが、その縮んでいくペースが正直、かなりスローペース。

残り30㎞時点でもタイム差3分17秒。「1分10㎞」の法則でいえば、これはかなり怪しい状況と言わざるを得ない。

ティレーノ~アドリアティコの「アドリアティコ」すなわちアドリア海沿いのコースに吹き付ける強烈な海風・横風が集団の勢いを削いでおり、またカレブ・ユアンも不在のプロトンでは何としてでもこの日のステージを取りたいトップスプリンターズチームの勢力・やる気がやや薄れ気味か?

残り16㎞でもタイム差は2分33秒

そして残り10㎞で2分10秒。

これはもう、逃げ切りが確定した。

この日のステージは、リエピンスが脱落した残り5名の先頭集団の中で争われることとなる。


ラスト1㎞のゲートを潜るまでローテーションを回し続けていた先頭5名。

残り800mから少しずつ牽制状態に。スプリント力で劣るネルソン・オリヴェイラや、2013年のツール・ド・フランス第2ステージでラスト1.5kmから飛び出して1秒差の逃げ切り勝利を演出したヤン・バークランツなどが果敢なアタックを決めるかも、と思っていたが、ラスト500mのクランクを越えてもなお先頭は5名のまま動かず。完全にスプリントで勝負を決めるつもりだ。

クランク終了後、先頭に立っていたのはオリベイラ。そのままスプリントを開始するが、その背後にいた山岳賞ジャージを(繰り下がりで)着るウルツシュミットが飛び出す。

後方から(この5名の中で最もスプリント力があったに違いない)ブレント・ファンムールが加速するも、ポジション取りが悪かったこともあって、最後は届かず。ウルツシュミットに並ぶこともできず、悔しそうにハンドルを叩いた。

そして見事優勝を成し遂げたウルツシュミット。実は5年ぶりの勝利だったという彼はフィニッシュ後に涙を流す場面も。トップライダーたちばかりが勝利を集めていた今年のティレーノ~アドリアティコで最後の最後で訪れた大きなサプライズ勝利だった。

第6ステージ

後続の集団はメルリエが先頭を獲得。

全ステージシングルリザルトフィニッシュもありえたワウト・ファンアールトもこの日は最後に力を抜いたのか13位に沈む。


明日は最終日、10㎞ちょっとの個人タイムトライアル。

フィリッポ・ガンナの優勝がほぼほぼ約束されつつも、この日しっかりと足を温存した世界選手権2位のワウト・ファンアールトが彼に土を付けさせることができるか、あるいは圧倒的総合首位で勢いに乗るタデイ・ポガチャルが、昨年のツール・ド・フランスに続く奇跡を起こすか。

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