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ツール・ド・フランス2021 第6ステージ

2008年、同じフィニッシュ地点で、マーク・カヴェンディッシュは初の勝利を成し遂げた。

そんな街、シャトールーへフィニッシュする全長160.6㎞の平坦第6ステージ。

横風の不安もささやかれていたこのステージで、今日はどんなドラマが巻き起こるのか。

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アクチュアルスタート直後にまず飛び出していったのはトムス・スクインシュ(トレック・セガフレード)カスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)ニルス・ポリッツ(ボーラ・ハンスグローエ)ヨナス・リッカールト(アルペシン・フェニックス)グレッグ・ファンアーヴェルマート(AG2Rシトロエン・チーム)セーアン・クラーウアナスン(チームDSM)ゲオルグ・ツィンマーマン(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)といった、非常に豪華な8名。

しかし1分49秒遅れの総合11位アスグリーンが含まれていたことでさすがにメイン集団もこれは逃がすわけにはいかない。スタートから30㎞程度を消化して逃げのほとんどが捕まえられるが、その中からグレッグ・ファンアーヴェルマート(AG2Rシトロエン・チーム)だけが単独で抜け出す。

そこに今度はロジャー・クルーゲ(ロット・スーダル)が追いついて本日の逃げはこの2人に。

あとは完全にペースを落としたメイン集団と先頭2人とで、落ち着いた集団スプリントステージの様相を呈し始めた。


残り88㎞地点の4級山岳コート・ドゥ・サンテニャン(登坂距離2.1km、平均勾配2.9%)はファンアーヴェルマートが先頭通過。続く残り56.3㎞地点の中間スプリントポイントも、同じくファンアーヴェルマートが先頭で通過した。

そしてメイン集団での3位争い。ミケル・モルコフ(ドゥクーニンク・クイックステップ)がいつも通り先導したが、左から上がってきたペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)に対してやや露骨な進路妨害に近い動きをしてしまうなど、やや混沌気味のスプリントに。

そのモルコフが引き上げる予定だったマーク・カヴェンディッシュはいまいち伸び切らず、代わってイタリアチャンピオンジャージを着るソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)が右から駆け抜けていき3位(15ポイント)通過。

以下、モルコフ、ジャスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス)マイケル・マシューズ(チーム・バイクエクスチェンジ)、カヴェンディッシュ、サガン・・・と続いていった。

その後は恐れられていた横風もなく、先頭の2人は完全に泳がされながら着実に残り距離とタイム差を削っていった。


残り10㎞で40秒差。残り8.5㎞でもこのタイム差は縮まらず。

第4ステージに続き「まさか」を思わせるタイム差の減少ペースだったが、その後一気に集団もペースアップ。残り5.5㎞でタイム差は20秒にまで迫ってきた。

メイン集団はカスパー・アスグリーンを先頭に、ドゥクーニンク・クイックステップがアシストを5枚カヴェンディッシュの前に置いて集団の先頭を縦に長く伸ばしていく。

残り3.3㎞。タイム差は5秒。ここでアルノー・デマールにとっての重要な発射台ヤコポ・グアルニエーリが単独で落車。

コルブレッリのためのバーレーン・ヴィクトリアスのアシストが集団の先頭でペースアップし、残り2.5㎞で逃げの2人を吸収。

残り2㎞から、アルカンシェルを着たジュリアン・アラフィリップが先頭に立ち、背後にダヴィデ・バッレリーニ、ミケル・モルコフ、そしてカヴェンディッシュを引き連れてペースアップ。

第4ステージはバッレリーニがパンクで後退していたために最後枚数が足りなかったが今回はその点万全。

だが、残り700mで、マイヨ・ジョーヌを着るマチュー・ファンデルプールがヨナス・リッカールト、ティム・メルリール、ジャスパー・フィリプセンを引き連れて猛烈な勢いで先頭に躍り出てくる。

世界最強のドゥクーニンクトレインに、4分の3がワールドツアーチーム経験のないアルペシントレインが互角に渡り合うという、恐ろしい事態。

残り500m。ファンデルプールが交代し、先頭はリッカールトに。

左の方ではバッレリーニがモルコフとカヴェンディッシュを引き連れてラストスパートを仕掛けていく。

フィリプセンの後ろにはサガン、その左にはファンアールト、右にはブアニを引き連れたコフィディスのアシスト。

カヴェンディッシュの後ろにはボル、コルブレッリがそれぞれつながっている。

残り300mで、最終的に主導権を奪ったのはアルペシン・フェニックスであった。

「ダブルエース」の片割れティム・メルリールがエース級の加速力で先頭に躍り出てフィリプセンを引き上げていく。

「最強リードアウター」モルコフも、さすがにこの豪華すぎる最終発射台には敵わず。最後は先頭を奪い取られてしまった。


だが、カヴェンディッシュがさすがなのは、ここですぐさまフィリプセンの後輪に「乗り換え」たこと。

あとは、今シーズン、カヴェンディッシュとの一騎打ちで常に後塵を拝し続けているフィリプセン。

今回もまた、勝ったのはカヴェンディッシュだった。

第6ステージ


これでカヴェンディッシュはツール・ド・フランス32勝目。

その1勝目を記録したのが2008年のこの同じシャトールーであった。

そして、同じシャトールーの舞台では、今回で3連勝。

最高に相性の良いこの地で、カヴェンディッシュは偉大なるメルクスの記録へとあと2歩といったところにまで辿り着いた。


このまま記録を伸ばしていけるのか?

ただ、今日で第1週のスプリントステージは終了。明日からは、いよいよ丘陵~山岳系ステージ、総合争いの舞台へ突入していく。

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