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2021シーズン最強「クラシックスペシャリスト」ランキング

2021シーズンの「全1クラス以上のレース」のTOP10に独自のルールでポイントを付与。その結果出された、今シーズン最も実績を出した「最強クラシックスペシャリスト」を発表していきます。

クラシックスペシャリストという言い方ですが、実際には「北のクラシックスペシャリスト」というのが正確なところ。すなわち、石畳や未舗装路を特徴とするレースを得意とする、重量級のルーラータイプのライダーたちだ。

どうしても対象レースが少ないため、優勝などの派手な活躍をしていない選手が上位に入っているパターンも。

逆に言えば、普段はあまりそんなイメージのなかった活躍を実はしている選手たちを確認できるチャンスでもあり、興味深く見ていこう。

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20位~11位(名前のみ)

クラシックスペシャリストランキング20位~11位

どうしても対象レース数の関係でパンチャーランキングやスプリンターランキングと比べると団子状態となるこのクラシックスペシャリストランキング。本来であれば上位に来るべきであろうワウト・ファンアールトや、ヘント〜ウェヴェルヘムを勝ったディラン・ファンバーレなどもこの位置に。

そしてパリ〜ルーベで素晴らしい走りを見せ最後は2位となったフロリアン・フェルメールシュも、来年はさらに上位を目指せるはずだ。

今年十分ではなかった選手、そしてこれから伸びるであろう選手があつまったこのTOP20は、来年注目すべき選手たちの宝庫である。

では、TOP10を見ていこう。


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「無冠の帝王」ファンマルクは、4年間を過ごしたキャノンデール〜EFチームを去り、今年からイスラエルに。EF時代はチームメートたちとの見事な連携で「王者誕生」を支えたこともあったが、このイスラエルではやはり孤独な戦いを強いられる印象が強かった。

だが、オンループ3位、ロンド5位という成績は、彼がまだ決して衰えてはいないことを示している。今年のファンマルクが「北のクラシックで強かった」という印象を抱けている人は私も含め多くはないだろうが、このランキングはそういう印象の誤謬を正しいデータでもって修正する。

あとは、「あと一歩」を越えられるか。肝心の来季の補強は・・・今のところユーゴ・ウルくらいか?


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スプリンターランキングでもTOP10入りを果たしていたファンポッペル。その強みは、多少の起伏や悪路をものともしないタフネスさ。比較的スプリンター寄りのクラシックレースで上位に入り込んでこの成績となった。

来年はボーラ入りを果たす。その役割は正直、アシストが中心となりそうな気はする。クラシックにおいても、サガンがいなくなるとはいえ、最大のエースはニルス・ポリッツだろう。

とはいえ、クラシックの層がどうしても薄くなる来年のボーラにとって、ファンポッペルの存在はかなり大きいのは間違いない。ポリッツも常に安定しているわけではないので、チャンスは十分にあるはずだ。


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昨年のオンループ覇者。今年はミラノ〜サンレモを制するなど、辛く長い時期を乗り越えて、ロードレーサーとしての最盛期とも言えるこの20代末を謳歌している。

そんな彼が目指すべき次の目標は? やはり、世界最高のクラシック、ロンドとルーベに違いない。今年はついに、ロンドで自身最高の成績である4位を記録。ルーベも2017年に4位、2018年に5位と好成績を出しているだけに、来年は期待が持てそう。

とくにUno-Xから来年移籍してくるマルクス・フールガードは、今年のE3で8位、世界選手権で12位など、エース級の活躍も期待ができる実力者。

エドワード・トゥーンスもそろそろ「復活」し、新生トレック劇場を展開してくれることが楽しみだ。


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スプリントだけでなく、激坂もTTも石畳もいける万能スプリンター。ゆえに器用貧乏的な場面もよく見られるが、今年はあの超サバイバルのルーベで6位など、紛うことなき強さを見せつけた。

とはいえ、そんな彼がエースとして北のクラシックを勝つ姿まではなかなか想像できない・・・と、思っていた中で、発表された「ユンボ・ヴィスマへの移籍」。これが意味することはもちろん・・・ワウト・ファンアールトにとっての最大の補強である。

実力は申し分ないなかで、今一歩チーム力で劣るファンアールトにとって、クラシック班の強化は最優先事項。今年はCCCチームからやってきたネイサン・ファンフーイドンクに助けられヘント〜ウェヴェルヘムを勝った彼が、来年はこのラポルトの力を借りてどんな成果を掴み取るのか。


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とにかく強かった。彼自身の勝利自体は、今シーズン開始時点で2勝と決して多くはないが、とにかく、ドゥクーニンク・クイックステップがクラシックで勝利するとき、彼は常に先頭集団に身を置き、チームの「数の有利」の一角を担っていることが非常に多い。

たとえば今年のオンループ・ヘットニュースブラッド。あるいはE3ビンクバンク・クラシック。ロンド・ファン・フラーンデレン。番外編として、ジュリアン・アラフィリップが勝利した世界選手権ロードレースでも、アラフィリップのチームメートとして、やはり最後の局面まで彼と共に先頭集団に残り、飛び出したアラフィリップを追いかける集団の中での重し役として機能した。

ライバルたちが無視できないほどのスプリント力を持ち、かつクラシックなレースでも脱落しないタフネスさを併せ持つ。チームの切り札として常に期待される位置に居続ける才能は、「ウルフパック」にとってはなくてはならない存在である。

ブエルタ・ア・エスパーニャではファビオ・ヤコブセンの重要なトレイン要員としても重宝され、第13ステージでは、ヤコブセンが脱落した後の代理エースとして急遽立たされながら、しっかりとそのチャンスをモノにして、自身初の、現時点で唯一のワールドツアー勝利を手に入れた。


今後もチームのクラシック班の大きな柱として活躍してほしい。

一方で、彼自身の勝利も。ブルッヘ〜デパンヌやヘント〜ウェヴェルヘムなんかは十分狙える実力があるだろうし、期待したい。


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