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オキシクリーンクラシック・ブルッヘ〜デパンヌ2021

ベルギー・ウェスト=フラーンデレン州の州都ブルッヘ(ブルージュ)から西進し、ベルギー最先端・フランス国境沿いに位置する北海に面した街デ・パンネまでの203.9㎞。

かつては「デパンヌ3日間(ドリダーフス・ブルッヘ~デパンヌ)」の名で親しまれ、実際に3日間にわたる北のクラシック系ステージレースとして開催されていたが、近年は男子レースは1日だけに。今年はついにその「3日間」の名を外すこととなった。

基本はスプリンター向きのワンデーレース。ただし昨年は北海特有の横風に寄る混乱から小集団が出来上がり、最後はイヴ・ランパールトによる逃げ切り勝利。

週末のE3・サクソバンク・クラシックやヘント~ウェヴェルヘム、そして来週のドワースドール・フラーンデレンやロンド・ファン・フラーンデレンへとつながるフランドル・クラシックの開幕戦として、非常に重要な一戦となっている。

昨年のレースについては下記参照


序盤にできた逃げは6名。

アレクシー・グジャール(AG2Rシトロエン・チーム)
バルナベス・ピーク(チーム・バイクエクスチェンジ)
ヘルベン・タイッセン(ロット・スーダル)
ルーベン・エイパース(スポートフラーンデレン・バロワーズ)
エーリクノルシャエテ・レッセル(UNO-Xプロサイクリングチーム)
ワウト・ファンエルサッカー(ヴィーニザブ)

これをドゥクーニンク・クイックステップのティム・デクレルクなどが中心となって集団牽引し、残り76km地点ですべて吸収。

デクレルクはこの仕事を終えて残り100㎞を前にしてバイクを降りている。週末から始まる本格的な北のクラシックに向けて、足を使い切らないようにする作戦か。


逃げを一旦すべて吸収したメイン集団からは、残り71㎞でモビスター・チームのセバスティアン・モーラがアタック。

しばらく単独走を続けていたがこれは残り45㎞地点で吸収。

残り30㎞手前で今度は同じくモビスター・チームのルイス・マスとアスタナ・プレミアテックのダヴィデ・マルティネッリの2人がアタック。

スプリンター不在かつ北のクラシックにあまり強みのない両チームが積極的な動きを試みる形となった。


この2人の逃げが残り21㎞で集団に捕まると、今度はロット・スーダルの若手ブレント・ファンムールが独走を開始。

残り11㎞でこれも集団に吸収されると、いよいよ最後の大集団スプリントに向けて各チームが体制を整え始めていく。


トタル・ディレクトエネルジーなどが積極的に牽引していくメイン集団。残り2㎞を超えて集団が縦に長く伸び始めると、そこからロット・スーダルのトッシュ・ファンデルサンドが不意打ち気味のアタックをするも、ドゥクーニンク・クイックステップが先頭を支配し始めるとただちに吸収。

残り1㎞から400m以上にわたり先頭を牽引し続けたフロリアン・セネシャルからベルト・ファンレルベルフにつなぎ、最後は完璧な体制で最終発射台のミケル・モルコフに。

こうなればもう、勝ち確定であった。まだモルコフが先頭を牽く残り250mの時点でジャスパー・フィリプセンもパスカル・アッカーマンも勝負を仕掛けるほかなく、サム・ベネットvsフィリプセンvsアッカーマンではなく、完全にモルコフvsフィリプセンvsアッカーマンという状況に。フィリプセンとアッカーマンが競ってベネットの番手を獲り合っていたことも、結果として二人が早めの仕掛けをせざるを得ない状況を自分たちで作り出していたとも言える。

残り150mの必勝ラインからサム・ベネットが放たれたときにはもう、フィリプセンもアッカーマンも終戦状態となっていた。

なお、フィリプセン、アッカーマン以外はこのモルコフリードアウトのあまりの強烈さに千切れて最初から勝負にならず。

やはりドゥクーニンク・トレインはあまりにも強すぎる。

6.オキシクリーン・クラシック・ブルッヘ~デパンヌ


全体的にはやはりクラシック系に強いスプリンターが上位に来て、ステージレースの平坦ステージなどで上位に来るピュアスプリンタータイプとはまた違った面子が上位に並ぶ。

その中で勝ちきるベネットはさすが。彼にとっては初のワンデーレースでの勝利ということで、また一つ殻を打ち破った形となった。

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