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ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第12ステージ

かつてのイスラム王朝の首都、コルドバにフィニッシュする175㎞丘陵ステージ。

フィニッシュ前17.2㎞地点に2級山岳「14%峠」という名の登りが。

逃げ切りか、登れるスプリンターによる勝利か。勝者の予想が非常に難しいステージである。

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本日も最初から激しい打ち合いでなかなか逃げが決まらず。

一時は15名ほどの逃げ集団も生まれる瞬間もあったが、最終的には以下の8名に。

スタン・デウルフ(AG2Rシトロエン・チーム)
イェツ・ボル(ブルゴスBH)
フレン・アメスケタ(カハルラル・セグロスRGA)
ミケル・イツリア(エウスカルテル・エウスカディ)
セバスティアン・バーウィック(イスラエル・スタートアップネーション)
マキシム・ファンジルス(ロット・スーダル)
サンデル・アルメ(キュベカ・アソス)
チャド・ハガ(チームDSM)

このうちハガは残り50㎞を前にして脱落し、残りもラスト17.2㎞地点に用意された2級山岳アルト・デル・14%(登坂距離7.2㎞、平均勾配5.6%)の登りの突入すると共にバラバラに。最後はファンジルスが単独で生き残るがこれも残り21㎞地点で捕まえられてしまった。

ファンジルスが吸収されると同時に、プロトンからはジェイ・ヴァイン(アルペシン・フェニックス)ジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)がアタック。さらにここに山岳賞2位のロマン・バルデ(チームDSM)と元パリ~ニース覇者セルジオ・エナオ(チーム・キュベカ・ネクストハッシュ)も追随。先頭は4名に。

2級山岳山頂はバルデが先頭通過を果たし、山岳ポイント合計を27ポイントにまで伸ばす。山岳賞首位のダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス)まであと4ポイントに。

さらに下り巧者バルデを含む4名は集団に対して30秒近くをキープし続ける。メイン集団からは一時、ヨン・イサギレ(アスタナ・プレミアテック)マッテオ・トレンティン(UAEチーム・エミレーツ)が飛び出す場面もあったが、マイケル・マシューズで勝利を狙いたいチーム・バイクエクスチェンジがアシスト総出で隊列を組み集団を猛牽引。

イサギレとトレンティンも吸収したうえで、残り5㎞でタイム差20秒。残り3㎞で11秒差と着実に縮めていく。トレンティンが吸収されたのちはUAEチーム・エミレーツもこの牽引に加わった。

最後は4名の中からヴァインがただ一人ギリギリまで粘るが、これもラスト800mを過ぎたところで吸収。

メイン集団はバイクエクスチェンジが引き続きコントロールしていくが――その最終カーブで、突如EFエデュケーション・NIPPOのイェンス・クークレールマグナス・コルトニールセンを引き連れて強烈な加速。

バイクエクスチェンジの面々を追い抜いて、コルトニールセンを発射。ここにアンドレア・バジョーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ)も食らいつき、マシューズもその後ろにつくが、最後はコルトニールセンが粘り切った。

今大会2勝目。そしてブエルタ・ア・エスパーニャでは合計5勝目となるこの勝利。前日の激坂フィニッシュでも勝利目前まで迫っていたまさに「オールラウンダー」。ジロ・デ・イタリアにおけるディエゴ・ウリッシのように、今後もこのブエルタで勝利数を伸ばしていけるか。

第12ステージ


途中、プリモシュ・ログリッチやアダム・イェーツも巻き込んだ落車なども発生していたが、大きな影響が生まれることはなかった様子。

第13ステージは久々の集団スプリントが期待される平坦ステージで、総合争いは第14ステージ以降の週末に委ねられることに。


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ドイツ・ツアー 第1ステージ

昨年は新型コロナウィルスの影響で中止となり、2年ぶりに開催されたドイツ最大のステージレース。2009年~2017年の間も開催されておらず、今年は復活後3回目のエディションとなる。前回までは1クラスだったが、今年からUCIプロシリーズに。

この3年、マテイ・モホリッチにジャスパー・ストゥイヴェンと、逃げが得意な選手たちに総合優勝がもたらされてきた独特なレース。過去にはイェンス・フォイクトが2回総合優勝していたりもする。

今年はパスカル・アッカーマンにアンドレ・グライペル、ジョン・デゲンコルプなドイツの名スプリンターたちが勢ぞろいするほか、引退したマルセル・キッテルもコメンテーターとしてマイクを持って会場入りしており、どこか懐かしい雰囲気すら感じさせた。

逃げはすべて捕まえられ、最後は集団スプリントに。しかしそれなりのアップダウンがあったこととラスト2㎞に落車が発生したこともあり集団はやや混乱気味に。ドゥクーニンク・クイックステップはエースのマーク・カヴェンディッシュがすでに先頭集団からは姿を消していたため、フランスロード王者のレミ・カヴァニャがイヴ・ランパールトとヤニック・シュタイムレを牽引しながら集団をコントロール。だが、これもラスト1㎞を切ってから崩壊し始めた。

代わって集団の先頭を奪い取ったのがボーラ・ハンスグローエ。パスカル・アッカーマンを背後に据えたアシスト1枚でラスト500mを爆走していくが、アッカーマンはラスト300mとかなり早いタイミングでスプリントを開始。その背後に迫る、バーレーンのフィル・バウハウス。これは厳しいか――と思ったが、このバウハウスの向こう側からは同じくバーレーンのマルコ・ハラーが並んでスプリント。さらにアッカーマンも一度は彼らに抜かれたがそこからまたもう一度踏みなおし、最後は粘り切って差し返して勝利した。

とくにバーレーンの動きは良く分からない感じではあったが、ずっと苦しい時期を過ごしていたアッカーマンが最近ちょっとずつ調子を取り戻しつつあるのを感じさせた。

来年からはUAEチーム・エミレーツ。ライバルの多いチームで、果たしてどんな活躍を見せてくれるのか。

ドイツ・ツアー第1ステージ


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ドライフェンクルス・オヴェライス

ベルギー、フラームス=ブラバント州で開催されたワンデーレース。1クラス。

フランドル・クラシックでも有名な石畳急坂が登場する割と本格的な北のクラシックレース。フランドルで開催される世界選手権に向け、現世界王者のジュリアン・アラフィリップやカレブ・ユアン、フェルナンド・ガビリアなど豪華な面子が揃った。

とくに、そのドゥクーニンク・クイックステップが強すぎた。まずは残り60㎞でレムコ・エヴェネプールが「いつも通り」独走を開始。さらにこれを、プロトンの中でジュリアン・アラフィリップと今年のE3とロンドの覇者カスパー・アスグリーンがローテーション妨害を仕掛ける完璧な体制。

それでも残り30㎞くらいにはタイム差も30秒近くにまで縮まっていたエヴェネプールだったが・・・ここで、目の前のコースで交通事故が発生しており、レースが一時中断。

約15分の「休憩時間」によりエヴェネプールの足は再び回復。再スタート後、タイム差は再び50秒近くにまで拡大し、余裕の逃げ切り勝利をかました。

今年の世界選手権も楽しみになるエヴェネプール劇場であった。


シマック・レディース・ツアーはこの日は17㎞の個人タイムトライアル(昨日までのPro Cycling Statsでは22㎞程度だったはずなのだが・・・)。

勝ったのは下馬評通りの、東京オリンピック銀メダリストマーレン・ローセル(アレ・BTCリュブリャナ)。

オランダ人のエレン・ファンダイク(トレック・セガフレード)、シャンタル・ブラーク(SDワークス)がそれぞれ2位・3位につけ、総合順位も当然この形に。

ローセルはファンダイクに12秒、ブラークに39秒の総合タイム差をつけており、残り3日間もすべて平坦基調という中で、果たして最後まで総合リーダーを守り切れるか。

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