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オーストラリア国内選手権2022 男子エリートロードレース

1/16(日)、オーストラリア・ビクトリア州の町ブニンヨンを舞台に、オーストラリア国内選手権男子エリートロードレースが開催された。

登坂距離2.9㎞・平均勾配5.3%のブニンヨン山を含む1周11.6㎞を16周、計185.6㎞のコースで戦われるレースは、毎年完走率も低いサバイバルなレースとなっている。


昨年はディフェンディングチャンピオンのキャメロン・マイヤーのため、チームメートのルーク・ダーブリッジが死力を尽くしてアシストを行い、最後はマイヤーの連覇が成し遂げられた激アツの展開。


今年はどんなドラマが描かれたのか、簡単にレビューしていこう。

※年齢表記はすべて2022/12/31時点のものとなります。


前回・前々回の覇者キャメロン・マイヤー率いるチーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコは、今年Covid-19の影響を受けて欧州に選手の多くを残留させたことで、出場選手はマイヤーとダーブリッジとカラム・スコットソンとわずか3名。

そのうちマイヤーはレース前に負傷していたらしく、スコットソンと共に中盤までの間にリタイア。

先日TT王者となったばかりのローハン・デニス(ユンボ・ヴィスマ)も、チームメートのクリス・ハーパーを引き上げるために尽力したのちにリタイアし、レースをコントロールしうる有力勢が次々と数を減らす中、散発的なアタックが繰り返される激しい展開となった。


元EFエデュケーション・NIPPOのライダーであり、今年はコンチネンタルチームのブリッジレーンに移籍することとなったジェームス・ウェーラン(26歳)が、この日は常に積極的に動き続けた。

そして残り3周を前にして集団から抜け出し、最終的に逃げていた選手たちをすべて追い抜いて単独で先頭に立った。


しかし、他に一緒に逃げる選手がいればまだしも、たった1人で残り30㎞以上を逃げ続けるのは至難の業であった。

さらに、残り30㎞を切って今年からイネオス・グレナディアーズ入りを果たした期待の若手ルーク・プラップ(21歳)が集団から飛び出し、ハイ・ペースで追走を開始。

昨年の国内選手権エリート個人タイムトライアルでルーク・ダーブリッジをも打ち破った独走力を用いて、着実にウェーランを追い詰めていくプラップ。

これを追いかけるメイン集団では、たった1人となったルーク・ダーブリッジとチーム右京のベンジャミン・ダイボールが中心となって牽引するが、ユンボ・ヴィスマのクリス・ハーパーなどは消極的で、なかなかペースが上がらない。

残り1周(11.6㎞)の段階で先頭ウェーランとダーブリッジらメイン集団とのタイム差は1分40秒。

この集団が勝利を掴む可能性はゼロになってしまった。


そして、残り9㎞。最後のブニンヨン山の登りの途中で、ついにプラップは先頭のウェーランを捉える。

そしてこれに並びかけると同時にこれを追い抜き、あっという間に突き放してしまった。


昨年は残り50㎞近くから飛び出したがあまりにも早すぎて失速してしまったプラップだったが、今年はその反省からか残り30㎞まで集団の中でしっかりと足を溜めていた。

そして自らが絶対に勝てるタイミングでしっかりと抜け出し、得意の独走パターンに持ち込む。

自らの武器を十分に活かし切った走りであった。


そして2022シーズン最初の国内選手権ロードレースの勝者はイネオス・グレナディアーズの新人ルーク・プラップの手に。

昨年の個人タイムトライアルに続き、エリート国内王者2冠を早くも達成することとなった。


昨年のツアー・ダウンアンダー代替レースとなったサントス・フェスティバル・オブ・サイクリングにて頭角を表したオーストラリア期待の若手。

昨年はその活躍のあとに5つものワールドツアーから声をかけられたという。


最終的に、大先輩リッチー・ポートのいるイネオス行きを選んだプラップ。その緒戦となるこの国内選手権で、見事プロ初勝利を早くも成し遂げてみせた。

水曜日の個人タイムトライアルでは、Covid-19の濃厚接触者に指定された影響で出走できず、連覇の機会を失う悔しい思いをしていただけに、この勝利は格別のものであっただろう。



2位はプラップに突き放されたあとも独走し続けたウェーランがそのままフィニッシュ。

3位には集団から抜け出して1人プラップたちを追い続けていたブレンダン・ジョンストン(31歳)が獲得した。

ルーク・ダーブリッジは7位、クリス・ハーパーは9位、チーム右京のベンジャミン・ダイボールは10位という結果に終わり、昨年感動的な勝利を記録したバイクエクスチェンジは今年は悔しいシーズン開幕を迎えることとなった。


来週日曜日(1/23)からは今年のサントス・フェスティバル・オブ・サイクリング(ツアー・ダウンアンダー代替レース)の女子版が始まり、1/27(木)からは男子版が3日間の日程で開催される。

その前日の1/26(水)からは今年の1クラス以上の最初のレースであるマヨルカ・チャレンジが始まり、アレハンドロ・バルベルデやパスカル・アッカーマン、マキシミリアン・シャフマンなどトップライダーたちも早速出場予定。


いよいよ、今年の自転車ロードレースが本格的に開幕する。

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