読書感想:ままならないから私とあなた

同じ著者である『何者』、結構昔に読んだけど面白かった。

先日、久々に最新作『正欲』を読んだ。
結果、私的大ヒット。
生涯ベスト5小説にランクイン。
超絶好みで、刺激的で面白く、脳味噌にガツンと突き刺さった。
言葉ってやっぱ好きだなと思えた。

という事で、私の中に朝井リョウブーム到来。
勢いで本書『ままならないから私とあなた』をAmazonでポチりました。
短編『レンタル世界』と表題作『ままならないから私とあなた』の2編収録。
共通テーマは「自己と他者」「違い」について。

『レンタル世界』あらすじ

陽キャ、チャラチャラ、やや傲慢な元ラガーマンの主人公「雄太」と、同系統の先輩「野上」。
友人結婚式の新婦友人の女性とひょんな事で再会、実は彼女は『レンタル友人』というバイトだったという事を知る。
友人や彼女をレンタルするのはおかしいと思う雄太は、彼女に『真の付き合い』を説いていく。
だが、最終的には、、、

まず「雄太」と「野上」二人の勝ち組風なかけあいにイライラ。
本でこんなの読んで楽しい人は誰もいないだろ?と思ったけど、それはホントに最初だけ。
どんでん返し、価値観の転換的なラスト。
うん、こーゆーのやはり好き。

ちゃんとした人と見られたいから取り繕う。
これの究極系な感じの話。
「結婚する理由はちゃんとした人に見られたいからというのもある」的なワード、心に深くに刺さる。
これを100%否定できるなかなかいないんじゃないか?と個人的には思う。
100%否定できる人は、私は心から憧れる。
ともかく、私は人からよく見られたいのだなと痛感した。

『ままならないから私とあなた』あらすじ


天才少女と呼ばれ、成長に伴い無駄なことを切り捨てていく薫と、無駄なものにこそ人のあたたかみが宿ると考える雪子。
親友の2人が大人になるにつれ、価値観の違いが浮き彫りになり、徐々にすれ違いが大きくなっていく。
そして最終的には、、、

終盤まで大きな盛り上がりを抑えているが、女の子の繊細なすれ違いを描いていて飽きない。
薫がかなりぶっ飛んでるけど、雪子への愛はある。
お互い好きだからこそ、浮き彫りになる違いにそっと蓋をしようとするも、徐々に大きくなっていく感がなんとも切ない。
違いを諦めてる人パターンは他に多数読んだけど、この手のパターンはあまり読んだことがなかったかも。
愛と執着があるからこそ、違いが辛いね。
終盤、爆発することが分かっていて、やはり爆発。(キター!!)
これはこれで大好き。

そして、共通テーマながらも、構成が真逆な2編という読み合わせ。
まぁーズルイ、上手い。

朝井リョウ、やはり好きです。
ブームはしばらく続きそう。

ちなみに、他の好きな作家は以下の通り。
・中村文則
・村田紗耶香
・ピース又吉大吉
・オードリー若林(エッセイだけど)

エンタメ小説ではなく、言葉とか人間深掘りが好みです。

終わり。


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