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2021-03-09 カスタマーサクセス カンファレンス|BRIDGE 2020 再放送スペシャル #CSカレッジ

2021/03/09 に開催された カスタマーサクセス カンファレンス|BRIDGE 2020 再放送スペシャル / 3月9日(火):ヘルススコアの設計やテックタッチの実践、業務プロセスの体系化の肝 のイベントレポートです。

●イベント概要
昨年11月に1100名以上が参加した日本最大級のカスタマーサクセスカンファレンス「BRIDGE2020」。日本のカスタマーサクセスを代表する約40名のリーダーが16セッションに渡って最新の理論や成功事例を語りました。

これからカスタマーサクセスを学ぶ方も、既に実践を深めている方からも好評を博したイベント。そんな「BRIDGE2020」を、3月中旬の月曜日・火曜日の夜に3週連続で再放送します!

各日の最後には懇親会、主催者への質疑応答コーナー、特別パネルトークセッションなども予定しています。カスタマーサクセスの知見を深め、同じ業界で切磋琢磨する仲間と繋がる場として是非ご参加ください!


■先駆者が語る成功するヘルススコア、失敗するヘルススコア

山田 ひさのり さん [Sansan]
ミヤ アンジェリン さん [ビズリーチ]
高橋 歩 さん [HiCustomer]

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●ヘルススコアってなんですか?
・顧客の健康状態を表現する数値群
  体重計や血圧は毎日測る
  身長は毎日測らない
  健康状態を把握するために何を測るか

・山田さん

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  sansanのヘルススコア
    deployment
    engagement
    adoption
    ROI
  gainsight DEAR Frame
    deployment
      プロダクトを利用する上で、理想的な環境かどうか
      スマホのサービスなら社員全員にスマホが貸与されているか
    engagement
      顧客との関係性が良好かどうか
    adoption
      利用率
    ROI
      お客さんに対してどれだけ利益を出しているか
      bizreachなら採用数など
  ヘルススコアカラー
    green / lime / yellow / red
    5段階だと、真ん中が良いのか悪いのか曖昧
    大体limeが多い
  DEARの中でどの値をどう扱うかを、どう決めていく?
    まずは営業やカスタマーサクセスマネージャーの直感に頼る
    こういうお客さんは注意すべきを持っているもの
    それを引き出すところから
  大企業と中小企業、業種ごとなどで軸は変わる?
    MRRの金額ごとに分岐点が変わる
    分けたほうが良い
    大企業の利用率に対して、中小なら金額が下がるとか
    10,000人が利用するのと5人が使うでは、支援の仕方が違う

・ミヤさん

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  HRMOSのヘルススコア
    顧客の健康状態 = 成果 + 体験
    成果指標
      DEARフレーム
      プロセス、アウトカムで分類
      お客さんの状況を洗い出して、フレームに当てはめていった
    体験指標
      プロダクト体験満足度
      サポート体験満足度
      定性的に検知するリスク度
      満足度はNPSがベース
  定性的な状態をどう扱うか?
    CSさんの感覚を数値に当てはめていく
    プロダクトの利用率は、顧客が成功している状態から考える

●ヘルススコアをいつ、どのように活用していますか?
・ミヤさん
  CS担当、マネジメント
  日々活用している
  CS担当
    ヘルススコアのカラーで、今日/今週の優先順位付け
    各社にどう関わっていくか
  マネジメント
    フォローに入るべきなのはどこ?
  お客様ごとに、年間を通してどう関わっていくかは、はじめに握る
    更に踏み込む場合の優先順位を決めている
    事前設計では足りなかった部分を追加でやっていく

・山田さん
  オンボーディングの成功失敗の指標
    終了時にヘルススコアカラーをいくつにしなければならない
    が規模ごとに決まっている
  四半期ごとに戦略を決めるときに
    green, limeからexpantionを○○万円取ろう
    yellow, redからチャーンをどれだけ減らそう
  ヘルススコアから仮説を立てる感じ?
    仮説を超えていて、すでに実績が見えている
  スコアによって担当を分けている
    スコアが高いところは営業寄り
    スコアが低いところはCS寄り

●ヘルススコアをどのように改善してきたの?
・ミヤさん
  昔のヘルススコア
    継続率とマッピングさせていた
    LOYAL > ACTIVE > ONBOARD > ENTRY
    継続率: 高い > 低い
    良かった
      先々の継続率を予測できるようになった
    改善余地
      信じられる指標だけど、CSの気持ちが付いていかなかった
      お客様の成長につながるの?
  CSの声をより反映
    問いの立て方を変えた
    どうやったらお客様の成功につながるのか?
  ヘルススコア = 自社の成功 = 継続率 にすると
    お客さんの成功と結びつかなくなってしまう
    ロイヤル化したお客様と、アクティブの差
    お客さんの成功に結びついていた

・山田さん
  before
    一人あたりの名刺枚数
  now
    利用データ
    MRR、従業員規模、業種、業態
     salesforce
  sansanスコア
    利活用状態
      カバレッジ:社員の利用割合
      データベース:名刺数
      アクティビティ:利用率
    3年くらいはこれでworkしていた

●CTA(call to action)ってどんなものを設定していますか?
・ミヤさん
  ヘルススコアの総合点を見て、能動的に支援プランを設計
  他に、各社毎の新しい取り組みを出している
    expansion
      新しい価値提供ができそう
    risk
      チャーンに繋がりそう
    lifecycle
      導入時点で決めている定期的なイベント
  ヘルススコアはチャーンに向きがち
    だけど、expansionにも繋がりやすい

・山田さん
  攻めのCTA
    expansionを生み出す
    名刺のデジタル化枠が決まっている
    80%を超えた→インサイドセールス:通知おかわりどうですか?
    共有IDっぽい→こっちのプランのほうが良いですよ
  守りのCTA
    churn検知
    チャンピオンロスト:キーマンがいなくなったら教えてくれる
  関わり方が「最近どうですか?」から変わる
    利用状況こうなので、こんな機能どうですか?

●失敗談を聞かせて!
・山田さん
  苦労したのはヘルススコアへの向き合い方
    答え合わせを続けていく
    ヘルススコアとexpansion、churnの相関を見せ続けていく

・ミヤさん
  最初につくったヘルススコアが機能しなくなった時
    優先順位付けに使っているが
    90%がピラミッドの上位にかたまってしまった
    お客様の成功とつなげるように考えを変えていった

・山田さん
  ヘルススコアはデータがないとつくれない
    半年では信用できない歴史が必要
    AIで分析も掛けた
    信頼できる答え合わせが必要

・ミヤさん
  ヘルススコアはコロコロ変えていくものではない
    ある程度データが蓄積されたあとで、微調整
    プロダクト自体が大きく変わった時には、大きく見直す

●ヘルススコアをつくるとき、何から始めたらいい?
・ミヤさん
  CS担当の感覚を信じることから
    打っている施策の中からピックアップしていく

・山田さん
  運用がいかに簡便か
    気づくと、あれ?更新されてない、、、
    daily, weekly, monghlyのupdateが簡単か?
    これで運用にのるんだっけ?

・高橋さん
  どんな指標を使ったらヘルススコアが作れそうか?
  DEARの観点で考えた時、どんな数字が上がってくるか

●まとめ
・ヘルススコア = お客様の健康状態
・顧客の成功につながっているか
・カイゼンしながら、広げながら、成長させていく


■顧客の複雑な業務プロセスを体系化する手法~PRePモデル~

八木 将計 さん [日立製作所]

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●日立グループ
・事業分野
  モビリティ / ライフ / インダストリー / エネルギー / IT
・モノ売り→サービスにかじを切り始めている
・グループ内のカスタマーサクセス事業部の話
・業務改革コンサルでつかっていた枠組みをCSに適用した

●カスタマーサクセスといえば
・専門用語がたくさん
  CJM、ヘルススコア、ハイタッチ/ロータッチ/テックタッチ
・それ以前に
  サービス・プロダクトがすでにある
  そのうえでカスタマーサクセスをやりたい
・基本的にプロダクトアウト
  そもそも顧客のことを理解できてない
  CJMも分かってないから描けない

●PReP model
・日立で実績のある手法
  K+ solutionが開発した手法
・社内にカスタマーサクセスが根付いていない
  社外の方に協力してもらってやってみた
  自社のサービスやCSが提供すべき課題解決のポイントがクリアに
  顧客の解像度が高まる
・事例
  重要な成果物をつくるプロセスが属人化していた
  CSが介入して属人化していたものをより良くしていっている

●業務のモデリング手法
・タスク視点
  作業する人はやりやすい
  フローチャート的
  見てもわからない
    わかるようにするには大きくなってしまう
・成果物視点
  コンパクトになりやすい
  外から見るひとには理解しやすい
  問題点が見えやすくなる
  prep modelは成果物視点

●ノーテーション
・成果物:これがないと業務ができないもの
  実線:成果物そのもの。契約書など
  点線:無実体の成果物。ノウハウなど
・線:入出力関係、同期関係
  実線:過去の資料+条件→新しい資料
  破線:相手と自分の候補日など調整して決まるもの

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・パターン
  基本
    2つ以上の入力→出力
  ノウハウ型
    箱が点線
    CJMとドメイン知識→サービス計画
  同期型
    線が破線
    調整が発生する

●機能追加の例
・単純化すると
  顧客の要望リスト→追加のサービス←→承認された
・実際には
  要望以外の入力が必要
  開発のノウハウが必要
  レビュー視点
・問いが生まれる
  入力不足しない?
  属人化してない?
  調整に時間かかってない?
    見切り発車して、手戻りが起きがち

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●事例:健康経営プロジェクト
・健康経営
  社員が健康になることで経営面に効果
  従業員満足の一貫
・AsIs
  総務の年度計画
     →保健指導
     →健康教育
  アンケートなどの定性データしかない
     PDCAのC,Aがない
    同じようなことの繰り返し
・ToBe
  生活習慣モニタリング&コントロール
  ストレスモニタリング&コントロール
  生活習慣
    社員の活動量データ→サービス提供者→保健師→社員
  ストレス
    ストレスデータ→サービス提供者→産業医→施策→社員

●まとめ
・カスタマーサクセスを実現する上で業務モデリングが非常に有効


■テックタッチの設計と顧客のセルフサーブ化の実現

小泉 雅人 さん [シスコシステムズ]
小林 健吾 さん [Dropbox Japan]
高橋 歩 さん [HiCustomer]

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●テックタッチの定義
・顧客価値によって階層を分け、対応レベルを分ける
  規模の小さなお客さんで話題になりがち
  顧客価値と対応手法は別の話

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●なぜテックタッチしなければならないの
・小泉さん
  テックタッチはカスタマーサクセスを実現させていくこと
  スケールしないCSはCSではない
    属人化していたら意味がない
    設計してスケールさせていく
  ハイタッチがベストな顧客体験?
    インパクトが大きいのは確か
    でも、人が介在しないと先に進まないのは最善?

・高橋さん
  最初からテックタッチできるわけではない
    お金を下ろすときにATMで必ず人が出てくるとか、、、

・小林さん
  CSがスケールしたときにでてくる組織構造

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  ハイタッチで大型化すると、お客さん規模が1,000、10,000に
  ハイタッチしながらテックタッチを活用する
  テックタッチを活用するからハイタッチするべきところに集中できる

・小泉さん
  テックでやったあと、異常値があるから人が入る
  どちらかだけではなく、どちらが適切か

・高橋さん
  担当者とは毎週ミーティングしていても
  10,000のユーザーにはどうアクセスしていく?

●カスタマーサクセスのプロセス設計はどうしていく?
・高橋さん
  登山の例
    ゴールを決めて
    筋道をたてて伴走
  サクセスロードマップを作成することでプロセス設計
    どんな分類で、どんなゴール
    どんな手順
    どんなときに、どんなアクションをするとサクセスにつながる

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・小泉さん
  設計方法
    CS全体の設計
      グランドデザイン
      テック、ハイではなく全体で
    手法の設計
      どうタッチしていくか
      テック、ハイをどう適用していくか
  CS全体の設計
    顧客のゴール設定
      何がしてくてその製品を買ったのか
    ライフサイクルステージの設定
      プリセールス〜ポストセールスまで
      シスコでは15のステージ
    ステージに定義づけ
      お客さんの状態
    イグジットクライテリアの設計
      何をしたらステージが完了なのか
      次のステージに進む条件
    ステージごとにお客様が行うこと
      何をしてもらう必要があるか
    それによってお客様が体験すること
      moment of truth
      どんな動線で、何をすることになるのか
      google検索?email?
      手順書?ビデオ?
    CSチームが提供すること、リソース
      そのルートに合わせてCSがやることを定義
  ステージは、シスコでは4つから始まった
    お客さんの活動を詳しく見て、解像度を上げていく

・小林さん
  dropboxでのステージの分け方
    2つからスタート
      オンボーディングとアダプション
    4つに分けていたことも
  dropboxでのステージのゴール
    シンプルに統一したもの
    スコアに基づいて分岐を増やしていく

・小泉さん
  手法の設計
    テックタッチによって顧客満足が高まる体験はどこか?
      熱量があるキックオフミーティングに向けて
        emailで事前に情報提供など
      顧客体験の解像度を高めておくことで
        ツボを抑えた施策を立案
    テックタッチによって効率化、標準化できるCS活動はどこか?
      事前に情報を提供しておくことで
      90分が60分に短縮できるかも
    アクションの条件を設定
      call to action
    KPIの設定
      体験から掘り下げていくと何を見るかは自然と決まる
    運用方法を考え、実施する
  KPIはイグジットクライテリアにつながっているか?
    その先にヘルススコアにつながる
    メール開封率→ヘルススコアなんてことはない

・小林さん
  BtoCなのでテックのほうが充実している
  充実しているコンテンツを、CS活動に組み合わせていく

・小泉さん
  手法を設計した結果、長いロードマップができる
  メールを送信したけど、読んでもらえていない場合なども含まれている

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●テックタッチチームの立ち上げ方
・小林さん
  strategy
    まずはカスタマージャーニーのオンボーディングにフォーカス
    ベストプラクティスができてから他に適用していく
  talent
    ハイタッチで優秀な人がテックタッチで優秀とは限らない
    マーケターのスキルセットに近い
    施策〜成果までの時間軸が異なる
  オンボーディングは枝分かれしにくい
    アダプションは導入の目的によってかなり変わってくる
    チャートをつくることが難しい
  共通項の多いところで勝ちパターンを磨き上げる
    対象者が多いほうが、テックにした時効果が大きい
  向いているのは1:n志向が強い人、そこに魅力を感じる人

●テックタッチでカスタマーを自走させるには?
・小林さん
  コンテンツ制作とデリバリーのバランスをとっていく
  コンテンツ制作
    マニュアル動画、PDF資料、ウェビナー
      楽しくなったクオリティに偏ってしまう
    牛丼が食べたい人にフレンチを届けるか
      サクッと作ってサクッと出すほうが喜ばれることも
    QCDでQに偏りがちなところをバランスを取っていく
  デリバリー
    yutuberとテレビ
      クオリティならテレビ
      見たいときに見たいものが見れるからyoutube
    アーティスト志向ではなくプロデューサー的
    届かないところに名作はできない

・高橋さん
  コロナ禍でお客さんに会えない中
  ポイントだったのはコンテンツだった

・小泉さん
  作っても見られなければ意味はない
  わからなければgoogleで検索するのにメールを送っても意味はない
  だからSEOをやるなど

・小林さん
  コンテンツを作ったあと、計測することを徹底している
    想定した方に届いているのか
  見た上で次の制作に入る

・高橋さん
  どのくらいお客さんに認知されているか
  行動変容を促しているかなどを見ていく
  デリバリーの質でお客さんに届けていく

・小林さん
  社内マーケティングに力を入れる
    「コンテンツ作りました」で終わらず
    「この状況で、こう活用したら良いですよ」を
    ハイタッチ、ミッドタッチの人に伝えていく

・小泉さん
  オンラインコミュニティを活用
    いくらガイドを用意したってその通りいかなかったり
    使い方が多様化していたり
  エンゲージメントの中心になるユーザーのたまり場
    ユーザー同士でハイタッチしてもらう
    ファンを育成してデータを活用していく
  施策を色々打っていったが、頭打ち
    ユーザーコミュニティはすでにあって、人は集まっていた

・小林さん
  VIP向けオンラインイベント
    dropboxのCEOや役員と、エンドユーザーが通訳経由で会話
    さらにファンになってくれた
    オンラインでなければ実現できなかった

・高橋さん
  お客さんにはハイタッチでなければ失礼など
  勝手に思い込んでいたものがあった
  この状況で変わってきている

●テックタッチをはじめるならどんなことから?
・小林さん
  オンボーディングの中でテックタッチを含めたベスプラをつくっていく
  ノウハウを持った人に話を聞くことから

・小泉さん
  とりあえずやってみましょ
    失敗することが一番の学び
    小さくはじめてみる
  ジャーニーを書いてみましょう
  一つあればカイゼンしていくことはやりやすい

●まとめ
・スケールしないCSはCSじゃない
・テックタッチをフル活用したサクセスロードマップづくり
・コンテンツとデリバリーは車の両輪


■感想

PReP modelの、無実体の成果物、同期関係で課題が生まれやすいポイントを可視化するアプローチうまいですね!成果物視点で整理する場合、時系列の表現が必要で、個人的には、断面ごとのパラパラ漫画にすることが多いです。完了時点だけを描いて、時系列の動きではなく、関係性を図解すると概要が捉えられますね。

顧客のゴール、ステージ、完了条件を整理することで、体験の解像度が上がる。体験の解像度が上がれば、妥当な施策と捉える数字が見えてくる。DEAR frameとサクセスロードマップを行き来しながら活動の精度を高めていく流れが具体的にイメージできました。

登壇者の皆さん、運営の皆さん、ありがとうございました!


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