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KPIマネジメントのステップ

■KPIとは

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●KGI (Key Goal Indicator)
・最終的な目標数値

●CSF (Critical Success Factor)
・最重要プロセス
・同じ意味の言葉
  KSF(Key Success Factor)
  KFS(Key Factor for Success)

●KPI (Key Performance Indicator)
・KGIの先行指標
・CSFの目標数値


●KPIツリー
・企業の目標であるKGIを頂点として、構成要素となるKPIとの関係性をツリー構造にしたもの
・企業や組織が抱える問題をツリー構造で論点整理するモデル
・整理された論点をどのように問題解決していくかを模索する思考方法

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●組織がマネジメントするKPIはひとつに絞る
・指標は判断の基準になるので、複数あると混乱する
・企業内の各組織で、プロセスから1つのCSFを特定する
・特定したCSFから数値目標を設定する


■KPIマネジメントのステップ

1. KGIとのギャップを把握
2. プロセスのモデル化
3. CSFの特定
4. 目標設定
5. 運用性の確認
6. リスク対策の検討
7. 運用とカイゼン


1. KGIとのギャップを把握

●KGIの把握
・対象が、この期間に、この目的を達成した時の数値目標

対象:〇〇株式会社
目的:事業目標達成
期間:2020年下半期
KGI :営業利益 1億円(今期事業計画書)

KGIと現状からのシミュレーションのギャップを把握
・前期の同時期を参考に、特殊要因を考慮

・シミュレーション数値 = 前期数値 ± 特殊要因
・特殊要因
  景気や市場動向、顧客や競合の変化
  プラス、マイナスどちらに寄与する?
  過去の影響から重み付け

・今期の現場数値などの予測をベースに検討

・シミュレーション数値 = 確定数値 + 予測数値

・ギャップを把握

・ギャップ = 今期のKGI - シミュレーション数値


2. プロセスのモデル化

●プロセスを分解

・営業プロセス
  ①営業先リストアップ
  ②アプローチ
  ③ヒヤリング
  ④プレゼンテーション
  ⑤クロージング
  ⑥納品

●質を上げる->量を増やすの順で対応
・利益の拡大は、コストを下げる->売上を上げる

・コストの種類
  無駄金
  売上に関係しないコスト
  売上に関係するコスト

・印刷物、業務委託費、会議費・交際接待費を
 見直すだけで大幅なコストダウンができる

・誰かが管理するのではなく、見える化で
 無駄金と売上に関係しないコストは削減できる

・売上の向上は、効率を上げる->活動量を増やす

・3つの選択肢
  売上 = 営業活動量 x 受注量 x 平均単価(正価 - 値引き)

・営業活動量を増やす
  営業工数(時間)を増やす
  新規に採用を行う
  営業代行会社にアウトソーシング
  -> タイムラグや教育が必要
  -> 新たなコスト

・受注率を向上させる
  受注率 = ⑤クロージング / ②アプローチ
  ⑤クロージング量を増やす
    ③ヒヤリングを強化
    ④プレゼンの提案内容を向上
  ⑥アプローチ量を減らす
    ①営業先リストの品質を向上
  -> どれも選択できるが、実践できるか?

・平均単価を上げる
  値引きを改善
  複数商品の販売
  高額商品を販売
   -> コントロールは難しい

・活動量の向上は、ムダの削減->人数の増加

・営業量を増やす前に、成約率などの内部プロセスを変える
・営業量を増やすには、人員の増加、採用・育成などのコストが必要
・内部プロセスを変更して、効率を高めておけば
  その後人員を増加するにしても、コストを最小限にできる


3. CSFの特定

●数式化
・式で表現することで、成果の増加を発想できるようになる

・利益
  売上 - コスト
  売上 x 利益率

・売上
  量 x CVR x 単価 x (手数料率)
  営業量 x 成約率 x 平均単価 x 手数料率
  顧客数 x 有料課金率 x 平均課金額
  顧客数 x 来店頻度 x 平均購買額

・平均単価 = 正価 - 値引き額
  営業量 x 成約率 x 平均単価(正価 - 値引き額) x 手数料率
  顧客数 x 有料課金率 x 平均課金額(正価 - 値引き額)
  顧客数 x 来店頻度 x 平均購買額(正価 - 値引き額)

●変数と定数を分ける

・定数
  多少は変化するが、対象期間で見ると数値への影響が一時的な要素
  現場ではコントロールできる範囲が小さい要素
・変数
  対象期間で数値に影響を与える要素
  現場でコントロールできる要素

●変数からCSFを選択する

・例) 新規事業立ち上げ
  売上 = 利用者数 x CVR x 平均単価

  資金や人員は限られている
    自然とCVR(歩留まり率)に

  CVRを向上させるステップを更に因数分解
    データを分析
    複数商品を紹介すると購入率が上がる

  CSF = 複数の商品を紹介する


4. 目標設定

●CSFは制約条件
・集中の5段階で全体最適化を進める

①システムの制約条件を見つける
②制約条件を徹底活用する
③制約条件以外の全てを制約条件に従属させる
④制約条件の能力を高める
⑤制約条件が解消されたら、①に戻る

●CSFを達成可能な数値に置き換える
・KGIを達成するために必要なCSFの量を決める

・例) ギャップ = 5,000万円
  実現方法
    2ヶ月以内に10名の営業を採用
    1ヶ月以内に戦力化
    3ヶ月で1人あたり500万円の売上を上げる

  内定までの期間が長く、2ヶ月以内の入社が厳しい
    原因は上司との面接設定に時間がかかること

  解決するには、面接終了時に次回面接設定をする
    ①応募者の次回面接可能日
    ②上司の面接可能日

  CSF = 面接実施前に次回面接を仮押さえ
  KPI = 仮押さえ実施人数 24人 ※応募者30人の8割程度

●KPIを分数にする場合、分母は定数
・KPI未達成のリスクで、アクションを起こさない選択肢も生まれてしまう

・分母が定数
  達成率 = 実績 / 目標

・分母が変数
  提案率 = 提案数 / 来場客
  打率 = ヒット数 / 打席数

・分数をやめて、実数にする
  提案率 -> 提案数
  打率 -> ヒット数
    打席は多いほど良くなる


5. 運用性の確認

●整合性
・理論上の相関関係が正しいか?

・そのCSFが変化するとKGIも変化するか?
・KPIが達成するとKGIも達成するか?

●安定性
・安定してデータを収集できるか?

・データ入手や加工の日程と他業務がかぶっていないか?
・そのデータ入手を外部に依存せざるをえないことはないか?

●単純性
・シンプルに理解できるか?

・整合性が取れていて、安定的にアウトプットできるとしても
 現場のメンバーが全く理解できないのでは使えない


6. リスク対策の検討

●KPIが悪化した場合の対策を事前に決めておく
・いつ、どの程度になったら、どうするのか、誰が判断するのか?

・項目
  時期 :いつ
  程度 :KPIがどれくらい悪くなったら
  施策 :どうするのか
  決裁者:最終判断者

・例)
  時期 :採用活動 2週間時点
  程度 :目標 24人 の6割 =14人の情報が入手できていない場合
  施策 :残りの 10では 早朝、深夜、休日の面接設定も可能にする
  決裁者:◯◯部長

●コンセンサスを得る
・ステークホルダーと認識を揃えておく

・CSF
・KPI
・リスク対策


7. 運用とカイゼン

●関係する全従業員にKPIマネジメントを始めることを伝える
・全従業員がKPIマネジメントの目的と目標値を把握している状況をつくる

・全従業員がKPIに興味を持っている
・悪化した場合、各現場で打ち手を始めている

●ふりかえりを計画に含める
・施策の承認をする際に、ふりかえりも確定する

・ふりかえりの目的
  なぜ、うまくいかなかったのか
  根本原因を見つけて、次回同じ結果にならないように対策を打つ

・ふりかえることで学びが得られる
  が、忙しさで流れてしまいがち

・施策の起案にふりかえりの予定を含める
  いつ、誰が、何を、どうやって実施するのか

●KPIマネジメントのカイゼン
・KPIとKGIの結果からKPIマネジメントを継続的に改善する

・パターン
  ①KPI 達成  -> KGI 達成
  ②KPI 達成  -> KGI 未達成
  ③KPI 未達成 -> KGI 達成
  ④KPI 未達成 -> KGI 未達成

・まずい状態なのは
  KPIとKGIの、達成/未達成がちぐはぐ

・考えられる原因
  構造的に間違っている
  関係性が希薄
  関係性はあるが、水準が高すぎるか低すぎる


■参考



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