見出し画像

2023年の1冊目は、注文の多い注文書


2023年の1冊目がこの本って、かなり幸先の良い読書スタートだと思う。



作り始めてから9年もの歳月を経てカタチになったこの本は、

小川洋子さんとクラフト・エヴィング商會(しょうかい)の共著。

あとがきがステキだったので
一部抜粋。

「ある」を証明するのは簡単なんです。なにしろ、そこに「ある」わけですから。でも、「ない」を証明するのはすごく難しい。「ない」と言い切るのはほとんど不可能に近く、大抵の場合、「ない」んじゃなくて、まだ知らないだけなんです。

「ない」と済ませてしまうことの方が簡単そうに見えて、じつはすごく難しいですよね。だから、どんな難しい注文でも、「時間をかける」というエネルギーを使えば、必ず「ある」に辿り着けるんですね。



そう、「ない」の証明はできない。
だって、「ない」んだから。

まだ知らないだけ。

そう思うと、できないっていうのは
不可能なんじゃなくて

単にやって「ない」から、知ら「ない」だけなんだよね、きっと。




5つの短編集が収められているのだけど、どれもすごい吸引力。

小川洋子さんの小説は、静謐で独特な世界観って、表現されているけど、まさにその言葉がぴったり。

小川洋子ワールドに吸い込まれる。

ページを捲る手が止められなくて、
1日で読み終えてしまった。

・人体欠視症治療薬
・バナナフィッシュの耳石
・貧乏な叔母さん
・肺に咲く睡蓮
・冥土の落丁



今まで自分の口から出たことも
使ったこともない言葉が並んで

目次を眺めるだけで、ワクワクゾワゾワしてしまった。

わたしは、貧乏な叔母さんの話が1番好きかも。

村上春樹の小説が下地になっているそうなので、次の読書への地続きの道が見えた感じも、また楽しいな。


ありがとうございます! サポートいただけましたら、より良い文章を書くために、書く以外の余白の時間の充実に使わせていただきます◎