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針と糸を読んで

小川糸さんが好きだ。

小説は多分ほとんど読破したかなぁ。(ライオンのおやつはまだ)

挫折したり、近しい誰かとの確執のあった主人公が、立ち直る、再生していくっていう物語が多いかも。

それが淡々と、でも丁寧に日常を紡ぐ感じが好きで、奇想天外な話ではないからこそ、共感もできるし、入り込める。自分の気持ちを後押ししてくれるような物語が多いように感じる。


そして、あははという大笑いではなくて
口角をちょっとあげる程度の微笑みを、たくさん散りばめた本の数々は、どれも私の気持ちに寄り添ってくれる。


そんな糸さんの書くエッセイ。

その人のこと、成り立ち、何を考えているか、何が好きで嫌いか。

生活を少し覗かせてもらってる感じで、人のエッセイや紀行文を読むのがすごく好きなのだけど

大好きな作家さんだから、面白くないわけがない♡

気に入った箇所を抜粋。

この本を書いている時、糸さんはドイツのベルリンに住んでいたのでドイツと日本の違いを記したものが多い。そのひとつ。

日本とドイツ、何が違うのだろう、と考え、私なりに見出した答えは、余裕である。
その差は、決してすごく大きくはないのだが、ドイツの方が日本より、ほんの少し、気持ちに余裕が持てるのである。

ドイツでは、国民全員がなんらかの健康保険に入る義務があり、医療にお金がかからない。だから、大病をして入院しても、それに対しての自己負担はほぼ発生しない。子どもを出産するのにもお金がかからないし、産後のケアも、かなり保険でカバーされる。それに、大学まで教育は無償で、要するに、日々の生活費さえきちんと確保できれば、大きな出費がないのである。

当然のことながら、社会保障を充実させるためには、税金が高くなる。けれど、税金がきちんと自分たちの元に戻ってきていると実感できるシステムが成り立っているので、高くても納得できる。そして、政治というものが、国民の暮らしの延長戦上にある。もちろんドイツにも、問題はたくさんあるのだろうけど、ドイツ人の主権者意識というのは、日本人が見習うべきもののひとつのように感じている。


余裕。

これは私も大事にしたいなぁと思ってること。

自分の気持ちにちょっとしたスペース、余白があることは、とても大事なんじゃないかと思うのだ。

余白があるからこそ、新たに何かを学びたいと思えるし、

気持ちに余裕があれば、他の人やモノに目を向けて優しくなれる。


じゃあその余裕はどうやって作れるのか。

無理しない、頑張りすぎないっていうのが大事なんじゃないかなぁ。

私自身もそうだけど、ちゃんとしなくちゃっていう意識を減らすこと。

怠けるっていうのとは違うし

自分を追い込んで頑張るっていう時も必要だと思う。
それで見えてくることもいっぱいある。


なんていうのかな、欲張らないってことなのかな。

もっともっとじゃなくて
足るを知るという感じかな。


私自身偉そうなことは言えないし
もっとこうしたい、こうなりたいって思ってばかりの日々だけど

こんな風にちょっとでも、振り返れる時間の余裕があることは

とてもとてもありがたいことなのです。

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