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わたしのしあわせを決めるもの


わたしの手持ちの服の、その大部分を占めている、シサム工房のお洋服たち。

特に気に入っていたのが、刺繍入りのトップスだった。

刺繍なんて、なんだか乙女チックで恥ずかしいという謎の抵抗感があったから、昔はほとんど選ぶことはなかった。

だけどこの ロイヤルヘリテイジ(Royal Heritage)シリーズは、服の生地と同じ色の糸で刺繍されているから、ちょうど良いシンプルさを感じさせた。

かわいいけど、かわいすぎない。

遠目にはちょっと浮き出てるくらいにしかわからない。

でも着てる本人からしたら、その密度の濃い刺繍の素晴らしさを間近で堪能できる。

自然と胸を張って歩きたくなる。

そんなお気に入りの一枚だった。

買ったのは確か、上の子が生まれる前だから、8年くらい前。

薄手の生地なので、長袖を重ね着したり、暑い夏にはインナーの上に着たりして、春から秋まで、毎年毎年袖を通していた。

どんどん生地が柔らかくなって、着心地も良くなっていた。

だけどそれに比例するように色が抜けてしまっていた。

なんだかくたびれている…?

そう認識したときから、着る回数が激減していった。

もう、そろそろ手放す時期なのかな。

そう感じていた。



「お待たせしちゃってごめんね」

メッセージとともに、スマホに一枚の写真が送られてきた。


青空に映える藍の美しさ。


染物職人でもある友人が藍染をして蘇らせてくれたのだ。

わたしだけの一枚となって帰ってきてくれる。

「次会うときに渡すね」と、まるで何でもないことのように、さらりと伝える友人のかっこよさ。

何で感謝を伝えようか。

そんな風に考える時間の嬉しさったらない。

二重のギフトをもらった気分だ。



よく、究極の、とか、至高のとか、それが特別であることを表す美辞麗句があるけれど、正直そういうものに、あまりわたしは惹かれない。

それよりも

誰が、どうやって、どんな風に作ったのか、なぜそれを作るのか、作ろうと思ったのかという、背景や想いに興味がいく。

いわゆる、ストーリー、ナラティブという類いに惹かれる。

インドのフェアトレード団体カラティマク(Kalatmak)の人たちが縫い上げた一枚は、今や想いが重なったて、わたしにとっての特別な一枚になった。

そういう、自分が心地よいと感じるモノたちに囲まれて暮らすこと。

それは間違いなく、わたしのしあわせの構成要素なのです。

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