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定点観測した写真に過去の自分を見つける

こんにちは。ワタナベ(@sutougen)です。

ある程度長く写真を趣味にしていると「同じ景色を何度も撮っていた」ということはありませんか?カメラを変えレンズを変え、まるで定点観測のように1つの風景を記録する。

一見フィルムやデータのムダに思えるこの行動にこそ、そのときの自分が写し出されてはいないだろうか。

これまで撮ってきた写真を見返して、ふとそんなことを思いました。

僕の定点観測写真

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僕が定点観測してきたのは自宅のリビングから見えるこの風景。海や山が見えるとか絶景が広がったりしないのが残念だけど、毎日見ていたらなんとなく愛着が湧いていました。

この景色に初めてカメラを向けたのが上の写真なんです。これは2017年の12月。カメラはOLYMPUS TRIP35。僕の2台目のフィルムカメラで、コンパクトで軽くて、デザインもかわいいカメラでした。

この写真を撮ったきっかけは今でも鮮明に覚えています。

ちょうどこの時期、肺に穴が開く気胸(ききょう)という病気にかかり、僕は自宅での生活を余儀なくされました。仕事も休み、通院以外では家から出られない暮らしです。

とはいえ気胸も軽度であれば呼吸が少し苦しい程度。日常生活にそこまで不自由することはありません。なんなら当初は「ゆっくりする口実が出来た...!」とさえ思ったくらいです。

家族が出かけたらマンガとドラマばかり見る快適な生活。進撃の巨人をまとめ買いしたのもこの頃です。めちゃめちゃ面白かった。

しかし、これが1週間くらい続いたころ、こうしたエンタメではどうしても解消できないストレスがあることに気がつきます。それが写真撮影への欲でした。

当時の僕はスナップ撮影がメインだったこともあり、外に出ない限り新しい写真は撮れません。よくても家の中でカメラをいじるくらい。これにはずいぶん困りました。

散歩がてら少しだけ外で撮ってみようか、でもそれで気胸が悪化したらどうしよう?頭の中がぐーるぐるです。

結局スナップに出る勇気は出ず、苦し紛れに撮ったのがこの1枚というわけです。写真はガラス越しに撮ったためうっすらとフェードがかかり、偶然ですがそのときの自分の心情、外の世界への淡い憧れのようなものが写っている気もします。

(ちなみに僕は人生で3度の気胸を経験している気胸マスターでもあります。しかも毎回自然治癒せず手術で治療。そのため自分の肺が気胸になっているどうかだけでなく、肺の膨らみ具合まで高精度にわかるようになりました。全然いらないスキルなんですが...)


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次に窓の外を撮ったのは2018年の9月でした。写真の右下に日付が入っていてわかりやすかった。撮ったカメラはNikonのFMというカメラで、それにMF-12という日付を入れるパーツを付けて撮影しました。

関連:フィルムカメラのデート機能と2019年問題

これを撮ったのは「1日1枚の写真を撮り続ける」という個人企画のためで、去年の夏の間、日付を入れて毎日撮っていたうちの1枚です。

1日1枚フィルムで撮ったらこの夏の写真日記になった

先ほどの写真とはうって変わり、なぜこれをその日の1枚にしたかがなかなか思い出せない。思い出せないということは、きっと大した理由はないのかもしれない。

気になったので当時のnoteを見返すと、ここでシャッターを切った理由はちゃんとあったみたいです。

写真を見たとき、これも一瞬なんで撮ったのかわかりませんでした。

(中略)

そうだ、台風の影響で雨風が強かった日だ。カメラを持ち歩くのには気を使うということで、朝がた部屋から写真を撮って出社したんだった。台風ならもっと風に揺れる木々を撮るとかすればわかりやすかった。横着してるなぁ。

わかったのは、フィルムを現像したときからもう記憶が曖昧だったいうことです(笑)

台風が来るからカメラは持ち出しにくい。でも1日1枚の企画中なので何かしらは撮らなきゃいけない。それなら家の中から撮っちゃおう、というもの。

部屋からただ景色を撮っているから台風感はまったくない。面倒くさがりの性格が非常によく表現されてしまった写真でした。


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次の写真は2019年8月。つまり今年の夏です。

2017年12月、2018年9月、そして2019年8月ときているからざっくりと年に1度のペースで窓の外を撮ってました。撮った理由は見たまんまで、赤みがかった夕焼けが美しくてフィルムに残しました。

カメラは今年の夏に使い始めて一気にメインカメラに成り上がったフィルム時代のEOS Kiss。EF35mmとC200も一番使う機会の多いもので、このあたりから自分なりの機材が固まってきていますね。


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カラーの3枚に続いたのはNikon FEで撮ったモノクロフィルムの写真。これは先月イルフォードのHP5 PLUSを使ったときですね。レンズがNikkorの50mmなので先ほどの写真に比べて写る範囲が若干狭くなっています。

この写真自体にも特に意味はなくて、あまりの暇さにとりあえず撮った程度のものだったと記憶しています。注目すべき、いや、逆にあんまり注目されたくないのが写真左の液ダレのような黒いシミ。これは現像で何かしらの失敗が起きたところです。

原因はいったい何なんだろう。リールへの巻き込みにしているならこれと張り合わせになった面にも影響が出るはずだけど、それがない。フィルムの拭き上げや乾燥時点でのムラだろうか?

とにかく、あまり重要ではないカットで良かったです。。。


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そしてこれが直近の風景。先週末にRICOHのGR IIIで撮りました。

最新機種だけあって電線なんかはものすごくシャープですし、なにより空のグラデーション。秋の夕焼けから夜になろうとする瞬間、マジックアワーの色をGRはこう表現するんですね。

それにこれまでの定点観測の中で一番広い28mmというのも収まりがいい。やはり風景は広角がハマりますね。

撮影のシチュエーションは休日。夕方、ちょうど奥さんが洗濯物を家に取り込んでいたときでした。週末の洗濯って、シーツとか子供の保育園のタオルとかの大物があるから意外と外が見えにくいんです。

だからこそ洗濯物の取り込みが良い時間に当たるとテンションが上がる。この日もスルスルッと引っ張られたスーツの向こうにこの夕焼けが現れ、ついついカメラを構えてしまいました。

また、こんなふうに家の中で写真を撮れるのは家族と休日を楽しく過ごせた証拠でもあります。誰かしらと同棲している人にはわかってもらえると思いますが、ケンカしてたり誰かの機嫌が悪かったりするとなかなかカメラを持つ気になれません。だから部屋から撮った写真が多いとその時期の暮らしが良いのであったと感じられる。そういう意味も含め、この景色が好きなのかもしれません。


写真は同じでも1枚ごとにストーリーは違う

こうして見てみると、同じ風景を撮った写真でもいろいろあるんだとわかります。そのときどきのお気に入りカメラも違うし、その裏に流れる想いやストーリーもまったく違う。むしろ、同じものを撮り続けるからこそバックグラウンドが見えてくると言えるとも言えるかもしれません。

定点観測、面白いのでぜひ。

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Have a good film!
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映像ディレクター / フィルムカメラ好き。noteではフィルムで家族を撮った「ワタナベ家の写真日記」を更新中。写真をテーマにしたYouTubeも配信しています → https://www.youtube.com/channel/UCqoQtHXwzRN1UJMOr0SjQoA
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