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ただただ眺め・愛でている本-「英国建築の解剖図鑑」

今回はマシュー・ライスさんのご著書「英国建築の解剖図鑑」について書きます。マシューさんはイギリスの画家・デザイナー・作家さんです。私はこの本の素晴らしい英国建築の解説をほとんどスルーし、ただ絵の美しさに感嘆しているだけなのですが、私にとって今週の素敵なものナンバーワンなのでご紹介します。

1.内容紹介

出版社のホームページでは、以下のように説明されています。

英国で長年愛されてきたベストセラー建築図鑑、待望の日本版!
ノルマン征服から中世、ヴィクトリア朝、そしてモダニズムまで、英国の建築スタイルをイラストで読み解いたビジュアルガイド。建物のパーツを英文でも記載、学習にも役立ちます。映画やドラマ、小説の背景を理解したり、創作をする人の参考資料としてもおすすめ。
英国らしいウィットあふれるイラストと解説、温かみのある手描き文字も楽しい、手元に置いておきたい一冊。

以下ページからイラストの一部が見れますので、是非ご覧下さいませー。マシューさんはこの本のために、何百ものイラストを描いたそうです。紙の本は微妙な色合いが出ていて一層素敵です。。。

どんな読み方をしているか、以下に書きます

1.専門用語や歴史解説は関知せず・・・

すみません、スルーしてます。というか、読んでも全く頭に残らないのです・・。

中世、中世後期・・・と歴史と共に建築様式が変わってきた理由などが丁寧に解説されています。また柱の形(?)が少しずつ違っていて、それに「~式」という名前がついており、しかしそれらはあくまで基準であり、建築家によってはそこからはみ出ることで個性を出していた・・・など説明されています。

それについては、「・・・良かったですね!」としか言えず、興味も理解力もなくすみません!という感じなのですが、柱の絵には見惚れています。影のつけ方、微妙なグラデーションとか本当素敵です。

「はじめに」でマシューさんは、「建物を構成するパーツの名前を覚えれば、“ほら、あの小さい節みたいのがついたやつ"とか“三角形の左にあるカーブしたところ"なんてあいまいな表現ではなく、そのものずばりの名前を言うことができます。そしてどんな建物を前にしても、古い友人に再会したような親しみを覚えるにちがいありません。」と書かれています。

でも、大丈夫!私は「あのギザギザしたやつ」とかいう表現で十分満足だし、きれいな建物を楽しめます!と思い、堂々と読み飛ばしています。ただ随所に建築に対するマシューさんの愛情が感じられて、それは楽しいです。

2.線が綺麗過ぎる・・・

建物がものすごく緻密に描かれているのですが、線が真っすぐではない所も好きです。下書きで定規を使って、清書ではフリーハンドなのかしら・・・。建物は無味乾燥になりがちですが、線に少しだけ揺らぎがあるおかげで、ぐっと温かみを感じます。絵が上手な人だから、雑に見えずにそれが味になるのだと思います。

3.色の対比が好きすぎる・・・

建物の色は薄茶色や灰色で地味になりがちなのに、マシューさんの絵は影のグラデーションや指し色が入っていて、とても映えます。例えば、表紙の絵は建築のパーツ(薄茶色)が紹介されているのですが、背景に鮮やかな水色が入ることで、すごくモダンでひきつけられました。モダンという表現がもはやモダンじゃないかもですが、この表現がしっくりきます。

4.人や動物のゆるさにやられる・・・

豪華絢爛な建築物、の下に口をパッカーンとあけた犬がいたりして、そのギャップがまた好きです。人も立ち話してたり、何気なく中に入ろうとしていたりで、ゆるい。。ついゆるい人々を探してページの隅から隅まで見てしまいます。

5.終わりに

これだけ本の目的である、建築への造形を深める的なことを無視しながらも、すごく楽しめる一冊です。マシューさんは優しそうなので、こんな読み方しても許してくれそう!とか勝手に思い、寝る前に読むと心が落ち着いてきます。

実はこの本は、気が合うと私が勝手に思っている本屋さんで買いました。この本屋さんは品揃えがいつも素敵で、大型書店では棚の隅に置いてあるような本が、全面に出されていたりするのです。

この本は一目ぼれしたものの、建築に全く興味がないので買うか迷い、3回立ち読みしました。ただもうここまで気になったら忘れられないと悟って買いました。

ネットは便利だけど、やはりリアル本屋さんは良いなーと思い、これからも利用していきたいと思っています。