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幸せの魔法使い

甘いフリルやリボンがすきです。女の子らしいピンクとか、誰が見ても思わず『かわいい』って言ってしまいそうなワンピースとか、子供っぽいクマのぬいぐるみも、純白のレースも、お花も、全部ぜんぶ。

自分のなかの『女の子らしさ』という要素に気がついたのは最近のこと。
いまだにその感覚に慣れなくて、冒頭の可愛いものを並べた文章にも、私なんかが書いていいのだろうか…と気が引けてしまうような弱いわたし。だけど確かに、書いた言葉に、私なりのときめき、幸せのきらきらを感じます。

まさか自分がこんなに女の子らしさに憧れているとか、可愛いものを身につけたがっているとか、そんなことは思いもしませんでした。どちらかというとファッションには無頓着で、地味な格好をすることが多く、メイクとも無縁の日々だったと思います。
今でもセンスがあるわけじゃないし、ネット上では先に内面を表現できるから、追いついていない外見に自信を持てない自分もいて。ときめく服だけを着て過ごすのが当面のわたしの夢だけど、しばらく頑張る必要がありそうです。

生きていると、いろんな人がわたしの価値観を先回りして、『まさか可愛いものが好きな風には見えないよ』と言ってくる場面がありました。
わたしは自分を持っていなくって、なるほどそうなのかと丸呑みして受け入れてしまったから。何の疑問も感じずにただ、自分の好きな服装や、自分のなりたい女性像というものが地味で静かな、ボーイッシュな、さっぱりしたものだと思い込んで、これまでの人生の大半を生きてきました。

ボーイッシュがダメとかじゃないです。わたしは自分の心がときめいていないのに、心がわくわくしないのに、そういう系統で生きてきたのがよくなかったなと思っているだけで。姉や母親があまり、いわゆる、『女性らしい』を少し苦手がるような人たちで、その中で好きを主張するのは居場所をなくすのに等しい感覚だったのかもしれない。わたしの好きなものは、可愛い!!ってわかりやすく思えるような女の子らしいものが多いと思います。



ハロウィンに友達とペアルックをしました。有名なメーカーの可愛いお洋服で、ベロアの生地に、白いレースの上品な襟がついているんです。
それを着たときはかなりの転機でした。わたしは上に書いたのと同じような理由で、ファッションが人生においてどういう豊かさをもたらしてくれるものなのか、分かっていなかったところがありました。

服って大事ですね。見た目を着飾ることは大事です。それはアイデンティティでもあるし、自分の心を生かしてくれる、魔法のような存在でもあると思います。

そのときペアルックをしたお友達は、わたしから見て、とても家庭環境に恵まれているひと。物質的に豊かなのはもちろん、言葉、教養、どれを取ってもわたしには憧れの女の子で、ときおり羨ましさで具合が悪くなります(笑)
普段から親しい大切なお友達なので、その子なりの悩みがあることも、羨ましいという感情が不毛なことも、もちろん分かるけれど。それでも豊かさに目が眩むことがあって、わたしには眩しく見えてしまうような、そんな相手。

当時のわたしじゃ、普通に手を出すことはないような価格帯のワンピースでした。今だったら、どうだろう、まあ多分ときめいたら買うと思います。

宝物になったそのお洋服だけど、あのときのわたしはすごく戸惑いました。わたしがこんな素敵なものを着ていいのか、着る価値があるのか、お洋服に失礼じゃないかって、そういうことを考えていたんです。
きっと世間一般から見たら大げさな尺度で測ってしまって、それくらい自分の価値を信じられなくて、あのときの私はとても臆病でした。

「お洋服って魔法なんだ。知らなかった」

お洋服って、お友達って。
そんな柔らかい言葉を使う自分にも初めて出会いました。

まだわかりきっていない、きっと変わっていくセンスや価値観、自分らしさとの小さな出会い。大切に暖めようと不器用な努力を続けるわたしに、周りの方々は顔色も変えず、むしろ楽しそうでいいんじゃないと言って、やさしくそばに寄り添ってくれました。洗練された自分になれる日も、生きてたらいつか、そのうち来るんじゃないか。憧れの日々へのわずかな期待と、人生に笑う希望が生まれました。

こういうのは豊かな悩みだし、恵まれて贅沢な話題だと思います。自分が豊かさを享受することを、認められない時期もあったけど。今も難しい時期が何度もあるけれど、毎日必死で認めようと生きてきたから、少しは変われたのかもしれないです。

わたしは、大切な自分自身が幸せって言い切れることなら、選択していく勇気を持ちたいです。不幸になるのは楽なことだけど、決して楽しいことなんかじゃない。多少の勇気と努力が必要でも、幸せに向けて1歩踏み出せるわたしでいられたら、そんなに嬉しい日々は他にないと思います。

読んでくださって、ありがとうございました。

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