19年10月22日-1733I_湯_直島_06

瀬戸内国際芸術祭で考えたこと。

今回の瀬戸内国際芸術祭では、船の出船時刻に合わせた流れの中で、なぜか大竹伸朗の作品を巡る旅になっていました。

大竹伸朗さんは、いつだったかの横浜トリエンナーレで彼の作品に初めて出会って、コラージュを多用した作風にシンパシーを感じた作家。
それ以来、展示の情報を知ると積極的に観に行っています。

最初に立ち寄ったのは豊島で展示している「針工場」。

針工場
宇和島の造船工場に30年間放置されていた漁船の「木型」を、メリヤスの針製造工場だった場所に置いた作品。
建物や船の細い骨が、頭の中で針へと繋がっていく。
廃墟でもなく、今でもなく、なんだか記憶の中にある心象風景のひとつを切り取ってポンと目の前に提示された感じ。

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豊島から直島に渡って、「はいしゃ」。

はいしゃ
かつて住居を兼ねた歯科医院だった古民家を作品化。
撮影不可だったけど、住居内には大きな吹き抜けがあり、真っ白で巨大な自由の女神がどかんといる。
かつての住人は歯医者さん、今の住人は自由の女神。圧巻。

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直島では高松行きの船を遅くして、「I❤︎湯」で一風呂浴びた。

I❤︎
これ、本物の銭湯です。今回はじめて入湯しました。
今までずっと憧れていた、日本で一番アートな銭湯。
まさに大竹ワールド。
お風呂に入ると、男湯と女湯の壁の上に大きな「象」がいます。
湯船にゆったりと浸かると、しあわせな気分。

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翌日には、女木島で「女根」。

女根
女根とは「女木島の根っこ」。という説明。ほんと?
休校中の小学校で船の廃材などを使って、さまざまなオブジェを配置。
大竹さんのコラージュが満載。
ひとつひとつの絵、写真の連鎖に、リズムを感じ、眺めていると何時間でもいられる感じ。

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それぞれにヴィヴィッドでインパクトがあり、ちょっとエロチックなモチーフを作品のどこかに潜ませている大竹伸朗を続けて観賞していると....

なんだろこれ?なにを伝えたいんだろ?なんてことを考えるわけで。
ぼくは、大竹作品に、女性へのリスペクトや憧れを感じる。
なんとなくね、これは人それぞれ。感じればいいこと。

「I❤︎湯」の湯船に浸かり湯船の下に貼られた春画のタイルコラージュや、「女根」の木の根っこを観ながら、考えました。

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芸術ってなに?
表現の自由ってなに?

ぼくはね、芸術、音楽、文学、デモ、集会も含めて、表現というのはそれがエロティックであれ、政治的であれ、「個人のプライバシー」や「特定の対象を差別する行為」に関わること以外は、憲法第21条で排他的に守られ続けるべきであると思います。そういう立場。
2つめはむずかしいですけどね。
でも、むずかしいからこそ、芸術を観た上でみんなで議論したほうがよい。
事前、事後に「これはけしからん」というお上の沙汰で削除して、無菌状態にしていこう、という流れのほうがよっぽどこわい気がしています。

では、また。

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