見出し画像

特殊能力

世の中には、話を聞いてると例外なく眠たくなる人が存在する。「この方の睡眠ユーハツ能力はどこから授かったものなんだろう‥」原因を探るべく、その方が話し始めると同時に詳細な分析を開始するのだが、ハッと気付く3分くらいタイムスリップしている。なんと相槌を打ちながらうたた寝をしていたのだ。でも相手の方が珍妙な表情を浮かべたり、「眠いんですか?」と聞いて来たりしないところを見ると、どうやら私は相槌を打ちながら目を開けて寝ていたらしい。これはもはや、私ではなく、相手の天分だと思う。そうだ、この方のお話を録音しといて、不眠症の時に流せば良いかも‥などと愚考しつつ、こっそりスマートフォンの録音ボタンに手を忍ばせるにはまだ至っていない。

そんな話が思い浮かんだのは、ある学生の論文指導をしている時に「ホントに頭の良いの人の話や文章って、スーッと頭に入ってくるよね。貴方の文章は、なんだかワヤワヤしてて無駄が多い!もっと簡潔に、スマートに文を構成していって下さい」と指摘したからだ(偉そーに)。論文の一本も発表した事がないのに大学で論文のアドヴァイス(これは我々の仕事の一環で、プロフェッショナルな指導はちゃんと別に楽理科の先生に御指導を仰いております)する我がおこがましさに呆れつつも、レッスンでもなるべく無駄な言葉を少なく、簡潔に大事なポイントを指摘していきたい、と痛感するようになった。流れるような分かりやすいレッスン運びが出来るようになる事がベテランの先生になった証なのだろう。

幸い、私の話を聞きながらコックリと眠りこけた学生はこの20年間いません。でも学生の演奏を聴きながら私が眠気を感じた事はあるかというと‥‥‥

学生諸君、我々の目がハッ!と覚めるような刺激的で冴え渡った演奏を期待していますよ(と、ここでビミョーに矛先を変える)。

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?