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フォートナイト訴訟決着。日本の「事前型規制」進展への影響に注目

以前、こちらのnoteでも紹介しました表題の件。

優越的地位を利用しているとしてプラットフォーマーが反トラスト法(独占禁止法)違反で訴えられた事件――「フォートナイト」を開発・配信しているEpic GamesがApple、Googleを訴えた件(フォートナイト訴訟)が終了しました。

これらの訴訟では、GoogleやAppleが、アプリ開発企業に対して同社らのアップストアを通じた販売を強制している点や、アプリ内の課金に自社の決済システムを使うよう強いている点などが争点となりました。


「独占」では判断が分かれたが…

「独占」があったかに関しては、裁判での判断は分かれました。Googleについては、グーグルの独占と同社がアプリ開発者の利益を損ねているとの原告(Epic社)側の主張が認められたのに対し、Appleについては「独占」の認定を免れた形となっています。


アプリ課金は両社ともに問題視された

ただしAppleも、アプリ内課金についてはその規約の一部がカリフォルニア州の州法に違反しているとされ、「米国ではアプリ内に外部の決済手段に誘導するリンクの設置を認めるよう」命じられました。そして本件を不服とした両社の控訴はいずれも棄却された結果、Appleに対する決済規約の見直し命令が有効となります。

出典:日経電子版2024年1月17日
Apple、アプリ決済見直し フォートナイト訴訟で

とはいえ、Appleは、アプリ内への外部決済手段誘導リンクの設置後も、「実際には外部決済でも最大27%の手数料を課すと」したため、結局は高い手数料はそのままだ(=現状は変わらない)との批判がEpic社側からは出ているものの、本件判決には一定の意義があったと考えられます。


「ゲートキーパー」への圧力は今後も高まる

今、各国はビッグテック(※日経の書き方では「巨大IT(情報技術)企業」もしくは「巨大テック」)への圧力を強めており、上記判決はこの流れと整合性あるものです。

韓国政府は22年にアップルとグーグルに対し、両社のアプリストア以外での決済手段を認めさせた。欧州連合(EU)が23年に巨大テックの活動を規制すべく施行したデジタル市場法(DMA)も同様の規定を設けている。

出典:日経電子版 2023年12月19日
グーグル敗訴が促すアプリ市場改革(The Economist)

米国外の地域でも、アップルやグーグルに対する監視の目は厳しくなっている。欧州連合(EU)は巨大IT(情報技術)企業の活動を規制するデジタル市場法(DMA)を今春にも全面適用する。アップルはスマートフォン「iPhone」上で、外部企業がアプリストアを開設することを認めなければならなくなる。
日本でも公正取引委員会がアプリの配信や課金システムなどに関する新法の提出を検討している。巨大アプリ経済圏への逆風は一段と強まっている。

出典:日経電子版 2024年1月17日
Apple、アプリ決済見直し フォートナイト訴訟で


欧州の「デジタル市場法(Digital Markets Act、以下「DMA」)は2023年5月からすでに施行されていますが、規制の対象となる「ゲートキーパー」が発表されたのは、同年9月のことでした。

ゲートキーパーはその指定から6か月以内にDMAの規定を遵守する必要がありますので、遅くとも「2024年3月6日」までの遵守が求められます。

そして日本では、ビッグテックへの「事前規制」に関し、2024年中の国会への新法案の提出準備が進んでいます。


2024年はこうした動きが本格化しそうな年であり、今回のフォートナイト訴訟がその先鞭をつけた形になるのかに私は注目しています。


以上、サステナビリティ分野のnote更新1000日連続への挑戦・101日目(Day101)でした。それではまた明日。

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