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地域で学生が問題を解決するために必要なのはレイヤ意識とプログラム作製力

こんにちは。立命館大学Sustainable Week実行委員会の戸簾隼人です。

先日、12/17(火)に私が所属する社会システム研究所のグループによるシンポジウムを実施しました。まず本noteで言いたい、学生が地域創生に携わるなら考えておきたいこととして3点

①連携と実行をスピードを上げる
②活動そのものではなく、達成することに重点を置く
③課題に対して「それを遂行するプログラム」を作る

ということです。ある意味、経営者に必要なスキルなどで言われることが多いものとにているような気がします。

本シンポジウムを通じて、学生団体Tabiwa+Rが取り組んだ活動の特異さと、その地域の課題解決に向けたソリューションについて考えていきます。


異質な地域連携「甲賀でつながる30日」

まず、本シンポジウムにて学生が報告を行った「甲賀でつながる30日」ですが、他の一般的な学生が行う地域創生活動と圧倒的に違うことが2点あります。それは実行スピードの速さ・実行レイヤが一般的な学生活動とは違うことにあります。


市町村との連携速度の異常さ

まず、本活動において最も面白いことが実施対象地域である滋賀県甲賀市との活動連携が一般的な活動交渉などと比べて非常に早く進んだこと。

まず、大前提として甲賀市は本学、立命館大学と包括協定を結んでいます。そのため、他自治体と比べると実行速度が早いのは当然です。

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一般的な大学生であれば、この包括協定の枠組みにハマった活動を行うならばゼミ活動やこれまで既に甲賀市と交流を続けてきた学生団体などに属する必要があります。

しかし、彼らはそのようなスキームに入り込まず、自ら大学を動かし甲賀市というフィールドを開拓したところが非常に面白いところです。

これは昨年実施した「むらのこプロジェクト」という甲賀市を舞台とした、課題発見型アイデアワークショップを自身で企画したことがきっかけになっています。

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そこには甲賀市長が審査員として参加していました。そこでの取り組みが認められ、甲賀市としても活動を支援していこうという流れが実現しました。

この一連の活動の流れが実現したのはたったの3ヶ月。一般的な地域活動を行うのならば「2-3年で地域に名前を覚えられ、4-5年で話を聞いてもらえ、6-10年でその土地の人に馴染める」というような話とは一線を画します。

これこそが実行レイヤが異なるからできることです。


市民レイヤは速度が足りない

先程も言いましたが、一般的な学生が活動する地域創生活動は非常に多くの時間をかけて主体を自身に持っていきます。いわゆる信頼を育む期間を取ることですね。

実際に私もTabiwa+Rとは違いますが、大川活用プロジェクトという活動を滋賀県守山市で行ってきましたが、実際に自分たちの活動が地域に認められてきたのが3-4年が経った頃でした。

大川打合せ

本活動はもともと高校生の時に地域の課題を考えるワークショップを行い「地域の人と主体を作り」活動を行うものでした。

ただ、本活動では地域のキーパーソンが扇動してくれたおかげで、他地域と比べると圧倒的に早い段階で活動が認められていたものと感じていました。

しかし、それはあくまで地域で活動を行う場所をもらっただけであって、その後の活動の信頼性については全く保証されていません。それは自分たち学生がどれだけの成果を出せるか、地域に認められるかにかかっています。

このような活動は地域に直接コミットでき、目の前の課題解決には非常に重要な行為ですが、地域の問題を根本解決する手法には繋がりにくいです。

しかも、大学生が卒業する4年間でなにか成し遂げるのは特に難しいですね。スピード感が足りない。私の場合住んでる場所の近くなので、卒業後もやりますが、それ以外の場合は殆ど難しいですよね。


民間レイヤとして、学生が課題解決を実行

ここで、話をわかりやすくするために以下の記事から少し引用します。

・「解決すべき問題の決定」をするのは政治家(主に首長)
・「問題解決のための適切な課題の設定」は民間企業
・「設定された課題を正確に実行する」のは行政
問題とは「理想の姿と現実の姿のギャップ」のことをいい、課題は「そのギャップを埋めるために取り組むタスク」のこと

ここで重要なことが先程も触れた、この取組が明らかに他の学生による地域創生活動と違う点、出発の考えが民間企業ベースであることです。


噛み合わない学生と地域住民の意識

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特にこの課題設定は、Tabiwa+Rの課題意識である、将来に向けて滋賀県の観光資源化に対する課題意識を元に挙げられたものです。

これは行政が抱えていた「問題はわかるがどのように課題設定をするのか」というところにマッチして活動を行うに当たりました。

20191216_ふるさとSDGs報告資料

一方、甲賀市住民が考えていることはもちろん違うわけで、自分たちが日頃感じている問題を学生が課題設定して解決してくれるのだと思っていたわけです。

となると彼らからすると、自分たち感じる問題には触れずにエッサホイサする大学生は自分の好きなことばかりしていると見えています。

ここの対立が生じる理由として、Tabiwa+Rでは地域・学生のニーズがマッチしていなかったと示しています。しかし、これはニーズがマッチしなかったのではなく、自身の地域への関わり方のスタンス・レイヤ選択がマッチしなかったのです。

市民が学生に求めてたことは、あくまで課題解決の担い手となることです。彼らが問題と感じて、課題もわかっている、しかし力仕事は難しい、人が足りない。となると学生がその数合わせになってくれると考えるのは当然です。

(わかりやすい例で言うと、災害復興ボランティアなども行政に求めることに当てはまります。)

このレイヤ意識を考えることが学生が地域創生に取り組むことには大切です。つまり、地域の問題を「どのように」解決するかに重点を置くことこそが重要なポイントとなります。


地域の自立を担う「高度技術人材」

ここでシンポジウムの話題に触れます。岡崎さんが触れていた台湾での「高度技術人材」の移民の話です。

社会の構造・変容と私たちの

ここで重要なことは、いかに高度な技術を持っているか。ということでは有りません。問題解決のために、いかに現場にいずに済ませることができるかということです。

しかしここで勘違いしてはいけないのは、あくまで現場を見るなと言うことではなく、不必要に現場に入り浸ることをやめるということです。

もちろん現場に出て活動する人がいますが、そのような人が「学生」であると地域創生は息絶えます。「自分にしかできない仕事」を地域から離れていく人が担った時点でその地域はおしまいです。

こちらについては様々なところで話されていますが、なぜか学生の地域創生とかの話になるとまったくもって、重要視されていません

まあ理由は簡単で地域で活動する・学生が成長することが目的で、問題解決することはあくまで理由付けでしか無い、ゼミ地域創生の弊害ですよね(いろいろなところから怒られそうですが笑)

これは歴史からみても、同じことが言えます。国民国家が成立した理由こそこれと同じ理由ですし、企業が組織として成立している理由は職人技の塊ではなく、高度にシステム化された仕事を適当な人に適応することで実行するわけですから。

つまり、地域で活躍する人間には課題を遂行するプログラムフローを自身で組み上げる技能が必要となってくるわけです。

これができると、行政が今後も活動を行えるようなプログラムを書くことによって、自身が離れた後も機能し続ける流れを作り出すこともできます。

このようなことができると、学生が地域で活動する問題となっていた4年間という時間制限の解除とスピード感を生み出すことができると考えられます。

まとめ

いかがでしょうか。あくまで一学生が考える内容です。

単にちょっとかじった知識で書いてるので、そのへんはご了承を。ただ、最後にまとめとして若者が地域創生に携わるなら考えておきたいことは3点。

①連携と実行をスピードを上げる
②活動そのものではなく、達成することに重点を置く
③課題に対して「それを遂行するプログラム」を作る

でした。ではでは。

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