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ジェダイ黒騎士と葡萄色(えびいろ)

ローマの石畳の道を走っている。やばい、やばすぎる。夜とはいえ、あちらこちらに光がともっている。俺の名前は、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ。

ミケランジェロ・ディ・ロドヴィーコ・ブオナローティ・シモーニと間違えるなよ。あちらさんは、バチカンにある《最後の審判》を描いた天才だ。あの時代は、良かったよな。教会も金があったし、教皇レオ10世のあたりで、おかしくなっちまったらしい。そりゃそうだ。メディチ家出身で、小さい頃から家でボッティチェッリの《プリマベーラ》なんぞ見ていたら、嫌でも美意識高い系になっちまうぜ。

それはそうと、実は俺が新共和国のジェダイ黒騎士とは誰も知るまい。ルーク・スカイウォーカーもオビ=ワン・ケノービも知ってるぜ。あとは、ベン・ソロだっけ?彼奴は、ルークの妹のレイアの息子だから、アナキンの孫だよな。そういうの「世襲」っていうの?俺には関係ないね。爺さんもベンもダークサイドに墜ちたらしいけれども、同じダークサイドでも俺が墜ちたところとは、月とすっぽんだ。

そこは、ローマじゃないの?だって?

知らないのか。ジェダイの本部は、ローマにあるんだよ。よく考えろよ。共和政ってローマからはじまったんだ。だから今が新共和国だろ。

それに俺たちの着ている服をみろよ。ベンのあたりから、だいぶ変わっちまったけれども、基本は「中世」とやらだ。だいたいな「騎士」ってもんは「中世のヨーロッパ」ではじまったそうだぜ。そういえば、アーサー王とやらが英国とやらにいるらしいけどな。俺には関係ねえ。ジェダイには「西洋史」っつう概念はねえ。

ふ〜っ。フォースが全く使えねえぜ。ダークサイドに墜ちても修行してねえとフォースの力は弱まっちまう。俺が絵筆をとるのは、なぜかフォースが蘇ってくるからなんだよ。それで美意識高い系のパトロン達が喜んでくれるのならば、葡萄を持った美少年なんて、いくらでも描いてやるぜ。【続く】