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ヴェイパーフライ関連

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シューズの考察やシューズに関する戯言を書きます。
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ナイキ「ヴェイパーフライ3」のレビュー【ZoomX Vaporfly Next% 3】

ナイキ「ヴェイパーフライ3」のレビュー【ZoomX Vaporfly Next% 3】

3月6日にナイキ直営店やナイキオンラインで先行発売され(3月中旬にも再び販売)即座に売り切れとなったナイキのヴェイパーフライ3(ZoomX Vaporfly Next% 3)のレビューを以下に。

ナイキ直営店の1つである原宿店では東京マラソン翌日ともあり、出場後の海外ランナーがヴェイパーフライ3(以下VF3)を購入していく姿が目立った。また、オンラインでは“いつも通り”数秒で完売してしまった。

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多くのカーボンシューズを長期間履き比べながら考えたこと

多くのカーボンシューズを長期間履き比べながら考えたこと

近々、「各メーカーのカーボンシューズ計25足の比較(2022-2023年新作:21足)」というnoteを公開するが、その前にこれだけ多くのカーボンシューズを長期間かつ幾度も履き比べながら考えたことを以下に記す。

ヴェイパー4%とアルファフライの衝撃

この2つシューズを初めて履いた時(2017年秋と2020年春)は、衝撃的だったのを今でも覚えている。

ヴェイパーフライ4%が画期的だったのは、ミ

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競技選手はスーパーシューズについて"正直に話したほうがいい"その②:ポール・ポロック🇮🇪(ナイキ)

競技選手はスーパーシューズについて"正直に話したほうがいい"その②:ポール・ポロック🇮🇪(ナイキ)

(写真:Instagram Paul Pollock)

昨日から始まったこのテーマの記事をシリーズとして毎日書いていく。

2回目はNNランニングチーム所属のポール・ポロック(アイルランド)について。

2019年に不調に陥ったはずが...マラソンでまさかの大幅自己新2016年リオ五輪男子マラソン32位の実績を持つポロックは、現在34歳の五輪選手で、職業は救急医。父親としての顔もあり、マラソン練

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競技選手はスーパーシューズについて"正直に話したほうがいい"その①:クレイトン・ヤング🇺🇸(アシックス)

競技選手はスーパーシューズについて"正直に話したほうがいい"その①:クレイトン・ヤング🇺🇸(アシックス)

(写真:Instagram Clayton Young ©︎kevmofoto)

今日からこのテーマの記事をシリーズとして毎日書いていく。

1回目はアシックス契約のプロ選手、クレイトン・ヤング(アメリカ)について。

(3月21日の全米15kmロード選手権で優勝したクレイトン・ヤング)

スーパーシューズの“アドバンテージ”を授かった選手私が彼のことを知ったのは、2019年6月の全米学生選手権

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今後、ランニング用カーボンシューズの評価項目で「価格」と「重さ」を重視するのがいいだろう。

今後、ランニング用カーボンシューズの評価項目で「価格」と「重さ」を重視するのがいいだろう。

2020年は本当に多くのメーカーがカーボンプレートを挟んだ新製品をリリースして、ランニング界が盛り上がりのあった1年だった(一部違う素材のプレート内蔵の製品もあるが)。

それでも、王者ナイキの牙城は崩されず、ネクスト%、アルファフライがロードレースや12月までのトラックレースでは選手たちの足元を支えた。

また、来年には東京五輪を控え、アシックスの厚底シューズ(プロトタイプ多数...メタフライな

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なぜホカやリーニンの「厚底シューズ」の厚さが世界陸連のシューズリストで25mm未満なのかを細かく解説します。

なぜホカやリーニンの「厚底シューズ」の厚さが世界陸連のシューズリストで25mm未満なのかを細かく解説します。

2020年8月に発表された12月1日以降の公認トラックレースでの25mmルール。いわゆる厚底シューズが12月1日以降の公認トラックレースで履けないというものでランナー界隈で大きな議論が起きた。

10月や11月になって世界陸連は認可されたシューズリストを更新しており、それらのシューズの厚さが25mm未満なのか、それ以上なのかが一眼でわかる。ここに、元祖厚底のホカオネオネのシューズで25mm未満とな

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各メーカーの厚底カーボンシューズ計30足の比較(2021年新作:11足)

各メーカーの厚底カーボンシューズ計30足の比較(2021年新作:11足)

2017年の夏にナイキがヴェイパーフライ4%をリリースしてからはや3年。

各メーカーがこぞって厚底カーボンシューズの新製品をリリースし始めたのが2020年になってからだった。今や、メジャーなブランドだけでなく世界中のシューズブランドがこのシステムのシューズをリリースしているので、今回は19足+2021年の新作11足の比較を“各ジャンル”ごとに行うことにした。

シューズの重量は各26.5cm、各

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厚底カーボンシューズ戦国時代履き比べレビュー【2020年秋場所】

厚底カーボンシューズ戦国時代履き比べレビュー【2020年秋場所】

5社の厚底カーボンシューズの5種のテストランを9月6日の朝に行った。

よく会う人に「おはようございます」と言われたけど、内心「あの人何してんねん」と思われたかもしれない。笑

“2020年秋場所”

左から(L to R)
① RACE 160x(Xtep)
② Endorphin Pro(Saucony)
③ Fei Dian(Li-Ning)
④ Adios Pro(adidas)
⑤ VF

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本当に「自力」を高めるシューズってなんだろう?厚底「軽量」シューズ全盛期に重いシューズでトレーニングすることの重要性と👟のレジスタンストレーニングについて。

本当に「自力」を高めるシューズってなんだろう?厚底「軽量」シューズ全盛期に重いシューズでトレーニングすることの重要性と👟のレジスタンストレーニングについて。

今日のジョギングで意識した点と、ジョグの後に考えたことについて。

【練習内容】39'モデレート+流し100m3本
(100mは17秒1、17秒3、17秒1、R31秒=ほぼ同じ動き)
Total: 41:00, 10.5km(ave. 3:53/km)
5km19:29(3:54 /km) 10km19:26(3:53 /km)のイーブンペース
シューズ:ナイキボメロ14(270g)

(このジョ

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12月1日までの公認のトラックレース(中長距離)であなたは何を履きますか?(改め今後のトラックレースで何を履きますか?)

12月1日までの公認のトラックレース(中長距離)であなたは何を履きますか?(改め今後のトラックレースで何を履きますか?)

(トップ写真:2017年ロンドン世界選手権男子10000m決勝。この頃にはすでに契約選手にVFは配布されていたが、当然ながら出場者全員がスパイク着用)

※世界陸連は8月10日に【公認トラックレースでは競歩を除いてVF4%・ネクスト%・αフライ等の使用はできない】等のシューズに関する新たな競技規則Rule 5は2020年7月28日から適応されたことを正式にプレスリリースで発表。今後、公認トラックレ

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【2020年7月28日以降の公認トラックレースで競歩を除いてVF4%・ネクスト%・αフライ等は使用不可】:世界陸連がシューズの競技規則と東京五輪マラソン・競歩の資格有効期間を改定(8月11日修正・加筆有)

【2020年7月28日以降の公認トラックレースで競歩を除いてVF4%・ネクスト%・αフライ等は使用不可】:世界陸連がシューズの競技規則と東京五輪マラソン・競歩の資格有効期間を改定(8月11日修正・加筆有)

世界陸連は2020年7月28日に、競技で使用するシューズに関する競技規則と、東京五輪のマラソン・競歩種目における資格有効期間の改定を発表した。

(上:2020年7月28日発表・下:2020年8月10日発表)

7月中旬の世界陸連の評議会(Council)でこれらの改定項目が正式に承認され、【公認トラックレースでは競歩を除いてVF4%・ネクスト%・αフライ等の使用はできない】等のシューズに関する新

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現在のトップレベルのトラックレースで選手が何のシューズを履いてるかは大変興味深い。その①

現在のトップレベルのトラックレースで選手が何のシューズを履いてるかは大変興味深い。その①

去年の八王子ロングディスタンスの10000mで見た光景が以下。

そして、今日のホクレンディスタンス深川大会を見て思ったのが以下。

普段の練習で何を履いて練習しているか?レースで選手が履いているシューズは、そのレースに向けての高強度練習で「選手が何を履いて練習しているか」と密接に紐づいているだろう。

レースでVFを履いていれば、練習でももちろん履いているだろうし、スパイクに関してもそうだろう。

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現在のトップレベルのトラックレースで選手が何のシューズを履いてるかは大変興味深い。その②

前回の記事はこちら。

前回は日本のトラックレース(現在はホクレン)を見ていると、5000mや10000mのトップはだいたいスパイクを着用している、ということを書いた。ホクレン網走大会でも、男子5000mで日本人トップの長谷川選手はスパイク着用(深川大会の日本人トップの松枝選手もスパイク着用)。これらはとても偶然のようには思えない(とはいえアルファフライを履いた選手が1位になることもあるだろう)。

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VFはストライドを伸ばし、ふくらはぎの疲労を軽減する【ブリガムヤング大学の研究より】

VFはストライドを伸ばし、ふくらはぎの疲労を軽減する【ブリガムヤング大学の研究より】

VFがすごいシューズであるというのは疑いようがない事実であるが、それは実際のレースという現場でも、研究というアカデミックな場においても、どちらでも数字というデータが実証している。

レースでの数字に関しては先日のnoteで書いたので省略するとして、私なりに感じたVFを履いて走った時の感覚と論文で報告されている実験結果をもとに考察してみたい。

ストライドが伸び、ふくらはぎが疲れにくくなるVFを履く

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