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【weekly post】2022年9月建設・不動産領域Pre-Seed~SeriesA資金調達in欧州

ご無沙汰しております。
1週間空きまして久々にWeekly Postということで、欧州の建設・不動産領域を見ていきたいなと思います。

先週は、仕事で島根県に2泊3日で行っておりました。
島根に行くのはおそらく数年ぶりで、おそらく人生で初めて松江に行きました。(前回は出雲だった)

いろんな方とお話しできて、新しい機会みたいなのも見えたりしたすごくいい出張でした。
久々にオフラインで島根の投資先の起業家さんともお会いできてよかったです。

個人的に最近VCではカバーできなくて、融資のプレイヤーもカバーしきれるかといわれると微妙なところに対してな何かできないのかみたいなところもちょっと考えるヒントが貰えたのでいろんな収穫がありました。

本当にどうでもいいですけど、行き帰りで出雲空港を使ったんですが、見事に周辺何もなく、田んぼに囲まれてる感じとか、宍道湖がちらっと見える感じとか、とてもよく、個人的に好きな地方空港ランキングを付けるとしたら、かなり上の方だなぁと眺めながら思っておりました。

という余談はさておき、今月の建設・不動産in欧州ですが、今月はいろいろとすごくて、まず件数が先月の倍超に急増し、USと比較すると環境配慮系が多いのはいつものことなんですが、今月はぶっちぎりで多く、しかも、ほとんど建材系という、個人的には「何があったんだ?!欧州!」といった感じです。

建材系もこれまでは、どちらかというと素材に特徴を持っていて、脱炭素を実現するものが多かったように認識してるのですが、今回はそれに加え、製造の部分にもテクノロジーを加え生産のところにも特徴を持った企業が出てきていて、少しフェーズが変わったのかな?と思いながら見てました。

それでは早速、9月のサマリーから見ていきます。

9月のサマリー

■対象企業
所在地:ドイツ、フランス、エストニア、オーストリア、オランダ、ルクセンブルク
対象領域:建設・不動産領域
企業ステージ:PreSeed~SeriesA
ファイナンス時期:2022年9月1日~9月30日まで

ステージ分布

いつもは、どこかのステージに偏っているということが多いんですが、今月は、ほぼ均等にファイナンスが発生してます。

ただ、調達額が、ちょっと変な感じになっていて、Pre-SeedとSeedで調達額にほぼ差がない状態になっています。

平均調達額の推移

EUもさかのぼっていただくと、一定差が開いていることが伝わるかと思いますし、US見ててもやはりステージごとに少し開きがあるものなのですが、今月に関してはほぼ開きがない状態です。

考え方的には、「ファイナンスの環境があまりよろしくないので、PreSeedでも、一定まとまった金額調達しておこう」という感じかseriesAの調達金額を見る感じ、「全体的にファイナンスが厳しくて大きな調達ができなくなっている、一方でどこまで切り詰めたって、一定期間検証するのにかかるコストはPreSeedもSeedもかわらない」ということなのかと、いくつかあるのかなぁと思ったりしながら眺めておりました。

先月に比べると多少回復しているとはいえ、引き続きかなり低い水準なので、心配ですね。

カテゴリー別調達企業数

そして、今月一番の目玉は、このグラフなんだろうと思います。
過去、何ヶ月もこのnoteを書いてますが過去イチ建材系の数が多いです。
ほとんどコンクリート系だったんですけど、木材系があったので後ほど個別にご紹介します。
また、冒頭でも触れたんですけど、今まで建材系は、その性能(特に脱炭素)を押しているものが多かったんですが、今回は1社、性能も押しつつ、高品質な生産を続けるために独自のソフトもセットでやってますという会社がありました。

歩留まりまでコントロールするためのテクノロジーを持ってる会社って(このステージだと)珍しいし、何かフェーズが変わってきてるんだろうか?と思って、今後も継続的に建材系が出てきたときには、その点も見てみたいなと思います。

それでは、建材系のスタートアップも含め、今月は3社ご紹介していきます。

①【roofSec】平屋根用雨漏りセンサー

設立:2016年
今回調達金額:不明
調達総額:不明
リード投資家:Der Brutkasten、CFP GmbH、個人投資家
サービス内容等:
屋上が平らな屋根になっている建物をターゲットにした雨漏りの検知システムを提供している企業になります。

通信ができるセンサーユニットを屋根に敷き詰めることで、漏れのリアルタイム検知と漏れの場所の検知をしてユーザーにアラートを上げてくれるようになっています。

センサー自体は、建物ができたがった後でも設置ができるようになっていて、屋根の上に、防湿層>センサーユニット>断熱材>防水幕>砂利や芝などといった感じで重ねていくようです。

ターゲットが誰なのかわかるような言及はサイト上にはないのですが、雨漏りによる高額な修理費用の回避を目的に設置してもらうことを狙っているようでした。

②【Triqbriq】損傷木材を利用した木製ビルディングブロック

設立:2021年
今回調達金額:€1M
調達総額:€1M
リード投資家:不明
サービス内容等:
損傷木材を使って建築用のブロックモジュールを作っている企業になります。

損傷木材ってのが、これまであまり聞いたことのないアプローチだなと思い取り上げてみました。
森の中には、虫食いなどで傷んだ木があったり、自然災害などでだめになってしまう気があったりします。2019年にあそれが3,200万㎥分も伐採されたそうで、それを建材として活用しようじゃないかというものです。

こんな感じの木製ブロックで、建てるものに合わせてサイズは柔軟に変更できるようで、これを組み上げていくことで、他の素材をできるだけ使わずに建築を行っていきます。

すでに5件プロジェクトが走っているようで、戸建てだけかなと思ってたんですが、マンションみたいなものもその中にあるので、そこそこ規模があるものにも現時点で対応できているようです。

③【Canopus Drilling Solutions】地熱開発用掘削技術

設立:2018年
今回調達金額:$25M
調達総額:€2.6M
投資家:SHIFT Invest、ENERGIIQ
サービス内容等:
地熱エネルギー利用のための掘削技術を開発している会社です。
同社によると、ヨーロッパで使用されるエネルギーの約半分が熱利用によるものとのことで、そこに対して、熱供給を大幅に安価に行うことを目指し、掘削技術の開発を行っているようでした。

コアとしては、掘削技術そのものと高精度な地下のナビゲーションの部分にあるようで、今回のファイナンスを元に最初のフィールドテストを実施するようです。

ちなみに、投資家に入っているSHIFT Investは、2009年設立のインパクトベンチャー向けのVCでクリーンエネルギーや持続可能なモビリティなどに投資をしているようで、なるほどなと思いました。

編集後記

さて、今回は、いつもの建設不動産と比べると、変わり種ばかりの3社を取り上げました。

これぞ、欧州の建設不動産という感じがしてこれはこれでいいですよね。

1つ目の雨漏りの検知については、正直パッと見たときに、「ニッチすぎるんじゃねぇの?」とも思ったんですけど、雨漏りの改修コストが高いというのもあるだろうし、場合によっては、物流倉庫なんかだと、倉庫内の荷物が効果だったりすると結構損害も大きくなるから、手当しておこうというニーズもあるのかなとか思ったりしました。(でも、それって損害保険とかで何とかならないんだろうか?共存する感じなのかな?)

個人的に結構面白いと思ったのは、2つ目で、ただの(と言ったら失礼なんですが)木材モジュールであれば、なんともかなと思ったんですけど、損傷木材を使っているというのを見て、それは面白いかもと思い取り上げてみました。

本来であれば廃棄するものを何とか使えるようにしてるってのは、売値でも他と比較して悪くない数字になるなら、いろんなメリット(環境面だけでなく、廃棄コストがおそらく馬鹿にならないきがする)が出るだろうと思います。
また、ブロックの作り方が、ちょっと昔の日本の木造建築みたいなとこにも近い(近いといっても遠いんだろうけど)なと思い、いつもは建材系あまり触れないのですが、触れてみました。

環境配慮系のスタートアップってまだまだ日本国内だと多くないのかなと思いつつ、一方で、環境系でしっかり勝ち筋を作っていくハードルも一定あるなと思ってるので、欧州の建設不動産からはその辺を学び取っていきたいなと思います。

今回はこれにて以上にしたいと思います。
いつも長文読んでいただきありがとうございます!

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それではまた!

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