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【weekly post】2022年1月建設・不動産領域Pre-Seed~SeriesA資金調達inUS

すでに新年度も始まり4月も中盤ですが、今年の1月分を取り上げて参ります。。

US建設不動産の21年12月分のnoteを公開したのが、今年の2月なので少しおさらいから入れればと思っておりますが、先月分(12月分)は15社対象企業があり、BessemerやFounders Fund投資先などもあり、結構著名なVCさんの投資が増えてきたのかなぁと思った記憶があります。

(もしよろしければご覧ください。)

今月(1月分)は、後ほども触れるんですが、対象企業が21社といつもより多めでして、投資家としては、Accel、Bessemer、Kleiner Perkins、SequoiaへLP出資も行うSVB CapitalやYcomがいたりと引き続き豪華な感じになっております。

それでは今月も全体像から見ていきます。

1月のサマリー

今回のweeklyの対象になる企業は下記の通りで、該当する企業の数は21社でした

■対象企業

所在地:US
対象領域:建設・不動産領域
企業ステージ:プレシード~シリーズA
ファイナンス時期:2022年1月1日~1月31日まで

2022年1月建設不動産領域ステージ別分布(シリーズAまで)

肌感覚として、毎月Seedステージでのファイナンスは50%前後の割合で推移してると思うのですが、今月は7割近い企業がSeedでした。

ステージ別平均調達額

ステージ別の平均調達額の推移ですがPre-Seedはほぼ例月並みで、グラフの関係でやや見えにくいと思うのですが、Seedは緩やかに下落傾向にあり、過去半年で最低水準の数字になっています。
SeriesAについても、下落傾向にはあるんですが、21年の8-10月の水準という感じで、めちゃくちゃ低くなっているかというと、少なくともこのグラフを見る限りは、21年7月、11月の金額がイレギュラーだっただけかなと思っています。

領域別調達企業数と調達総額

こちらは領域別の調達総額ですが、やはりSeedが多く、SeriesAの平均調達額が低かったこともあり、全体的に少なめな印象がありますね。
金融保険領域は今月の(~SeriesAまで)ファイナンスで一番大きかった会社がこの領域にいたことで大きくなっています。

その他で行くとUSにしては珍しく建材系がいることでしょうか。(建材は最近だと、カーボンニュートラル文脈で欧州に多いイメージです。)

それでは今回は21社の中から4社ご紹介します。

①【リノベーションファイナンス】Acorn Finance(SeriesA)

Acorn Finance

設立:2017年
今回調達金額:$8.4M
調達総額:$12.4M
リード投資家:MassMutual Ventures
サービス内容等
住宅や簡易オフィスなどのリノベーションに対して最大10万ドルの融資をクレジットスコアに影響を与えず短時間(最短1営業日)で提供してもらえるサービスになります。

借り入れの申し込みをするユーザーには無料で提供され(貸手から手数料を徴収)、簡単なフォームに事前情報を入力すると金融機関から複数のオファーが届き、条件を比較した後、契約すると1-2営業日で着金するといった流れになります。

Acorn Financeでは、地方銀行や信用組合などの貸手を増やし、瞬時にローン処理などを行えるアルゴリズムを開発することで、短時間かつ好条件のファイナンスを提供しています。

②【建設関連SaaS統合API】Agave(Pre-Seed)

agave

設立:2021年
今回調達金額:$500K
調達総額:$500K
リード投資家:Y Combinator
サービス内容等
Ycomの採択企業で、建設企業において、各機能を担うSaaSを統合し分析を行うための建設関連SaaSの統合APIを提供しています。

ちょっと上記だとイメージ伝わらないかと思うんですが、PJ管理や会計管理、図面ファイル保管、現場作業系などなどの各種SaaSにこれまでだとそれぞれログインして、データを分析したりしなければならなかったかと思うのですが、各種SaaSのデータをひとまずagaveで統合しダッシュボード系サービス(PowerBIなど)や自社ツール等で一括で表示することができます。

また、PJ管理や契約管理、予算、図面などユースケースに合わせたAPIが用意されているようで、開発者の方の負担も最小限にできるような仕組みになっています。(ドキュメントもかなりしっかりしてるんじゃないですかね。エンジニアではないので分からないですけど、ぱっと見かなりしっかりしてるし、こだわってるアピールが結構表に出てます。)

③【建築用門型3Dプリンター】AIquist 3D(Seed)

AIquist 3D

設立:2020年
今回調達金額:$1M
調達総額:$1M
リード投資家:不明
サービス内容等
コンクリートをベースとした3Dプリンターを開発し戸建てや集合住宅などの安価な建築を目指しているスタートアップです。

HABITAT FOR HUMANITY HOME

すでに1棟、戸建て住宅も作っていて(上記がそれ)写真を拡大してみると、確かに壁に積層した感じがあるんですが遠目から見ると気にならない感じで、拡大してみても、そういうデザインと言われれば全く違和感ない感じに仕上がっています。

上記の家が1,200平方フィート(約111㎡)で3ベッドルーム,2バスとのことなんですが、外観自体は28時間で作られているようで、通常の建築と比較すると爆速という感じかと思います….
コストについても、1平方フィートあたり(推定)15%程度の削減インパクトとのことでした。

基本的に、中心にあるのは、コスト削減を軸に住宅供給が行き届かないところに届けていくことで、環境的にコスト高が進む中で、材料価格が上がるなら建築コスト(と販売コスト)を下げるぞという発想です。一方、持続可能性にも触れられていて、ベースはコンクリートながら、環境に優しい材料の利用も行うことや、再エネ活用などでCO2排出ネットゼロを目指すとのことでした。

④【リモートワーカー向け家具付きアパート】Anyplace(SeriesA)

Anyplace

設立:2015年
今回調達金額:$10K
調達総額:$8.1M
リード投資家:GA Technologys Japan
サービス内容等
crunchbase眺めて、投資家を二度見するというくらい珍しく日本法人の投資家だったので取り上げみました。
サービスとしては、リモートワークが可能な職種の方向けの、リモートワークに適した家具が備え付けられているAirbnbのような感じになります。
写真の通りで、ワークチェアやそこそこ広めのデスクにモニターがついてるだけでなく、モニターはウルトラワイド、デスクもスタンディングデスクだったり、マウス、外付けキーボードやウェブ会議用のwebカメラ、マイク、グリーンバックまで用意されていて、かなり徹底されています

パッと見た感じ、どのお部屋も最低宿泊日数が31泊からになっており、価格を見てみると、ロスの55.6㎡ほどのお部屋で$4,267/monthということで他のお部屋も少し覗いてみたんですが、$6,000近いお部屋なんかもあり、割と一般のサラリーマンのワーケーションというテンションではなくエグゼクティブの長期出張がターゲットなんだろうか?という印象を持ちました。

編集後記

久々に③で新しい建築手法の会社を取り上げました。
実は1月より前にも、新しい建設手法としてのモジュール化とかそう言った話はいくつかあったんですが、これまでも結構取り上げてきたと思うので買いてませんでした。
今回は、モジュールではなく、3Dプリンタということで久々に取り上げています。
建設用3Dプリンターだと国内はスーゼネの清水建設、大林組だったり、竹中工務店や前田建設も取り組んでることが知られていますし、昨年にはクラボウも建設用3Dプリンターに参入しています。
また、スタートアップでもPolyuseが開発を進めるなど、大手、異業種、スタートアップまで幅広く参入されている領域です。

これまでコンテナやモジュールなども新しい手法として、取り上げてきましたが、細かなことを言えばキリがないと思うのですが、大枠で見ると、各社ともにアプローチしている課題は建設業における人手不足やコスト高の部分かなと思います。
現時点で、どれが最適解ということもないですし、そもそも、1つの方法が最適解になるかというとそうではなく実際は、現場の中で3Dプリンターとモジュールやコンテナが一緒に入ってきたりというような感じになるんじゃないかとなんとなく思っているのですが、5年10年先のより人手不足が加速した時代に、本格的に現場で動かなければならない人の数がぐっと減ったり、より人である必要があるポイントに職人さんがフォーカスすることで、オリジナリティがある住宅が作られていくとかなっていくと面白いなぁと思っています。(モジュール化したりすると規格化が進んで、町中同じような家まみれになるよねという指摘もあると思うので。人がそこに工夫を加えるというのもそうですし3Dプリンターがそこの部分で自由に動かせるからこそのアレンジとかできると面白いのかなと)

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