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【Monthly Funding Report】2023年2月アメリカ建設不動産領域

全部書き上げてからここのパート書いてるんですが、めっちゃ長くなってるので、手短に(笑)

今回個人的に面白い会社多かったです。
それでは本編へ。

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リサーチの範囲

つらつらと書いておりますが、いつも通りで建設不動産領域すべてを入れておりまして、昨年までは入れていなかった造園系などのカテゴリーもすべて含んでいます。

ファイナンスについては借入、補助金関連を除きすべてのエクイティラウンドを網羅してます。

今月のサマリー

グラフが増えてくると見ごたえがあっていいですね…
今月はシードステージでのファイナンスがぐっと減った関係で、アーリー以降の件数は増えましたが、全体としては件数減少ということになりました。

調達金額についても1月と比較すると少し落ちているのがわかるかなと思います。

今月の著名VC投資先一覧

22年12月が特化型VCばかりだったこともあってか、1月に続き2月も特化型VCがほぼおらず、唯一のMSもClimate Tech関連ファンドなので、建設系の特化VCはいないという形になりました。

また先月は著名投資家の投資先のうち半数以上がシードだったんですが、その割合も下がって今月はアーリー以降中心でした。

唯一のSeedであるChurch Spaceに投資している「The Talent x Opportunity」はカッコ書きした通りa16zのファンドで資金提供だけでなくトレーニングプログラムも提供し人種差別やコミュニティの差別などで十分な支援を受けられていない起業家を支援しています。(ファンド自体はA16Zのパートナーからの寄付で組成されていて、リターンは分配されず再投資に100%充てられる)
TxOの詳細はこちらから

後ほども取り上げるんですが、ToggleにGlobal Brainさんのファンドが入ってるんですが、どうやら東急建設とのファンドとのことでした。

今月のPick up

前回のnoteでは著名投資家の投資先のみ取り上げたんですが、個人的に興味を持った企業が多かったこともあり、著名投資家の投資先2社、それ以外から2社の計4社をご紹介しようと思います。

【Zeitview】屋根や風力発電機、太陽光設備等のドローンによる検査

ステージ:Series E

ファイナンス履歴(直近3ラウンド)
見方:ステージ リードVC等(ファイナンス時期)
Series E Valor Equity Partners(2023年2月)
不明 Euclidean Capital(2021年10月)
Series C Union Square Ventures(2021年6月)

サービス概要等
建物や太陽光、風食などの発電設備、通信設備などのインフラの状態をドローンを用いて点検し開栓提案まで行うサービスを展開。

80,000を超えるグローバルでのドローンオペレーターネットワークを構築し、一般的なカメラの画像や赤外線装置などでデータを取得。業界に特化したデータでトレーニングさせたAI等を用いて分析を実施するソフトも独自に持っており、そのソフトを使ってアウトプットを作成。

点検だけでなく建設現場などでの設備等の盗難リスクの判断や発電機のパフォーマンスに影響を与える異常なども特定する。

直近の事業等数値
世界70ヶ国以上で提供しており、22年単年での太陽光発電所の検査規模は43GW分とのこと(21年10月までの検査規模が37GWっぽいので単年で累積を超えたっぽい。)

【Sojo】民泊施設向けアメニティの自動宅配サービス

ステージ:Series A

ファイナンス履歴
見方:ステージ リードVC等(ファイナンス時期)
Series A Ballast Point Ventures(2023年2月)
Seed Private Investor(2021年5月)

サービス概要等
民泊施設向けに高品質かつかんきょうに配慮したアメニティを自動で宅配するサービスでバス用品だけでなくキッチン回りや洗濯用品系も取り扱いがある。
アメニティは予約に合わせアッセンブリされた状態で届くようになっており、Boxは施設に合わせてカスタムすることも可能。

自動で届く仕組みとしては、バケーションレンタル系サービスやプロパティ管理サービスと統合できるようになっており、売上や予約データに連動してアメニティを配達するような仕組みになっている。

予約に合わせて届くようになっているため大型の在庫スペースを用意する必要がなくなる。

直近の事業等数値
開示なし

【Toggle】大規模な鉄筋系建設資材の事前組み立てロボット、ソフト開発

ステージ:Series A

ファイナンス履歴(直近3ラウンド)
見方:ステージ リードVC等(ファイナンス時期)
Series A Global Brain Corporation他(2023年2月)
Series A Tribeco Venture Partners(2021年6月)
Seed Point72 Ventures(2019年10月)

サービス概要等
大規模な現場で利用される鉄筋の組み立てを対象としたロボットとソフトウェアの開発を行う。
鉄筋の組み立ては、自社施設で事前にロボットによって組み立てられ現場に運ぶ方式で、これにより安全性と生産性の向上を目指す。

ソフト側では、建設用に作成された図面をロボットが生産を行えるように変換できるようになっている。

また、22年にトヨタの人工知能関連の研究所で自動運転部門の責任者やボストンダイナミクスにてPMを務めたJoseph Bondaryk氏がCTOに就任

直近の事業等数値
開示なし。今回の一連の調達資金を用いて50,000平方フィートの工場を開設し生産設備を強化する予定とのこと

【OnSiteIQ】ビデオキャプチャによる建設プロジェクトの進捗確認

ステージ:Series A

ファイナンス履歴(直近3ラウンド)
見方:ステージ リードVC等(ファイナンス時期)
Series A ValueStreem Ventures他(2023年2月)
Series A Bela Juji Ventures(2022年4月)
Series A ValueStreem Ventures(2020年12月)

サービス概要等
360°カメラを活用したウォークスルー画像を用いて物件の施工進捗管理や品質管理、安全監査等の機能を提供する。建設費の支払いタイミングの正確な把握にも利用することができる。

本来であれば現場に出向き1件ごとに把握しなければならないが、このサービスを利用することで現場に行かなくてもレポートを通して把握が可能。
レポートは、現場にて取得したデータを独自のシステムでマッピングし状況を整理しアウトプットされる。

これにより、本来の手法の半分程度のコストで2倍の物件数を検査することが可能。

現場で画像を取得してくる人はギグワーカーを活用しており、面接を経て仕事を受けれるような仕組みになっている

直近の事業等数値
2022年2月時点で26名の組織規模だったところから、60名まで増加している。23年時点での展開都市は不明ながら


今月の深堀~民泊市場とアメニティ~

本当は建設周りのロボティクスの話を深堀したかったんですが、結構時間がかかる気がしたので、一旦また今度ということにして今回はSojoから深堀テーマをいただこうと思います。

東京にいるとまだそこまで感じないのですが、ここ最近、北海道、広島、島根、大阪なんかに出張に行ったときに、めっちゃ外国人観光客の方が増えてる印象を持ったので、少し時間はかかるだろうけど波が来るかな?ということで民泊とアメニティのマーケットの今を見てみようかと思います。

前提としての訪日外客トレンド

そもそも、出張の時に増えてる気はしたけど、ほんとに増えてんの?ってことで、去年からの推移をグラフ化してみました。

わかりやすく去年の10月から爆増してますね。
グラフに水際対策の緩和タイミングも示してますが、1日の入国上限撤廃とそれまではツアーのみだったところから個人旅行を解禁したことで大きく伸びています。

コロナ前と比較するとどうなのかという点で見ると、2019年1月 VS 2023年1月だと44.3%減とのことなのでやっと半分超には回復してきたけど、回復したとはいえその程度という感じでした。

2023年1月国別訪日外客数(VS 2019年1月) JNTO

個人的な体感値あってたなと思ったのがこの表で、中国に関しては全く戻ってきてないといっても過言ではないのですが、もともと中国並みに来てくれていた韓国からの訪日外客はかなり戻ってきていて、香港もほぼコロナ前水準、シンガポール、ベトナムに関してはコロナ前を上回る水準で来てくれています。

中国と台湾がまだまだ弱いということで、そこの復調が全体としてコロナ前に戻るには必要なのかなと思います。(小売りという意味ではお金を落とす量も全然違うでしょうし…)

民泊市場のコロナ禍での動向

コロナ以前は訪日外客もかなり多く、新規ホテルの建設って大変だけど、Airbnb使って空き物件とかを民泊利用できたら供給増やせるよね、東京五輪や万博に向けて受け皿増やせるよねといった文脈もあり、緩和が進んでいったかと思います。

一方、緩和して間もなくコロナに突入してしまったということで今どんな状態なのかということで、めっちゃ良くまとめていただいてる資料があったのでグラフ等引用できればと思います。

コロナ下の民泊市場の現況と新たな取り組みに関する考察(都市未来総合研究所)

小さいグラフで恐縮なのですが、図表1の赤い線が事業廃止件数で増加傾向にあることが見て取れます。
居室数の方がより分かりやすくて、事業廃止が増えていながらも、居室数自体は20年4月頃まで増えていたことがわかります。それが緊急事態宣言を期に減少に転じています。

民泊以外の稼働率を見てもコロナに入る直前の令和元年の数字からコロナ禍の令和2年で稼働率が全体的に半分程度になっていることを考えると、民泊も相当厳しかったんだろうなと思います。

観光庁 令和2年 宿泊旅行統計調査

直近のホテルアメニティ市場

市場規模に関するデータをググってたんですけど、パッと見つからずでした。

2018年限りで市場から資生堂が撤退しているようなのですが、その際に撤退が資生堂本体の業績に与えた減収インパクトが半期で24億円程度とのことだったので、資生堂が大きなシェアを持っていたという情報を鑑みてもめっちゃでかい市場かといわれると、そうでもないのかな?と思ったりします。

根拠がこれだとは全然知らなかったのですが、実はこの市場にヒットする法律が22年4月から施行していて、それがプラ新法と呼ばれるものです。

要約すると

年5トン以上の使い捨てプラスチック製品などを使用する事業者に計画的な削減を求めており(以下略)
「プラ新法」4月1日施行 旅館ホテルのアメニティも対象に
観光経済新聞

とのことで、客室に置かずにロビーで取ってもらう形に変更するところやプラ製品ではないアメニティに変更するところなどが出てきており、業界全体としては、売上の減少やプラから別素材への変更で勢力図が変わったり見たいなことが起きうるのかなと思いました。

アメリカに目を移してみると、カリフォルニアでの法律制定を皮切りにニューヨークでも制定されたのがホテルアメニティ廃止の法律

カリフォルニアのケースだと使い切りシャンプーの提供禁止などが織り込まれているようでした。

最後に

国内だけで見るとマーケットはそこまで大きくないんだろうと思う一方で海外まで広げるとそれなりのサイズになりそうだし、市場としては環境配慮文脈で業界シェアが動く可能性があるとか考えると、Sojoの参入はちょっと面白いのかもしれないと思いました。(アメリカでは24-25年あたりから規模に応じて適応されていくらしい)

一方で、国内市場においてはこれまで薄利多売の側面があったようで、Sojoも価格の安さを少し押していたので、薄利多売の方向に行くと民泊事業者がそもそもホテル事業者より多いであろうことを考えると、ホテルの場合は1ブランド取れるとかなりの客室に入るはずなので、マーケティングコストも限定的だったんじゃないかと思いますが、民泊の場合はそうもいかなさそうな気がします。

ただ、現在は民泊事業者向けプラットフォーム(予約、物件管理など)で、事業者を支援する機能を提供している所もあったりするので、個別に抑えに行くよりもプラットフォームと連携することで一定マーケコストを抑えられることもあるのかなと思います。

また、環境文脈で法律的な追い風があるので、ここをうまく使いつつ、品質の高さで多少高くても選ばれる仕組みが作れると、面白そうだなと思いました。(すでに薄利多売で成立していたことを考えると、原価はかなり抑えられる構造は存在するはずなので売価を上げられたとしたら、粗利率改善の余地はありそう)

編集後記

久々に4社も取り上げたので、かなり長い文面になってしまってすみません。
どこかで、建設業におけるロボティクスや自動化の部分は深堀したいなと思ってますので気長に待ってください。

個人的に今回取り上げた、Toggleへの東急建設の出資はすごく印象的でした。
かなりスケールの大きな話ではありつつも、Safe AIへの大林組の出資と同じような大規模建設に使われようとしている省人化技術の日本適用みたいな。本当は最初から小さい現場でも使えるような技術が日本で出てきたらいいんだろうけど、やっぱり日本だと圧倒的に少ないので。
(この辺やっていきたいよな….)

今回も長文読んでいただきありがとうございました。
次回もぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

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