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【weekly post】2022年8月教育領域Pre-Seed~SeriesA資金調達inUS

建設不動産領域は、USとEUとで月2回あるのですが、教育とヘルスケアは月1回なのでとても久しぶりな気がしています。
今回は8月のUS教育領域になります。

サムネにも記載した通りなのですが、7月は22年に入って以降最低の調達件数だったんですが若干持ち直していて、再び2桁に乗っかっています。

事業領域としては、ニーズがかなり明確になっているビジネススキル領域が圧倒的に多く、久々に受験教育も出てきているのですが、これもやはりニーズがかなり明確になっている大学編入の支援を行うようなサービスでした。(アメリカだと日本以上に編入学がポピュラーな印象)

Weeklyの今後の予定はこちらになります。

9月5日:US建設不動産
9月12日:US教育→今回
9月20日:USヘルスケア(月曜祝日のため火曜公開)
9月26日:EU建設不動産

最近このnoteのサムネを変えたりfacebookで告知をさせていただいたりと、少し試行錯誤しているのですが、結果的にエンゲージメント率が高まったり、読んでいただける方の絶対数も増えたりと数字的に嬉しいなと思える変化が見えてきました。

加えて、Facebookで何人かの方から、「読んだよー!」的なコメントをいただくこともあったり、起業家の方と面談させていただく際に「(実は)note読んでます」的なお言葉をいただいて、数字以上に嬉しく思っております。

サムネに関してはもう一度マイナーチェンジを試してみようかと思ってますが、その検証ができたら、今度はいよいよ本文の改良をしていきたいなと思ってます。

なので、「この情報が余計」「こんな情報が欲しい」「このnoteを読んでどんな活動に繋げようと思ってる」などご意見やどのような使い方をされてるかなどこっそりTwitterDMやこのnoteのコメント、会った時にでも教えていただけると嬉しいです。

それでは、今月のサマリーから見ていきます。

8月のサマリー

■対象企業
所在地:アメリカ
対象領域:教育領域
企業ステージ:プレシード~シリーズA
ファイナンス時期:2022年8月1日~8月31日まで

まずはいつも通り調達件数からです。

冒頭でも触れた通りで、今年最低の調達件数であった7月よりかは高い数字となり、直近5ヶ月で見ると平均的な数値になっています。

ただ、年始からの数値で見ると引き続き1/2程度なので、今後年末にかけて件数が復調するのかは引き続き見ていきたいなと思っております。

ステージ分布は正直大きな変動はなく、引き続きseed中心といった状態です。

領域分布については、引き続き圧倒的にビジネススキル中心になっています。

もともとやはりニーズが明確なビジネススキルが多かったんですが、その他の領域のファイナンスがここ2ヶ月連続でほとんど出てきていないことが気になっています。

参考までに、上記が22年上半期総集編で作った、領域分布になります。

ビジネススキル領域が一番調達企業数が多いんですが、ほぼ同等の数が、学校教育補助、教養教育でもありました。ただ先ほど示した8月のものだと全くない状態で、7月に関しても全くないので、たまたま2ヶ月連続で調達件数も少ないし、出てきていないだけなのか、そもそも教育領域でも明確にニーズが存在しているものと、ニーズの存在をしっかりと証明しないといけないところで差ができてきているのかなど少し考えてしまいました。

①【HumanQ】グループ学習型リーダーシップ教育(Seed)

HumanQ

設立:2017年
今回調達金額:$1.5M
調達総額:$3.5M
リード投資家:Kindred Ventures
サービス内容等:
6人1グループで6週間~12ヶ月程度かけて行うグループコーチングを軸にリーダーシップを高めるプログラムを提供しています。
グループコーチングの中では、組織課題やコアバリュー、リーダーシップスキル関連のトピックを取り扱います。

また、このサービスではコーチングだけでなく、HyperQという独自のシステムを活用し、ユーザーの習熟度などを測定することで人材育成や組織の課題を洗い出し、ラーニングにつなげていきます。

ちなみにそのHyperQは、フォーチュン500の人事の方などのノウハウや専門知識に基づいて構築されているようです。

②【Microverse】就職するまで無償のエンジニアスキル教育(SeriesA)

Microverse

設立:2017年
今回調達金額:$4M
調達総額:$19.7M
投資家:True Equity、Rubio Impact Venturesほか
サービス内容等:
就職できるまでは、無償でエンジニアスキルのラーニングができるサービスを提供しています。
学べる技術的なスキルとしては、「HTML,CSS」「Ruby,Rails」「Databese」「Java Script」「React&Redux」などなどのWeb開発で需要の高いスキルとしています。

学び方としては、独学形式は取っておらず、コーディングパートナーと呼ばれる人とともに学んだりリモートペアプログラミングなどを通したチームワーク能力の向上も行います。
また、毎日MTG(その日に達成したことや悩んでいることなどを共有するらしい)があったり、グループで行うプロジェクトがあったりと基本的に独学にならない仕組みになっています。

もちろん専門のコードレビュアーもいて、レビューだけでなく、原則グループ内で解決する形になっていますが、どうしてもクリアできない疑問については、レビュアーが質問に答えてくれます。

就職が決まらないとサービスにも売上が入ってこないので当然ですが、就職の支援も行っていて、就職に必要な準備や面接対策、給与交渉まで専任のキャリアコーチがついて支援します。

学費は、就職するまでは無償で、就職しても月給$1,000以下であれば無償、それ以上であれば月収の15%を総額$15,000に達するまで支払うような仕組みになっています。

③【Sphere】グループ学習型機械学習・データサイエンス等の学習(Seed)

Sphere

設立:2021年
今回調達金額:$4M
調達総額:$4M
リード投資家:Felicis Ventures(Y Combinatorも出資)
サービス内容等:
今後おそらく領域は増えていくんだと思いますが、現時点では機械学習やデータサイエンスなどにフォーカスしたグループ型の学習を提供しています。

NETFLIX、Pinterest、Linkedin、nvidia、Shopifyなどにて現役で活躍されている方を中心とした専門家とのライブのグループセッションを通してユーザーは学んでいくようになっています。

1コース2時間×5回程度になっていて、$700程度のものが多くなています。(ちなみにインストラクターの取り分は80%のようです。)

サービスを利用するとサービスのプロフェッショナルネットワークに参加することができ、ネットワークの構築などに役立てることができます。

サービスのお金の払い手としては主に法人を想定しているようで、会社に払ってもらうためのメールテンプレなんかも用意されていました。


編集後記

今回取り上げた3社もそうですが、最近の教育領域においては、ユーザー個人での学習ではなく、他の人も含めグループで学ぶ形式のサービスが多いです。(コホート学習と呼ばれるやつです。)

他の方がすごくよくまとめていただいている記事を見つけたので引用させていただくと

動画を通じた学習を中心としたUdemy, Courseraなどの講座との比較される形で最近注目を集めていて、期間が定められていて、人数も限定的で、ワークショップやプロジェクトの共同実践を通じて学習をするしくみです。SlackやZoomなどを活用することでより受講者、インストラクター、受講者同士のコミュニケーションやコミュニティ内での交流が容易になっているからこそ、コースの完了率が高く、学習したことも身につきやすい、と期待が高まっているようです。

「オンライン学習の新しい潮流としてのコーホート・ベース・モデルのオンライン講座」
市川裕康さん
https://comemo.nikkei.com/n/nee6562455134

コホート学習は、(期間が決まっているので)いい意味で自分のペースで学べず、価格も高くなっているケースが多いので、回収のために自発的に学びやすく、グループ内でのコミュニケーションにより学習効果を高めやすいという効果があるのが特徴のようです。

こんなにいい効果があるならすべてコホートにしてしまえば…..とも若干思ったりしますが、やっぱりターゲットによって違うんだろうなぁと思ったりしています。

個人的に一番大きなポイントになると思ってるのが価格の部分で、例えば3つ目に挙げたSphereなんかは1クール受けるのに$700-800するわけです。(2時間×5回)

一定所得がある層であれば、全然受けれる価格ではあると思います。ただ、生活費を除いた可処分所得が一定ラインを下回る人にとっては使えないサービスなんだろうとも思っています。(正直僕の場合はどうしてもやらねばと思うようなスキル1つ分くらい受けるのが限界な気がしている。)

また、今の物価高を見ていても、百貨店や通常の小売の決算が悪くなり、ダラー・ゼネラル(ディスカウントストア大手)のような会社の売り上げが高まるのを見ると、揺り戻し的にコホート学習にお金が払えないけど学ばなければいけないから旧来の自己学習に戻るというような流れがそのうち起こってくるんじゃないか?とも考えたりします。

あくまでも、仮説でしかないので、もしかするとそんなこと全然起こらないかもしれないし、もしかすると悪化しすぎて教育そのものに金なんかかけれるか!という状況になる可能性も十分にあるわけですが、もしかすると、今のコホート学習と自己学習の間ってのはチャンスがあるんじゃないか?ともおもったりしました。

完全なコホートはできないと思いますが、コホートの良い部分を残すために一定仕組化を行いコストをカットしながら価格を安く提供するようなイメージです。
素人の独り言ですが(頭の体操として…)、コホート学習は、学習完了率の高さと学びの深さを実現できているところがすごいところなのかなと思っています。

もちろん、コストを下げに行こうとするとトレードオフで失う提供価値が一定でてきてしまうはずなので、「誰の」「何の学習」に適用するのかは要件等だと思うんですが、学習完了率という観点で行くと、極論いうと学習進捗を管理して牽制する仕組みを作れれば一定代替できるのではないかと思っています。

完全に個人的な話ですが、僕はセミパーソナルトレーニングジムに通っています。3人のユーザーに対して1人のトレーナーがついてトレーニングを見てくれるというものです。3人程度のユーザーが一緒の時間にトレーニングをしていますが、3人のコミュニケーションはほぼありません。

実はこのジムに通う前、いわゆる普通のジム(一人で頑張るやる)に2度ほど課金していて、両方とも初月で離脱し幽霊会員として1年程度課金していた背景があります。
しかし、セミパーソナルはほぼ週2でもうじき半年通っていることになります。

ある程度顔が見える形でコミュニケーションをしながら、誰かに学習状況を見てもらっているという意識が持てればこの部分は解消できるような気がしています。

むしろハードルが高いのは、学習の深さの方で、これはきっとコホート学習にすればよいというものでもなく、むしろそこに強みや差が出るんじゃないかと少し思っています。

この部分については、価格を下げようとすると頻度を下げたり、そもそもコミュニケーションのようなものをオプション化してしまうということになるのかなと思ったりします。が、ここをなにがしか仕組化できると安価ながらも高価なコホート学習と体験価値としてはほぼ同じものがつくれたりするんじゃないかと思うので、考えてみたいなぁと思ったりしました。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
本日はこれで以上になります!

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