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【weekly post】2022年8月建設・不動産領域Pre-Seed~SeriesA資金調達in米国

平田拓己

今月も調達件数は上半期と比較すると少な目の結果でした。さらにすこし気になるのは平均調達金額の減少です。ステージにもよりますが、しっかり減少しているものもあるので、後ほどご紹介します。

また、今月のWeeklyの予定ですが下記のような感じでやれればと思っております。

9月5日:US建設不動産(今回)
9月12日:US教育
9月20日:USヘルスケア(月曜祝日のため火曜公開)
9月26日:EU建設不動産

さて、ちょっと余談を。
前回WeeklyPostに関するTweetのインプレッションを追っているというような話を書かせていただきました。
前回の欧州建設不動産でも、その指標を追いかけまして、結果的に9/4時点で4.6%と引き続き過去のものと比べると高い数字で見ていただけていてありがたいなぁと思っております。

また、前回からTwitterでの告知だけでなくFacebookでも告知を行うようにしたところ、noteのビュー数の伸びがいつも以上に早く伸びていきまして、Twitterでは知っていただけてなかったかたたちによんでいただけたんじゃないかなぁと思いました。

完全な私事ですが9月末に引っ越しをする予定でして、最近不動産ポータルサイトをヘビーユース(仲介の方に引かれるほど物件数見てました)したり内見に行くために仲介の方とお話する機会が多くありました。
内見に行く際に不動産業界のパワーバランスだったり費用の裏話みたいなものを伺ったりしていたので、今月のスタートアップを見る中でも、そういった意味で興味を持てるものがあり楽しかったです。
ちょっと編集後記でも、ユーザーとして感じたことや、とはいえ存在する業界のハードルみたいな話を書いていければと思っております。

それでは、本編に入っていきます。

8月のサマリー

■対象企業
所在地:アメリカ
対象領域:建設不動産領域
企業ステージ:プレシード~シリーズA
ファイナンス時期:2022年8月1日~8月31日まで

今月の調達件数は7月に引き続き16件と2022年の調達件数としては少な目のままになっています。とはいえ、22年の上半期は21年と比較しても多かったので、昨年並みの水準に戻ったといえばそういうことなのかなとも思います。

ステージ分布については、Seedが圧倒的に多い状態です。ただ、過去にこれくらいの分布がなかったかといわれると、あるにはあるので、完全な異常値で何か調達環境に大きな変化が出ているかというとそういうことではなくたまたまなんじゃないかと思います。

むしろ個人的にはこちらのデータの方が気になっています。
全ステージで減少してるんですが、なかでもSeriesAが激減という感じです。
カラクリを少し説明すると、そもそもSeriesA企業が2社しかないので、1社のえいきょうが色濃く出がちであること、また、1社の調達が謎に低かったこともあり、平均が大きく下がったという状況です。
ただ、もう1社についても$10Mを下回っていて、昨年の9-10月並みの調達金額だったので、調達企業数減少以上に気になっています。
SeriesAだけならまだしも、数が一定あるSeedについても今年の中では平均調達額が低めなので、調達環境がさらに渋くなってきているのではないか?と少し気になっています。

領域の分布については、今月管理・メンテナンス領域が多かったです。おそらくたまたまなんだろうとは思っていますが、アメリカでの利上げにより新規住宅着工に関する各種指標が激烈にやばくなっていってる中で、メンテナンスやリノベ需要を支えるホームセンターの決算がよかったので、そういった市場環境もあってなのかなとも思ったり思わなかったりします。(多分関係ないんだろうけど。)
ちなみに、今月は、久々に建設特化VCであるBuilding Venturesの出資案件もありました。

それでは、今回は3社ご紹介します。

①【Blue Tape】建設業者向け資材購入用融資(Seed)

設立:2020年
今回調達金額:$5M
調達総額:$55.1M(デット:$50M)
リード投資家:Chicago Ventures
サービス内容等:
時々、建設業者向けのレンディングやファイナンス系を取り上げてるんですが、このサービスも融資のサービスになります。
他のサービスと少し違うのは建材の仕入れのための融資サービスであるところです。
通常のサービスと異なり、キャッシュが振り込まれたりするようなものではなく、サービス上で審査を受け、支払い期間を60,90,120日の中から選ぶとBlueTapeのクレジットが付与され、それを使って建材サプライヤーから仕入れができるというものです。
何故サプライヤーがこのサービスで取引をしてくれるのかというところですが、サプライヤーからすると、小切手などの受け取りや事務手続きが不要になる上に、支払いをすぐに受け取れるのでキャッシュフローが改善するという理由のようです。
BlueTapeとしては、建設業者からの金利とサプライヤーからの取引手数料で儲けるという仕組みになっています。

②【Marble】小規模物件オーナー向け不動産管理サービス(Seed)

設立:2020年
今回調達金額:$2M
調達総額:$2.1M
投資家:Y Combinator、Bragiel Brothers、1984 Ventures
サービス内容等:
FaceBookとAdobeの元エンジニアさんが創業した不動産管理のスタートアップです。不動産管理といっても、いわゆる資産の管理というわけではなく、マンションにお住まいの方はわかるかと思うんですが、不動産物件の管理会社にあたるようなスタートアップです。
オーナーさんや管理会社が行っている通常の不動産管理業務をオンラインに置き換えていくというもので、入居者探し、家賃の回収、メンテナンスを月額$50で提供しています。

このサービスを使うに当たっては、サービスが指定するスマートロックを導入します。そこからは、日本で行くところのSUUMOやHomesのようなサービスへのリスティング、問い合わせ対応を行い、内見に関しては6段階のセキュリティチェックを行ったうえで借主候補にワンタイムコードを渡し見学してもらいます。

またメンテナンスが必要になった場合には、業者の手配、業者とのやり取りをすべてサービスで行い、メンテナンスに関するステータスはオンラインで確認できるようになっています。

③【Eano Home Renovation】物件オーナー向けオールインワンリノベーション管理(SeriesA)

設立:2019年
今回調達金額:$1K
調達総額:$7.2M
投資家:不明
サービス内容等:
調達額が明らかに少なすぎる上に、投資家の情報も出ていない状態なので、ミスってCrunchbaseにリスティングされたのでは?ともちょっと思ったんですが、面白いので取り上げ見ました。
サービスとしては、物件所有者向けのリノベーションプロジェクト管理ツールになります。
個別のプランにも対応可能っぽいのですが、基本的にはインテリアデザインのデザイン集のようなものをサービス側で準備しており、ユーザーはその中から選ぶようになります。
デザインを選択するとそれに合わせて見積もりが提示され、決定すると建設が始まっていくというものです。

工事が始まるとこのような感じにPJ管理がされていきます。

請負業者さんのネットワークと住宅設備メーカーとのネットワークをサービス側で持っており。ユーザーに対しては、品質の高い施工と低価格での影響を実現しています。

編集後記

さて、今月は3社取り上げさせていただきました。
いつもであれば建設寄りの編集後記になることが多い気がしてるのですが、今回は自分の引っ越しもあるということで不動産寄りにします(笑)

第25回 賃貸住宅市場景況感調査 『日管協短観』

こちらは、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会というところが出しているレポートの属性別平均居住期間のグラフになります。
パッと見ていただければわかる通りで、独身や単身だと2-4年がボリュームゾーンでファミリーになると学校のこともあるはずなので、4-6年がボリュームゾーンといった感じになっています。

僕の場合で行くと、記憶が正しければ新卒の秋ぐらい?に一人暮らしを開始し、そこから2年ちょい経って今の物件に引っ越し。さらに、1.5年程度でまた引っ越し。上記の統計データより比較的早い頻度で引っ越しをしています。
引っ越しをするときに大きなコストだなと思うのが「初期費用」と「内見および営業の方とのコミュニケーション」だなぁと思っております。
ただ、比較的高頻度で引っ越している僕でさえ、1.5-2年程度の頻度であるので、まぁ我慢すればよいかと。しかも、当然有限の期間の中での意思決定なので、非常に借り手の交渉力が低い状態だなぁと思っています。

この辺の課題って今出てきた課題ではなくてずいぶん前からあるはなしだと思う一方で、いまだに解決できない話でもあると思っています。

かつてみんな大好きインターネットがなかった時代、借り手は多くの情報を手に入れることが難しく、貸し手は多くの借り手候補に接触することが難しかったはずなので、仲介業者さんに頑張ってもらうってのは、その通りだなと思います。

その後、ネットが出てきて不動産ポータルのようなものも出てくると、仲介業者さんの情報保有量や顧客との接触量の優位性はネットにとってかわられた一方、やっぱり契約などの事務処理や内見対応などの人がやらなければならない業務があり引き続き、仲介業者さん自体は必要な状態。

ただ、昔に比べると提供価値が一定下がったことで、仲介業者さんを比較して初期費用のやすいところを選べるようにもなったので、少し間に入って得られるものが減った部分もあるのかなと思っています。(一方ネットの力でリーチできる面も増えたはずなので相対的にはプラスだろうと思います。)

そこからは大きな変化はあまりないかなと思うもののIT重説がスタート明日り、鍵の受け渡しを郵送で行う事業者さんが出てきたり。

かなりオンラインでできる範囲も広がっている中で、もしかすると「オーナーと借り手」の直取引はもしかすると接触件数が多すぎて引き続き厳しいかなと思うものの、例えばプラットフォーマーが接触を一部肩代わりしながら、オンラインで完結させることでさらに安くできたり、交渉事ももう少しスムーズに行えるようになったり、アプローチの仕方次第では礼金という仕組みをなくしたりできるのではないか、ド素人考えで思ったりしました。

もちろん手間が減ったりするというメリットがあるのは理解したうえで、様々な利害関係者が入ることによって、借り手にとっては初期費用が高くなり、オーナーにとっては、自分の手元に入ってこない謎の初期費用を取られることで成約が遅れたりと本来仲介する方にお金を払う両顧客にとってイマイチな状態があるなと思います。

早く市場に入りすぎることが、SUにとって命とりなのは間違いないので、今参入すべきかという議論はありますが、先行したプレイヤーがうまくいっていないから、今後も厳しいと考えずに疑い続けることは大事なんだろうなと思いました。

そういう意味では今回取り上げた②はケース的にすごく面白いと思いました。

管理から入ることで、オーナーと借主両方に初めから接触できているうえに、効率化を進めていることで既存の管理会社以上に特に価格や手間の面で高い価値を提供しています。

両方に接触できていることで、次の客付けの際にも、オーナーに任せてもらいやすいというメリットもあるのではないかと思いますし、鍵をスマートロックにしているので、鍵交換もなければ、鍵の受け渡しもないので、内見も自分で行ってもらえる状態になります。
つまりコストが大きく下がるということになります。(アメリカと日本で差があるはずなので、他にもメリットがあるかもしれん)

日本とアメリカと構造は当然違うでしょうけど、日本でもさんこうにできる部分はかなりあるのではないか?と思いました。

既存のプレイヤーに睨まれずにやらなければならないんだと思いますが、この仕組みであればオーナーにとっても、これまでと引き続き個別のやり取りは生まれないですし、価格も安く抑えられ、借主候補にも初期費用を抑えられることで客付けまでのスピードが上がるかもしれない。
借主候補からすると、内見の際にいちいち面倒なやり取り不要で、初期費用も安く物件に入れる。
お金の出し手になる双方にとっていい仕組みのように感じました。

ちょっと、いつもより長めになってしまいました。(余計な引っ越しの話を書きすぎた….)
本日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
よろしければ、いいねやフォローなどしていただけると嬉しいです!

今回は、ここまでとします!

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