《再読》森元斎「死なないための暴力論」(インターナショナル新書20240212)

大澤真幸「我々の死者と未来の他社 戦後日本人が失ったもの」を読んだもんで、本書を再度確認しました。

本書、つまり、「死なないための暴力論」は、エリカ・チェノウェスとマリア・ステファンの「人口の3・5%が非暴力的抵抗を行うだけで世の中は変わる」という研究を、大雑把で省略しすぎて、間違いとしている。

これらの研究への反論のためだけに本書を書いたくらいの熱量です。

アンドレアス・マルムも省略と隠蔽を行っていると書く。

歴史や思想は固有でしかないのと同じように抵抗運動も革命も固有のもの。

ふんわり柔らかな平和デモで世界は変わらないとする。

本書が書かれるきっかけのひとつに、安倍晋三銃撃事件をあげる。

事件を喜ぶ人が多かったと記される。この暴力事件で少なくとも宗教団体への風は変わった。

大澤さんの「我々の死者……」はチェノウェスとステファンの研究をそのままイントロに使っているので、ひっかかったという訳です。大澤さんはそこから、日本人がいかに気候変動に興味がないのかという論へと誘う。



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