見出し画像

車を運転しててもしてなくても、必ず知って欲しい「タイヤとマイクロプラスチックの関係」。

平均的な自動車タイヤはその寿命中に4kgのマイクロプラスチックを排出すると言われて毎年20万トン以上のマイクロプラスチックが道路から海に流れていると言われています。

先日、マイクロプラスチックの発生原因についてお話させていただきましたが、本日はその中の最も多い発生源の一つと考えられているタイヤについて是非知っておいて欲しいことをお話させていただきたいと思います。

タイヤからマイクロプラスチックが出る仕組み

ブレーキペダルを踏むとブレーキが作動し、ブレーキがディスクに押し付けられて車輪が停止します。車輪が停止すると道路とタイヤとの間で摩擦が発生して車体が止まります。この時、ブレーキとディスクとの間の摩擦でブレーキが摩耗し、タイヤと道路の間の摩擦でタイヤが摩耗します。そして、この摩耗したブレーキやタイヤがマイクロプラスチックになります。

加速する時は逆の現象が起きます、靴が道路を蹴っているイメージが分かりやすいかと思います。アクセルペダルを踏むと、車輪が回転します。車輪が回転すると道路とタイヤとの間で摩擦が発生して車体が進みます。この時、タイヤと道路の間の摩擦でタイヤが摩耗します。

簡単に言うと車は走る限りタイヤからマイクロプラスチックを出します。

タイヤはマイクロプラスチック発生源の主因

まだ研究中の部分が多いのですが、タイヤはマイクロプラスチックの発生の主因と考えられています。数量についても所説ありますが、毎年20万トン以上のマイクロプラスチックが道路から海に流れていると言われています1)。

1)https://www.theguardian.com/environment/2020/jul/14/car-tyres-are-major-source-of-ocean-microplastics-study

タイヤから発生するマイクロプラスチックが多い理由としては、タイヤから摩耗していくプラスチックの量が多いこと、そもそも屋外で使うものなので海に流出しやすいことが挙げられます。

タイヤから出るプラスチックの量

平均的な自動車タイヤはその寿命中に4kgのマイクロプラスチックを排出する1)と言われています。自動車は地球上に14億台以上あると言われており、自動車全体で排出されるマイクロプラスチックの量は飛行機の50倍、人工芝の2~8倍、ブレーキの摩耗の12倍、道路標識の20倍と推定されています2)。

2)https://en.wikipedia.org/wiki/Microplastics

今後、自動車が電化していく流れが予想されますが、自動車の電化はタイヤのマイクロプラスチックの問題をより悪い方向にいきます。電気自動車はガソリン自動車よりも車体が重く、タイヤの摩耗が激しくなると予想されるからです。

空飛ぶタイヤ

タイヤは屋外で使用するものですので摩耗したタイヤのマイクロプラスチックは道路で発生します。道路で発生するマイクロプラスチックは①風で海に飛ばされる、②下水処理システム以外の経路で海に流れる、③下水処理システムで海に流れるのいずれかをたどります。③で流れた場合はマイクロプラスチックの殆どが捕集されると推定されますが、①と②で流れた場合は何の捕集もなしにそのまま海に到達します。この辺が化粧品のマイクロビーズ、衣類等の下水経由で海に流れつくマイクロプラスチックと異なるタイヤ独自の問題です。

画像1

また、最近の研究ではタイヤのマイクロプラスチックがかなり遠方まで飛んで、別の問題を引き起こしている可能性が示唆されています。
タイヤのマイクロプラスチックのうち大きなプラスチック粒子は発生源の近くに留まっていると言われています。しかし、2.5マイクロメートル以下の小さなマイクロプラスチックは、遠隔地に運ばれていることが分かってきました。
近年、北極圏で小さなプラスチック片が雪に交じって降っていることが、最新の研究で明らかになりました。1リットルの雪から1万個以上のプラスチック片が発見されているそうです3)。

3) https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-49353653

また、遠隔地の雪や氷で覆われた表面に堆積するタイヤとブレーキの摩耗粉の量は年間3万トンと推定され4)、こうした暗色の粒子が、太陽からの入射光の地球の吸収を早めて、雪や氷の融解を早める可能性があります。

4) https://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/13381

生分解性化の難しさ

タイヤは天然ゴムと合成ゴムでできておりその比率は6:4程度と言われています。天然ゴムはその名の通りゴムの木の樹液からできており生分解性があることが知られております。合成ゴムは石油からできており生分解性はありません。
だったら天然ゴムでタイヤをつくれば?と思うかも知れませんが、話はそんなに単純なものではありません。タイヤは機械強度、耐久性、摩耗性、耐熱性等の要求される特性が多岐にわたり、高性能であることが求められますので、天然ゴムと合成ゴムと他の添加剤の絶妙なバランスでできています。車側も現在のタイヤの性能を元に設計されています。急にタイヤだけ生分解性の素材にしろと言われても、安全性や耐久性が担保できなくなってしまいます。ですので生分解性のものに変えるのは今すぐには困難です。

私たちができる対策

ですので私たちができる一番の対策は「なるべく車を使わない」になります。電車やバスの公共交通機関を利用する、自転車や徒歩で行くになります。無駄な荷物を積まないや軽い車を選ぶ等も広義の意味ではなるべく車を使わないになります。

車を動かすなら、急発進、急ブレーキをしない等のエコドライブテクニックでもタイヤの摩耗を減らすことができます。また、タイヤ(ゴム)は寿命がある製品で走らなくても劣化します。劣化したタイヤは危険な上に摩耗もしやすいので、あまり使わない車でも数年に1度はタイヤを交換した方が安全で環境に優しいです。

この情報(記事)を拡散してください。少しでも意識する人が増えればマイクロプラスチックは確実に減ると思います。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

このブログはにほんブログ村に参加しています。
リンクをクリックしていただけると応援になります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?