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9月13日の読書、総裁選前夜

今朝の産経新聞の記事に目にとまった。今年は国勢調査がスタートからちょうど100年の節目となるということで、最初の調査(1920[大正]9年)と前回の調査(2015[平成27]年)を比較する記事だ。人口は5,596万人→1億2,709万人。1世帯あたりの人員は、4.89人→2.36人。なるほど、いろいろ劇的に変化してる。平均寿命は男女共に2倍ほどになってるけど、これはなんか生き物として100年前とけっこう変わっちゃってる感じがして、すこし気味が悪い感じもある。

■ 『自民党:価値とリスクのマトリクス』
著 者 中島岳志
発行所 スタンド・ブックス
発 行 2019年
状 態 一回通しで読んだ

 ここのところなにかと話題の自民党総裁選。明日9月14日が投開票である。立候補しているのは、菅義偉、岸田文雄、石破茂。なんだか退屈に感じてしまうのは、早いうちに誰になるかは決まってるっぽいからだろうか。
 本書は、将来の自民党総裁候補として名前のあがる政治家をとりあげ、これまでの発言からその考え方を読み解くというものだ。著者は、日本の政治思想を専門とする研究者だが、難しい議論ではなく、政治家をそれぞれ「リスクの社会化/リスクの個人化」と「パターナル/リベラル」のふたつの軸によるマトリクスで整理しており、つかみやすい。
 気になるのは、今回の御三方だろう。菅さんは「リスクの個人化・パターナル→日本型ネオコン」、石破さんは「リスクの個人化・リベラル→新自由主義」とと位置付けられている。岸田さんは発言があいまいで考え方がはっきりわからず、マトリクスではゼロのところにおかれてしまっているが、今回の総裁選での発言をみると、「リスクの社会化・パターナル→保守本流」という感じだろうか。長期政権だったために、自民党内でそこまで考え方に違いはないと思っていたが、このように整理されると、わりに色があることがわかる。
 それでも、候補の3人は同じ「おじさん」じゃん、という印象がある。それも退屈さの原因だ(立憲民主党の代表選もそうだった)。本書では、野田聖子さん、小渕優子さんの女性議員もあげられている。ともに「リスクの社会化・リベラル」に位置付けられていて、彼女たちのバックグラウンドから、おじさん議員とは別にやりたいことがあることがわかる。この人たちが総裁選に立候補できるようになると、また政治の景色もずいぶん変わってくるんだろうけども。

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