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舞台「マクガワン・トリロジー」にてまたも松坂桃李の狂気に触れる

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マクガワン・トリロジー!
小川絵梨子演出、松坂桃李主演作品。兵庫公演を堪能させていただきました。
1980年代中盤のベルファストから始まる物語。過激派と化したIRAの内ゲバ殺人鬼のヤバさと彼の信条、そこに至るまでの経過を辿ることで、不安定な時代の中での、ある種の過激な思想や宗教、主義や信条、果ては戦争、殺戮に絡め取られていく若者のことがいくつも脳内を過ぎる。
U2の「Sunday Bloody Sunday」でも描かれていることであまりに有名な72年血の日曜日事件以降の北アイルランドのことを考えつつ、劇中で大音量で使われるクラッシュやT.Rexが救い。音楽はあらゆる対立を超えてかないとなんだよなあなんてしばし感慨にふける……暇などなく1幕は壮絶なことになっている。

幕間に場内でかかっていた知らない曲がかっこよくてシャザムしてみたら、北アイルランドのThe undertonesや、全然知らなかったけれどスペインのLos Bravosというグループなどにも当たった。
じつはこの物語の第1部と完全に同じ時代のダブリンを描いているのがジョンカーニーの傑作「シング・ストリート」だが、いやはや、音楽を軸にしているとはいえマインドが異なることでこのように人は目指すものが分岐していくのだなというようなことがしみじみと感じられるし、地続きの同じ地にありながら蹂躙され分けられていく歴史のことももちろん感じられるし、なんとも感想がまだ言葉になりきらない。

ジェイムズ・ジョイス読んでギネス飲んだだけではわからない現代まで続いた戦争のリアル。桃李くん演ずる殺人鬼と化したIRAのヴィクター、狂っていてすごくよかったです。

それにしても、前から3列目というとんでもない臨場感で体験してしまい、正直1幕とか完全にIRAの内ゲバに巻き込まれた人状態だった……(恐怖!

2幕で気鋭の女優、趣里ちゃんが登場するが、彼女の華奢な見た目からは想像できないほどのハスキーボイスと全身から漲るパワーはちょっとこれからすごいことになりそうだ……とも思った(YUKIちゃんとかみたいな)。

本作、劇中での使用曲はもちろん、客入れ時や幕間のSEも含めてプレイリスト、Spotify or Applemusic 等 サブスクで公開していただきたいです。(もちろん楽日後でも全然構わないので…!ご検討よろしくお願いします、と伝えたい。)

そして兵庫県立芸術文化センター、さすがの素晴らしいホールでした。佐渡裕さんと山崎正和さんが関わっていらしたとは。なるほど。。

東京公演はこれから。UKパンク好きの方も、是非です。

<追記>時代背景がとてもよくわかる記事をHEAPSにて発見しました。

特に1幕は、ここで書かれている「ザ・ワーゾーン・センター」の視点から見ているお話、とも言えるかもしれない。浜中文一くんが演じるバーの男の出で立ちの意味などもわかりやすくなります。

「宗教・政治戦争、勝手にしやがれ!」紛争地帯で中指立てたパンクス、90’s DIYパンクシーン

なんか、全体的に、マイケルウィンターボトムの「ウェルカム・トゥ・サラエヴォ」を彷彿とさせられたりもしました。

<追記2>
Seamus Scanlon氏による戯曲「マクガワン・トリロジー」の中には、この劇中や、幕間で流れる楽曲も全て指定があるそうで。一幕と幕あいの楽曲達がとても自分好みだったのでそこを中心にまとめてAppleMusicでプレイリストを作りました。ロックやパンク好きにはたまらないと思います。よかったらこちら是非。
https://itunes.apple.com/jp/playlist/the-mcgowan-trilogy-%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%82%AC%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC/pl.u-oZylDglI0v8ZG4


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