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言葉



言わなくても、伝わる。


口にすれば、薄まる。


これらが全てではないと確信できたのは、

やはり彼のお陰である。


完全なる片想いから始まった恋だから、

運良くお付き合いを開始してもらえたときに、

"絶対にこのチャンスをものにする"

と心の中で鼻息荒く宣言した。


まず前提として、お付き合いこそ始まったが、

彼の気持ちは私に傾いている程度で、

両想いではなかった。


すなわち私は"お付き合いをしている二人"という名の

"愛を囁いても許される権利"を手に入れたのだ。


(それ以前の私は想いを伝えることを徹底して排除していた。特別感が無くなると思っていた。)


片想いスタートのお付き合いだったからこそ、

好きになってもらうために何かしなければならない。


その当時、大学入学前の小童に財力はないし、

グラマラスなボディも無いし(それは今も)、

惚れ込ませられる程の容姿でもなかった。


ならば、言葉しかない。


そう思ったのだ。


彼のことが好き。


それは揺るがない事実であるし、

彼が私の気持ちを受け止めたことも事実である。


ならば、少なからず彼には私の気持ちを聞くくらいの義務が発生する。


そう思ってからは早かった。


会うたびに好きだと伝えた。


好きだと言われ続ければ、その気がなくても、

なんとなく気になるし、好きかもと錯覚してしまうのが人間だ。


勘違いでもいいから、好きになってもらいたかった。


そのしつこさが功を奏したのは、

付き合ってから1ヶ月後の記念日だった。


春から、大学生と社会人になる二人は、

遠距離恋愛が確定していた。


デートの最後に、指輪をはめながら、

好きだと言ってくれた。


離れても大丈夫なように指輪をプレゼントしてくれたのだ。


好きな気持ちに度合いがあるとすれば、

間違いなく私の方が強く想っていただろうけど、

好きと伝え続けること、言葉にすることで、

叶うものもあるんだと実感した。


だから私は、今日も彼に愛してるよと伝える。


そして、今では彼も、愛してると伝えてくれる。


言葉は口にしないと、文字にしないと伝わらない。


頭の中で考えてるだけじゃ伝わらない。


想いを言葉にすることは、

その想いを更に深くすることなんだと思う。


口にしたときにしっくりくるかどうかも大切である。


4年が過ぎた辺りから、

好き だけでは足りなくなった。

6年過ぎた辺りからから、

大好き だけでは足りなくなった。

8年過ぎた今は、愛してる。


足りなく感じたらそれ以上の言葉を探せばいい。

言葉だけじゃ足りないなら、

ハグしてチュウして伝えればいい。


愛情なんて伝えきれるものじゃないから、

色んな方法で、色んな言葉で、日々伝えていくしかない。


言葉にする力を教えてくれた彼。


この先の人生でどれだけの言葉で愛を伝えられるか楽しみである。







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