咲霧-sakimu-

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絡繰仕掛けの愛

「相変わらず入り組んだ場所にあるなぁ……」 少年は呟くと天井から縦横無尽に垂らされたリボンを手に取る。彼は今、自分の事務所(Lov*Ram Factory)を離れ、自身の主である少女の命令でとある場所に来ていた。 「ふふふ、それでも当店を贔屓して下さる咲さんには感謝しているのですよ」 「はぁ……なんとかならないんですか。此処にくる"条件"」 「あら……楽しくありません?」 何処がだ。 目の前の球体関節人形も少年の主も、よく分からない物事を好む傾向にあるが、何も此処まで"

    • Lov*Ram Factory

      「かわいい、そして人々に好かれる。そんな願いを込めて、この事務所を立ち上げたの」 その矮躯(わいく)をいっぱいに伸ばし、長い黒髪を頭の両方(所謂ツインテール)に結わえた少女は言うと、にこりと微笑んだ。 此処は天河区とも、凪沢町ともつかない、辺境の地に建つ小さなお家。……否、外観こそ「戸建て住宅」のようだが、その中身は外観からは想像もつかないくらいに広く、大きい。 『Lov*Ram Factory』 そう名付けられたこの建物は、総勢5名のスタッフで成り立っており、中でもこ

    絡繰仕掛けの愛