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書くことに困ったシリーズ「み」

書きたい気持ちはあるけれど、何をテーマにすればよいか悩んだときのシリーズ。五十音順に進めております。

「みかみ」

2歳頃の侑さんはみかんのことをずっと「みかみ」と言っていた。
みかんだよ、と教えても毎回「みかみー(*´ω`)」と言っていた。
だからまあ、みかみでいっか、と思った。
メガネのことも「メガミ」と言っていた。
なんでもいいや♪

先日のこと。
職場でお弁当を食べようと包みを開けたら、包んでいたナフキンに侑さんの名前が書いてあるのを見た。

私は子供の頃、学校で使う物には親か年の離れた兄に名前を書いてもらうように言われていた。子供の自分がマジックで書くときれいに書けなかったり失敗してダメにしてしまうから、というのが理由だった。そして何の疑いも持たずにそれを受け入れていた。
だが、私は侑さんに名前は私が書くからね、とは言っていなかった。自分で書いたらダメだよ、とも言っていなかった。そもそも私自身が書こうとしなかったので、侑さんが自分で書くとは考えもしていなかったのだ。

給食用に持っていったそのナフキンは新品で、私が名前を書き忘れていたのだろう。
小学校低学年の侑さんの筆跡は、ひらがなの大きさもバラバラで、布の上では滑りが悪かったのだろうと想像に難くないマジックの運びがあり、何とも言えない個性的なものだった。

だけど私はその筆跡が愛おしくてたまらくなったのだ。やっと休憩で食事が摂れるという時に、お弁当もそっちのけでナフキンに書かれた名前に感動してしまったのだ。

こんな素敵な瞬間を味わえるのに、きれいに書けないからダメなんて止める必要は絶対になかったのだ。
宝物だよ。一瞬一瞬が宝物、ってこういうことなんだろうな。「みかみ」だって愛しい思い出だ。


#みかん

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