📖 文献情報 と 抄録和訳
腰痛に対する運動制御エクササイズの効果とメカニズム:叙述的レビュー
[レビュー概要] 腰痛(Low back pain, LBP)は、あらゆる年齢層に起こりうる一般的な症状である。腰痛は、世界的に障害の原因として第1位であり、1年間に6,000万人以上の障害調整生存年数に関係している。LBPの治療において、運動制御運動(Motor control exercise, MCE)が注目されている。しかし、それぞれのメタアナリシスから得られた知見は異なっており、論争の的となる結論に達したものさえある。さらに重要なことは、MCEがLBP関連症状をどのように改善させるかについては、依然として不明な点が多いということである。
●本研究の第一の目的:脳、生化学、炎症、および神経筋の側面から、LBPに対するMCEの可能性のある改善メカニズムを説明することである。
● 第二の目的:その有効性と臨床応用をさらに結論づけることである。
メカニズムおよび有効性のさらなる理解は、今後のLBP治療にとって有益であり、理学療法士が処方を行う際により多くの情報を提供することができる。MCEは、急性および慢性のLBP患者の疼痛と障害の緩和に有効である。特筆すべきは、急性LBPに関するエビデンスは比較的質が低く、限定的であることである。MCEは、特定のLBPの特徴を有する患者、特に腹横筋の動員障害が事前に診断され、痛みの強さが中程度で、MCEのトレーニング期間が長い患者に対して、より効果的である可能性がある。
以下、4領域の効果についてミニレビューである。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
1つの行動には、多くの影響がある。
だが、そのすべてを見渡すことは、僕たちには難しいことが多い。
たとえば筋力トレーニングは、ただ筋力を向上させるのみにあらず、可動域まで増大する。
そして、今回の論文が示してくれたのは、1つの体幹トレーニングが、少なくも4領域にわたって影響を及ぼしている可能性がある、ということだ。
だが。
これを知ることで、僕たちや患者にとって何が有益なのだろう。
1つには、「期待をつくり出せる」があると思う。
エクササイズ前の口頭説明において、どの効果に焦点を当てるか。
脳か、生化学か、炎症か、神経筋か。
それを規定するのは、その患者自身が一番求めている効果。
それにフィットするように口頭説明やフィードバックを与えれば、疼痛軽減効果が期待できるかもしれない。
この手札は、多くの効果の可能性を知っていなければもてない。
この意味で、知は力なり、である。
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