神様の成り損ね【試し読み版】
ヤグラ-rinkaku00

神様の成り損ね【試し読み版】


神様の成り損ね


〈あらすじ〉

 超高層巨大建築物バベルの最上階で、シユウは目をさました。壁には『下におりるな』という文字。記憶を失い何かわからないでいると、突然女子生徒の悲鳴が上がった。

 あったのは異形の者の死体。外は白い霧。いたのは異様なモノ。

 絶望からの脱出が始まる。


 暗闇のなか、シホは銃をぶっ放し続けた。

 セーラー服を着た仲間たちが、アサルトライフルを乱射する。光がパチパチはじけていた。火薬の臭いが鼻をつく。

 右手はグリップ、左手はハンドガードを持ち、フルオート射撃を繰り返す。撃つたびに弾とともに、光が発せられていた。スカートから、はしたなく太ももが出ている。気にしているよゆうはない。

 敵がどこにいるのかわからない。照明をつけたら、位置がバレて襲われてしまう。人であれば同条件で戦えるのだけど、相手は夜目が鋭くようしゃない。

 ――くそぉ! くそぉ! くそぉ! くそぉぉぉ!

 心の中で叫ぶ。

 周りで仲間の悲鳴が聞こえ、銃声が減っていく。恐怖がふくらんでくる。黒い壁におおわれているためか、広いと思っていた部屋が狭く感じる。

 獣の雄たけびが鼓膜をつぶす。

 ――なんなんだよ! あの化け物たちは! 今まで戦ってきたやつらと、ぜんぜんレベルが違うじゃないよっ!

 銃の弾が敵に当たっているかどうかなんてわからない。恐怖心が先立って引き金を押さえているだけだ。腰だめ撃ちなので精密さはなく、弾は乱れている。銃弾を数えることさえ忘れ、ただ撃つ。

 ――うわっ?

 背中に何かが当たった。あわてて銃を向ける。動かない。

 やってはいけないとわかっているけど、銃につけたライトを点灯してしまう。制服姿の少女が照らされた。ロングの黒髪や、ネクタイのついたセーラー服には見覚えがある。

 ――ミユキ……!

 声をかけようとして、言葉がつまった。

 ミユキの胸に、赤い液体が染みついている。腕や足が鮮血に染まっていた。

 制服の穴から血が噴き出した。糸の切れたマリオネットのように、ミユキは固い床に倒れる。目を見開いて、死体を見下ろした。仲間を殺したのは怪物ではなかった。穴から推測するに銃弾。

 私が殺したかもしれないという絶望感から、銃を下ろしかけたとき、何かが光った。

 ――ひっ?

 鋭い牙をむき出しニイィと笑った。歯の隙間から、色の違う仲間たちの髪の毛が唾液と一緒にたれている。愚行に気づき、あわててライトを消すと弾を撃った。手応えはない。

 ――くそぉ! くそぉ! くそぉっ!

 引き金をなんども押すけど、弾が出なくなった。

 装填できる予備の弾薬はない。意味することは簡単だ。

 終了。終わり。死。

 肩に、ぬめりとした液体が落ちてきた。


「☆%#! &+*っ!」


 喉をはげしく鳴らして悲鳴を上げる。

 どこかで、ヒツジの鳴き声がした。


試し読みはここまでです。


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工学と医療の資格を持つライター。個人サークル小説制作所を運営。サスペンス系小説を電子書籍にて出版。趣味で小説書いとります。【小説制作所(個人サークル)】:(https://inaba20151011.hatenablog.com/