この道20年のデザイナーが愛してやまないボールペンたち
ペンが好きだ。デザイナーという仕事柄、今でもペンはいつも持ち歩いている。もちろんPCやスマホやタブレットも使うが、やはりペンが手に馴染む。
世代的にはギリギリ手書き製図とデジタルが共存していた学生時代だった。卒業して就職する頃には世間はすっかりCADやDTPのデジタル主流だったけれど、やはりアイデアスケッチはペンで描くのが完全に癖になっている。
デジタル化した現代では多くの人が手書きで文字を書くなんて宅配便の受取サインくらいだろうが、今でも毎日ペンでスケッチを描くのがルーティーンのひとつだ。そんなわけだからペンにはそこそこのこだわりがある。
前置きが長くなったけれど、今日はそんな愛用の道具たちを紹介する。
①POSTALCOのボールペン
何本かあるスタメンの中でも主力、とっておきのエースがこの1本だ。
見た目、重さ、握り心地、書き味、すべて非常に高いレベルでまとまっている。その見た目の美しさはもはや美術工芸品と言えるレベル。軸径はΦ10mm、重量は28.0g。
愛用しているのはオール金属ボディのタイプ。ノック式だがペン先を出す時のメカニカルなカチッとした音も良い。打ち合わせで使っているとクライアントからどこのペンか聞かれたりもする。
POSTALCOのステーショナリーはどれも大好きなのだけれど、このペンはずっと憧れの1本。なにせボールペン1本で4万円近いお値段なので買うのにはだいぶ勇気が必要だった。
結果的には大満足。ちょっと太めでマッシブなボディが放つ存在感、このペンの横に並ぶプラスチック製ボールペンをひるませる高級車の雰囲気がある。
正直お値段は今でも高いと思っているけれど、一生物のペンってあんまりない。自分がいつか使わなくなった時にこども達に渡せる数少ない文房具だと思っている。
②MUCUの無垢ボールペン
国産のガレージ系クラフトステーショナリーブランドであるMUCUのボールペン。実は娘の幼稚園のパパ友で、都立工芸高校の先輩が作っている。
このボールペンはブランドの理念を体現する1本で、なんと金属の塊から削り出している。
紹介している中でも重量感はトップクラスで、ストイックでスマートな見た目に反してズッシリとした重みがある。軸径はΦ8mm、重量は44.8g。ペンの中では重量級だろう。
2種類あって愛用しているのはSTEEL＝鉄。コーティングなしの鉄の棒なので、少しサビが浮いてくるがそれが良い。使い込んでこそ魅力が引き出される道具である。
欠点はキャップ式なのでキャップを紛失するリスクがある点。あとシンプルな棒状なので、どこまでも転がっていく。テーブルの上で無造作に置くと転がり落ちてボディに傷がつく。その傷もまた良いのだが、紛失には要注意。
同じシリーズのBRASS=真鍮verもかなり良い。真鍮色メッキじゃなく、真鍮の塊だ。本物の真鍮は使いこむとにぶい色に育つ、パッケージもセンス良いので道具を愛でるのが好きな人への贈り物としても喜ばれるだろう。
③プロッターのボールペン【廃盤】
手帳やバインダーで有名なプロッターがかつて販売していたこだわりのボールペン。手帳に重きを置いたブランドらしく、手帳に挟んで使うのに最適に作られている。
金属製のボディの表面はローレット加工でザラッとした手触り。ボディを回転させてペン先を出す回転式なので、カバンの中でまちがってペン先が出て革製の手帳カバーにインク染みがつくようなトラブルにもなりづらい。軸径はΦ9mm、重量は30.3g。
自分が持っているのは黒。ただ金属へのメッキなので使い込むと黒い部分は少しハゲて素地の真鍮色が出てくると思われる。きれいに使い続けるならちょっとナイーブなコだと認識しておこう。
現在は残念ながら廃盤…フリマサイトなどを巡回すれば運がよければ美品に出会える。
番外編：BICの油性ボールペン
紹介したどの相棒も個性あふれる優秀なヤツだから、気に入ったならぜひ実物を手にとってみて欲しい。
個人的にはサクッと使うならBICのオレンジボディの油性ボールペンも好きだ。0.7mmでちょっと太めでヌルッとした書き心地。プラスチック製の軽いボディで軽自動車のような小回りの良さがある。
今出ているやつはボディに黒いラインが入っているが、昔ながらのオレンジボディが並行輸入品で手に入るのでそっちがオススメ。
また、他にもこんな良いペンがあるよという情報も募集している。ぜひあなたのオススメの1本を教えて欲しい。
そういえば…毎年11月に東京インターナショナルペンショーという展示会がある。今年は余裕あったらちょっと行ってみたい。
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