10年前成人ボーイズ 2018.1.8
今日は成人式。僕にとっては10年前。ちょうどその時のことを、2年前の今日書いていて。せっかくだから。時間軸がバラバラ過ぎて、なにもせっかくではないけども。すごいせっかくだから。
ちなみに、僕は今日年末年始公演終わって15時間寝て、明日のR-1一回戦に震えてる。10年前好きだったあの娘は友達と結婚して可愛いベイビーもいる。姪っ子たちにお年玉もあげれない僕は夜な夜なネタを書く。立派なかっちょいい大人になるにはまだまだだ。
2016年、今年もニュースじゃ成人式で暴れる若者たちが取り上げられていた。とはいえ、ひと昔前の一時期の暴れっぷりにくらべたらだいぶ落ち着いてきたんかじゃないかと思う。
今年の成人の日、28歳の僕はというとキラリ白虎隊という神保町花月の年末年始公演の真っ最中だった。武士の役だったので、着物と羽織りを着て、なんだか軽く成人式をやってる気がして良かった。役中の台詞で、「文字が書けるようになったら日々の出来事を書き留めておきたい。毎日の喜びを、何年後かも読み返して思い出したいんだ。」という台詞があった。日記て素晴らしいよな、ということだ。
思い出した。何をかくそう、8年前。僕も20歳の時に日記を書いていた。しかもmixiで。懐かしすぎる。時代しか感じない。それこそ成人式終わりの出来事を。8年振りに思い出して、読み返したら、顔からメラゾーマ出るくらい恥ずかしい稚拙な日記だったので、その時の全文を今から載せようと思います。
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「長すぎるので、暇すぎる時に読みすぎてください。」
今年、僕が住んでる町が合併した。みやま市っていう変な名前になった。もっといい名前あると思うんだけどなー。これじゃ、いなか丸出しだよ。そんで去年の年末ぐらいだったかな、そのみやま市から成人式のあいさつを頼まれた。最初は友達がやるはずだったんだけど、そいつが断ったから僕に話がきた。あいさつの言葉は向こうの人が考えてくれるって言うし、ただ読むだけならと簡単にOKした。そしたら実際は話は違って、あいさつの言葉は自分で考えてくれってことだった。おいおい、もう時間ないぞーと、思いながらもどうせやるならなんかやらかしたいなと思った。
それに拍車をかけたのが銀杏BOYZのライブ。あんなの見せつけられたら、とてもじゃないけどじっとしてられないよ。成人式はやらかすにはもってこいの場だし。それで僕は決めた。
よし、一発ギャグをしようと。
一瞬想像しただけでも吐きそうになるぐらい緊張する。だって、ステージで暴れたりするやつはいるけど、一発ギャグするやつなんて聞いたことないし。それに空気的に100%スベるに決まってる。むしろ後で市役所の人達に死ぬほど怒られるよ。新成人代表がなに気合いいれてふざけてんだって。
でも、やる。別に意味はないよ。ただやりたいだけ。それで十分だ。
前日のリハーサルじゃマジメにあいさつした。だってここで事前に言ったら止められるに決まってるから。役員の人が、「落ち着いて言えば大丈夫。頑張ってね。」なんて、優しい言葉をかけてくれる。
ごめんなさい、僕はあなたを裏切ってしまいます。
成人式当日。早めに会場入りしてリハーサル。スーツ姿のお偉方がみんな恐く感じる。リハーサルは難無く終了。
いよいよ成人式が始まった。会場いっぱいの500人もの新成人。すごいことになってきた。女の子はみんなキラキラしてて、じっくり見ていたかったけど緊張でそれどこじゃなかったよ。
僕の席はというと、一番前のど真ん中。しかも周りは全然違う校区の人達で、アウェー感がハンパじゃなかったよ。僕はたまらず全然知らない隣の女の子に話した。
「実はあいさつの途中で一発ギャグをします。した後に周りや役員の人達から白い目で見られてあなたにも迷惑かけるかもしれません。ごめんなさい。」
普通だったらいきなりこんな事言って来たら引くだろうけど、なんとこの娘は、
「そうなんですか!期待してます。頑張って下さいね!」
泣きたくなるぐらい可愛い笑顔でこう言ったんだ。これにはまいったな。名前も知らないけど、この娘だけは笑わせなきゃと思ったよ。
式は順調に進んだ。‥‥かのように思った。そんなわけないよ。トラブルなんてもう慣れっこさ。
もうすぐ僕の出番って時に、派手な袴着たヤンキー達が5、6人扇子仰いで一番前の席まで降りてきた。
おいおい、マジかよ。市長や地元を代表する衆議院議院の古賀誠のSPなんかがピリピリしだした。会場もどよどよしだした。こいつら暴れるんじゃないかー、みたいな。
そして、僕の番が来た。ステージに上がり、読み始めると、案の定ヤンキー達がやじってきた。しかも僕にしか聞こえないぐらいの声で。ひっこめーやら、マジメかーやら、はよ終われやみたいなやつ。
久々にムカついて、こいつら黙らしたろと思って、僕は言った。
「~というわけで皆様には本当に感謝しています。‥‥えー、実は僕にはお笑い芸人という夢があります。ここで、私の方から新成人の皆様に、新成人応援一発ギャグの方を送りたいと思います。スイマセン市長、少しお時間いただきます。」
市長は口開けて僕を見てたよ。だってリハーサルじゃなにも言ってなかったんだから。
振り返って、新成人に向かって言った。
「んじゃ一発ギャグしまーす。
えーと‥‥‥お箸を持つ方が右で、夢をつかむのが、ひだりぃぃーー!!!!」
ウケた。‥‥よしっ!
(でもこれ文にしたら全然面白くないな。いやこのギャグは勢いと顔芸がポイントなので。うーん、説明したら余計サブい。)
まあ、ウケたのです。
そして、振り返って普通にマジメに文の続きを読むってボケをした。
これがめっちゃウケた。
僕は背中で手応えをビシビシ感じて、すごく気持ちよかった。ふと横を見ると、古賀誠が手を叩いて笑ってた。笑いの感性若いな古賀誠。60近いのに。
そんなこんなで大成功だった。古賀誠が終わった後、わざわざやって来て握手してきた。夢を諦めずに頑張ってね、つって。そんな一番偉い古賀誠がやったもんだから、後を続けと市長やら役員が握手しにきた。なんだか変な感じだったけど、怒られずにすんでよかった。
地元の友達や初恋のあの娘や小学校の先生達はどう思っただろう。あー、しばらく見ないうちに光君ずいぶん頭おかしくなったんだなと思ったかな。そんなことない。頭がおかしいのは昔から。ただ、ほんのちょっとだけ勇気がついただけだ。20年かかったけど。
家に帰ってばあちゃんに話した。そしたら、
「よかったやんねー。これで市役所にいいコネができて。あんたは公務員になりなさい。そげんかとは宴会ですりゃよかけん。」
まだまだ頑張らなきゃなと思いました。
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なんて恥ずかしいんだ!!!!
青くせえ。馬鹿でダサくて恥ずかしい。そんで少しだけ羨ましくなった。
ばあちゃん、俺、白虎隊やってるわ。
読んでいただきありがとうございます。読んで少しでもサポートしていただける気持ちになったら幸いです。サポートは全部、お笑いに注ぎ込みます。いつもありがとうございます。言葉、全部、力になります。心臓が燃えています。今夜も走れそうです。