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暮らしの性能

みなさんは暮らしの性能について考えたことはありますでしょうか?

今まで住んでいた家でしか想像できないので、考える機会自体少ないかと思いますが、実は昔の家と今の家とでは根本的な性能が変わってきています。もっと言えばそもそもの暮らし方が異なるレベルの差があります。

それは断熱性能の差によるものが大きいのですが、このあたりの話の認知度が想像以上に低いことに危機感を覚えているので解説していきます。

断熱性能の高い住宅は、光熱費が安くなって環境にも良いことから、一般的には「省エネ住宅」と呼ばれることが多いです。

他にも用語はたくさんあるのですが、用語の解説をしても分かりづらいと思うので、まずは暮らしの変化をイメージするために下図を見てください。

「YKKAP APW樹脂窓シリーズ」より抜粋引用

簡単にいうと大きいメリットが3つあります。

①快適性の向上
暑い寒いの我慢が少なくなり、結露やカビを抑制できる。着衣量を減らせるので季節物の収納を減らせる。家事のストレスも軽減できる。

②健康の促進
ヒートショックの抑制。アレルギーの抑制。冷えによる免疫低下を抑制。運動量の増加による健康寿命の延長。

③経済的なコスト
建築費は高くなるが、冷暖房費や医療費の削減が見込めるので、適切なグレード選択をすれば将来的に初期投資を回収していけます。ちなみにここ9年で電気代は値上がりし続けています。

続いて住まい方で注意事項がありますので下図を見てください。

「ひろしま住まいのしおり」より抜粋引用

簡単にいうと守ってほしい事項が2つあります。

①石油ストーブやファンヒーターを使わない
昔の家と違って家に隙間がないので、使うと灯油の3倍水が出て結露して空気も悪くなります。最悪家は腐るし人も死にます。どうしても使いたい場合はエアコンの最初の立ち上がりの補助程度で使うとよいです。
(尚エアコンを使う場合は、乾燥するので湿度55%を目安に加湿器も使うことを推奨します)

②24時間換気を止めない
昔の家と違って家に隙間がないので、換気扇を止めると空気が悪くなり結露が増えます。一時期シックハウス症候群が流行っていたために、今は24時間換気することが義務付けられています。だいたいの家はリビングや寝室の給気口から新鮮な空気を入れて、トイレの換気扇で汚れた空気を出します。
(余談ですが、間仕切りドアの下端に隙間があるのは空気を通すためです)

とりあえずここまでで、暮らしの性能がどの程度変わるのかはイメージできたかと思います。

では最後に普及状況についてして解説します。

【省エネ化のおおまかな流れ】
地球温暖化対策のパリ協定でCO2削減を約束→原発メイン稼働→東日本大地震→原発から太陽光発電へ→産業の省エネ化→建築物の省エネ化→住宅の省エネ化の方針で、現在は4省(国交省、経産省、環境省、厚生省)が推進しています。
住宅は2020年度に省エネ義務化予定だったが、現場が追いついてないとの判断で急遽義務化延期→大手企業は規制強化で実質的に省エネ義務化→2021年度に省エネ適合有無の説明義務化

つまり2020年度現在はまだ省エネ住宅は義務化されていないが、必須レベルの性能なのは確かだということです。なので知っているかどうかの差は、下手すると一生に関わる話なのです。

省エネリフォームすればいいのでは?と思うかもしれないが、この省エネ住宅で一番厄介なのは、リフォームには向いていないことです。
どう向いていないかというと、そもそもの家の作りが違うので、本来の性能を発揮するにはコストが新築時の3倍以上はかかります。
それからリフォームしたとしてもある程度改善はできるものの、やはり本来の性能を発揮するのは今のやり方では一部を除いて難しいです。

ちなみにマンションやアパートは、断熱や設備グレードにコストを割くところが少ないですが、隣に家がある関係で中側の家(最上階最下階以外、角部屋以外、ピロティ上以外)は割と断熱性能があります。

なのでとりあえずは知っていただきたいです。
省エネのグレードについては建築地と暮らし方とお金で決めると良いでしょう。

以上導入編でした。

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